こんにちは、インフラエンジニアのryuです。
この記事は、CCNAの勉強をしていて、ルーティングテーブルを見せられて「この宛先へのパケットはどこへ転送されるか」と聞かれると迷ってしまう人に向けて書いています。
ルーティングの問題は、用語を覚えているだけでは解けません。ロンゲストマッチとアドミニストレーティブディスタンス(AD)の両方を知っていても、どちらを先に使うのかがあいまいだと、選択肢の中で揺れてしまいます。
そこでこの記事では、ルーターが経路を選ぶときの順番を先に整理してから、オリジナルの練習問題を7問解いてもらいます。
ルーティングそのものの考え方を確認したい人は、先にルーティングとは?を読んでおくと、問題に入りやすくなります。CCNA全体の勉強の進め方は、CCNAの勉強方法の記事にまとめています。
CCNAでルーティングはどこまで問われる?¶
まずは試験の範囲を確認しておきます。CCNA(200-301 v1.1)では、ルーティングは「3.0 IP Connectivity」の分野に入っていて、この分野は試験全体の25%を占めます。
その中で、この記事で扱うのは次の3つの項目です。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 3.1 | ルーティングテーブルの構成要素(プロトコルコード、プレフィックス、マスク、ネクストホップ、AD、メトリック、ラストリゾートゲートウェイ) |
| 3.2 | ルーターの既定の転送判断(ロンゲストマッチ、AD、ルーティングプロトコルのメトリック) |
| 3.3 | IPv4とIPv6のスタティックルーティング(デフォルトルート、ネットワークルート、ホストルート、フローティングスタティック) |
OSPFも同じ3.0の分野ですが、OSPFについてはCCNAのOSPFの練習問題の記事で別にまとめています。この記事では、どのプロトコルで学んだ経路であっても共通する、経路の選び方に絞ります。
なお、現行の200-301 v1.1の最終受験日は2027年2月2日で、2027年2月3日からはv2.0に切り替わります。受験日が決まったら、Ciscoの公式ページで出題範囲をもう一度確認しておきましょう。
ルーターが経路を選ぶ順番とは?¶
ルーティングの問題で迷う原因の多くは、2つの判断を混ぜてしまうことです。
ルーターの中では、経路を選ぶ判断が2つの場面に分かれています。1つ目は、学んだ経路のうちどれをルーティングテーブルに載せるか。2つ目は、パケットが届いたときに、テーブルに載っている経路のどれを使って転送するかです。
| 場面 | 何を決めるか | 使う基準 |
|---|---|---|
| テーブルに載せるとき | 同じプレフィックス(同じネットワークとマスク)を複数の方法で学んだとき、どれを載せるか | まずAD、同じプロトコルどうしならメトリック |
| パケットを転送するとき | 宛先に一致する経路が複数あるとき、どれを使うか | ロンゲストマッチ(いちばんマスクが長い経路) |
ADが比べられるのは、プレフィックスとマスクがまったく同じ経路どうしだけです。
10.1.0.0/16と10.1.1.0/24は別の経路として両方テーブルに載り、ADでは比べられません。
この表を頭に入れておくと、問題の見え方が変わります。宛先が与えられた問題なら、まずロンゲストマッチで考える。同じネットワークを2つのプロトコルで学んだ問題なら、ADで考える。この切り分けができれば、ほとんどの問題は解けます。
ロンゲストマッチとは?¶
ロンゲストマッチは、宛先IPアドレスに一致する経路が複数あるとき、プレフィックス長(マスクのビット数)がいちばん長い経路を使うというルールです。
たとえば宛先が 10.1.1.200 で、テーブルに 10.0.0.0/8、10.1.0.0/16、10.1.1.0/24 があれば、3つとも宛先に一致します。この中でいちばん細かく指定している /24 が選ばれます。
ここで注意したいのは、ADやメトリックがどれだけ大きくても、ロンゲストマッチのほうが先に効くことです。RIPで学んだ /24 と、スタティックで設定した /16 があれば、宛先が両方に一致する限り /24 が使われます。
また、0.0.0.0/0 のデフォルトルートは、すべての宛先に一致する経路です。プレフィックス長が0なので、ほかに一致する経路が1つもないときだけ使われます。
アドミニストレーティブディスタンス(AD)とは?¶
ADは、経路の情報源の信頼度を表す値で、小さいほど優先されます。同じプレフィックスを複数のルーティングプロトコルから学んだとき、ルーターはADがいちばん小さい経路だけをテーブルに載せます。
CiscoのIOSでの主な既定値は次のとおりです。
| 経路の情報源 | 既定のAD |
|---|---|
| 直接接続(Connected) | 0 |
| スタティックルート | 1 |
| eBGP | 20 |
| EIGRP(内部) | 90 |
| OSPF | 110 |
| IS-IS | 115 |
| RIP | 120 |
| EIGRP(外部) | 170 |
| iBGP | 200 |
| 信頼できない経路 | 255 |
ADが255の経路は信頼できないものとして扱われ、ルーティングテーブルには載りません