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Debian 11のLTSが8月31日で終了。bullseyeのサーバーやコンテナを、いつ・どこまで上げるか

著者: ryu | #Linux #セキュリティ #トレンド
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こんにちは、インフラエンジニアのryuです。

2026年8月31日で、Debian 11(コードネーム bullseye)の長期サポート(LTS)が終了しました。

9月からは、Debian 11向けのセキュリティ更新がDebianプロジェクトからは出ていません。終了から1か月半ほどたちましたが、社内のサーバーやコンテナのベースイメージに、まだbullseyeが残っていないでしょうか?

Debianは、表に出るOSとしてはRHEL系やUbuntuほど目立ちません。ただ、Dockerの公式イメージのベースとして使われていることが多く、気づかないうちにあちこちで動いているOSです。

この記事では、Debian 11のサポート終了で何が変わったのかと、サーバーやコンテナを扱うインフラエンジニアがいま確認しておきたいことを順番に見ていきます。

Debian 11のLTS終了とは?

Debian 11は、2021年8月14日にリリースされたバージョンです。

Debianのサポートは、大きく2つの段階に分かれています。最初はセキュリティチームとリリースチームが面倒を見る通常のサポートで、そのあとをボランティアと支援企業で構成されるLTSチームが引き継ぎます。

Debian LTS:通常のセキュリティサポートが終わったリリースに対して、LTSチームがセキュリティ修正を出し続ける仕組み。リリースからおおむね5年間、使い続けられるようにすることが目的。

Debian 11の場合、通常のセキュリティサポートは2024年8月14日に終わり、そこからLTSの期間に入っていました。今回終わったのは、この最後のLTSの段階です。

LTSチームの告知でも、9月以降はDebian 11にセキュリティ更新を出さないことと、新しいリリースへのアップグレードをすすめることが書かれています。

各バージョンのサポート期限

いま現場で見かけそうなDebianのバージョンを表にまとめておきます。日付はDebianの公式の告知と、各種のEOL情報をもとにしています。

バージョン コードネーム リリース 状態(2026年10月時点)
Debian 10 buster 2019年 LTSは2024年6月に終了
Debian 11 bullseye 2021年8月 LTSは2026年8月31日に終了
Debian 12 bookworm 2023年6月 LTS中(2028年6月30日まで)
Debian 13 trixie 2025年8月 現在の安定版(stable)

見落としやすいのが、Debian 12の位置づけです。

Debian 12は2026年の夏に通常のセキュリティサポートを終え、LTSチームへ引き継がれました。つまり、いまの時点で通常のサポートを受けているのはDebian 13だけです。

LTSと通常のサポートは何が違う?

LTSの期間に入ると、サポートの範囲が少し狭くなります。

Debian 12のLTS移行の告知では、対象のアーキテクチャが i386、amd64、armhf、arm64、ppc64el に絞られることと、一部のパッケージはサポートから外れることが案内されています。

自分のサーバーで、サポートが外れるパッケージがあるかどうかは、debian-security-support というパッケージで調べられます。

# サポートが限定・終了しているパッケージを確認する
sudo apt install debian-security-support
check-support-status

Debian 11から上げるときに、移行先を12にするか13にするかを考える材料にもなります。

サポートが切れたDebian 11はどうなる?

サポートが終わっても、Debian 11がすぐに動かなくなるわけではありません。サーバーは昨日までと同じように動き続けます。

困るのは、これから見つかる脆弱性です。OpenSSLやglibc、OpenSSHのような基本的なパッケージに穴が見つかっても、Debian 11向けの修正はDebianからは出てきません。

有償の延長サポートという選択肢

どうしてもすぐに移行できない場合は、Freexianという会社が提供している有償の延長サポート(ELTS)があります。

告知や各種の情報によると、Debian 11のELTSは2031年6月30日まで提供される予定です。ただし、ELTSはDebianの公式のプロジェクトではありません。対象になるのは一部のパッケージとアーキテクチャだけです。

選択肢 費用 向いているケース
Debian 12へ上げる 無償 13への移行の前に、まず手早くサポート内に戻したい
Debian 13へ上げる(12を経由) 無償 これから数年は大きな移行をしたくない
FreexianのELTSを契約する 有償 業務アプリの都合で、当面はOSを変えられない
作り直して載せ替える 無償(作業工数はかかる) 構成がコード化されていて、新しいサーバーを作り直せる

ELTSは、あくまで移行までの時間を買うためのものと考えておくのが安全です。

いずれパッケージの取得もできなくなる

もう1つ気をつけたいのが、apt のリポジトリです。

Debianでは、サポートが終わった古いリリースは、しばらくたつと通常のミラーから外され、archive.debian.org という保管用のサーバーに移されます。

Debian 10の場合は、LTSが終わってから1年ほどたった2025年の夏ごろに通常のミラーから外れました。その結果、古い設定のまま apt update を実行すると、Releaseファイルが見つからないという404のエラーで止まる、という報告が相次ぎました。

Debian 11も、いずれ同じ流れになると考えておいたほうがよいでしょう。そうなると、セキュリティ更新が出ないだけでなく、パッケージを新しく入れることもできなくなります。

まずはbullseyeが残っている場所を探そう

移行の計画を立てる前に、どこにDebian 11が残っているのかを洗い出します。サーバーだけでなく、コンテナイメージも忘れずに確認しましょう。

サーバーのバージョンを確認する

Debianのバージョンは、次のコマンドで確認できます。

# バージョン番号(11.x なら bullseye)
cat /etc/debian_version

# コードネームとバージョン
grep -E '^(VERSION|VERSION_CODENAME)=' /etc/os-release

# systemd が入っていれば、まとめて確認できる
hostnamectl

/etc/debian_version が 11. で始まっていれば、そのサーバーはbullseyeです。

台数が多い場合は、Ansibleなどで、このファイルの中身をまとめて集めると早いです。構成管理ツールを使っていない環境でも、SSHでループを回せば一覧は作れます。

apt の取得先も、このときに一緒に見ておきます。

# どのリリースのリポジトリを見ているか
grep -rn "bullseye" /etc/apt/sources.list /etc/apt/sources.list.d/

ここで、Debian以外のリポジトリ(DockerやPostgreSQLの公式リポジトリなど)が見つかることもあります。こうした外部のリポジトリは、アップグレードのときに個別に切り替えが必要になるので、メモしておきましょう。

コンテナイメージの中も見ておく

意外と残りやすいのが、コンテナのベースイメージです。

Dockerの公式イメージには、-bullseye のようにDebianのコードネームが付いたタグが多くあります。何年も前に書いたDockerfileが、そのままbullseyeのイメージを使い続けていることはよくあります。

# リポジトリ内の Dockerfile で bullseye を使っている箇所を探す
grep -rn --include='Dockerfile*' -i "bullseye" .

# 動いているイメージの中のOSを確認する
docker run --rm <イメージ名> cat /etc/os-release

タグにコードネームが書かれていない python:3.11 のようなイメージでも、作られた時期によっては中身がbullseyeのことがあります。タグだけで判断せず、/etc/os-release で中身を確認するのが確実です。

コンテナの場合は、Dockerfileの FROM を書き換えてビルドし直すだけで済むことが多いので、サーバーより先に片付けやすいところです。

Debian 11から上げるときの注意点

サーバーをその場でアップグレードする場合の流れと、つまずきやすいところをまとめます。

12を飛ばして13へは上げられない

まず押さえておきたいのは、Debianのアップグレードは1つ前のリリースからしかサポートされていないことです。

Debian 11から13へ一気に上げることはできません。11から12へ上げて、動作を確認してから、12から13へ上げる、という2段階になります。

段階 やること 主な注意点
準備 バックアップと、外部リポジトリの洗い出し スナップショットを取れる環境なら必ず取る
11 → 12 sources.list を bookworm に書き換えて更新 non-free-firmware の追加
動作確認 アプリとサービスの起動を確認 12はLTS中なので、ここで止めても当面は安全
12 → 13 sources.list を trixie に書き換えて更新 /tmp の扱いなどの変更

2回分の作業になるので、本番サーバーなら検証環境で一度通しておくのがおすすめです。

11から12へのアップグレードの流れ

Debian 12のリリースノートに沿った、おおまかな流れは次のとおりです。

# 1) まず Debian 11 の中で最新にしておく
sudo apt update && sudo apt full-upgrade

# 2) リポジトリの指定を bullseye から bookworm に書き換える
sudo cp /etc/apt/sources.list /etc/apt/sources.list.bak
sudo sed -i 's/bullseye/bookworm/g' /etc/apt/sources.list

# 3) 新しいパッケージを入れずに、できる範囲だけ先に更新する
sudo apt update
sudo apt upgrade --without-new-pkgs

# 4) 残りをまとめて更新して、再起動する
sudo apt full-upgrade
sudo reboot

いきなり full-upgrade を実行せず、先に --without-new-pkgs で最小限の更新をするのは、依存関係の大きな入れ替えでつまずきにくくするためです。

途中で設定ファイルを置き換えるか聞かれたら、内容を確認せずに上書きしないようにしましょう。自分で変更した設定ファイルが、パッケージの標準のものに戻ってしまうことがあります。

Debian 12では、ファームウェアのパッケージが non-free-firmware という新しいコンポーネントに分けられました。物理サーバーでネットワークカードなどのファームウェアを使っている場合は、sources.list にこのコンポーネントを足しておかないと、必要なパッケージが更新されないことがあります。

12から13へ上げるときに変わること

Debian 13への2段階目でも、いくつか動きが変わるところがあります。

Debian 13のリリースノートでは、/tmp がメモリ上のファイルシステム(tmpfs)に置かれるようになったことと、/tmp と /var/tmp の中身が定期的に掃除されるようになったことが案内されています。

/tmp に大きなファイルを置いて処理しているバッチや、/var/tmp に長く残すことを前提にしたスクリプトがあると、アップグレード後に動きが変わる可能性があります。

また、Debian 13ではリポジトリの書き方として、従来の1行形式の sources.list に加えて、.sources という新しい形式(deb822形式)への移行が進んでいます。アップグレード手順を書いた社内のドキュメントがあれば、合わせて見直しておくとよいでしょう。

インフラエンジニアがいまやっておきたいこと

最後に、Debian 11のサポート終了を受けて、いまやっておきたいことを3つにまとめます。

1. Debian 11の一覧を作る

まずは、サーバーとコンテナイメージの両方で、bullseyeが残っている場所を一覧にします。

このとき、Debian 12のサーバーも一緒に数えておくのがおすすめです。12はLTSに入っていて、2028年6月にはサポートが終わります。11を片付けたあとの次の移行対象として、早めに把握しておくと計画が立てやすくなります。

2. 移行先と期限を決める

一覧ができたら、それぞれを12にするか13にするか、またはELTSでしのぐかを決めます。

新しく作り直せるサーバーやコンテナは、12を経由せずに13で作り直すのがいちばん手間がかかりません。その場でアップグレードするしかないサーバーは、12でいったん止めるのか、13まで上げるのかを決めておきましょう。

3. サポート期限を管理する仕組みを作る

今回のような終了は、毎年のように何かしらのソフトウェアで起きます。

OSのサポート期限は、ミドルウェアと一緒に台帳で管理しておくと、慌てずに済みます。ディストリビューションごとのサポート期限の考え方は『2026年のLinuxディストリビューション選びとサポート期限』でも整理しています。

OS側で修正が続くかどうかで影響が変わる例としては、『OpenSSL 3.0のサポート終了』の記事も参考になると思います。

Debianでサーバーを一から作る手順は『Debianのインストール設定手順』で紹介しています。検証環境を作ってアップグレードを試すときに使ってみてください。

Linuxの基本から学び直したい方へ

アップグレードの作業では、apt やファイルの編集、サービスの確認といった基本的な操作を何度も使います。コマンドに不安がある方は『Linuxコマンドの基本』から確認しておくと、作業中に迷いにくくなります。

InfraAcademyでは、Linuxの基本操作からサーバー構築までを順番に学べるコースを用意しています。何から学べばいいか迷っている方は、Linuxロードマップ で学ぶ順番を確認してみてください。

まとめ

Debian 11のLTS終了について、ポイントを振り返ります。

  • Debian 11(bullseye)のLTSは2026年8月31日に終わり、9月以降はセキュリティ更新が出ていない
  • Debian 12もLTSに入っていて、通常のサポートを受けているのはDebian 13だけ
  • どうしても移行できない場合は、FreexianのELTS(有償・一部のパッケージのみ)がある
  • コンテナのベースイメージにもbullseyeが残りやすいので、/etc/os-release で中身を確認する
  • 11から13へは直接上げられないので、12を経由して2段階で上げる

サポートが終わったOSは、今日すぐに壊れるわけではありません。ただ、時間がたつほど脆弱性とパッケージの取得の両面で困ることが増えていきます。

まずは、bullseyeがどこに残っているかを数えるところから始めてみてください。

参考

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この記事を書いた人

ryu

株式会社InfraAcademy 代表 / エンジニア

大手メーカーでインフラエンジニアとして勤務した後、ベンチャー企業・スタートアップでフルスタックエンジニアを経験。その後、起業し学習サービス「InfraAcademy」を運営しています。
保有資格:ネットワークスペシャリストなど 運営会社:株式会社InfraAcademy

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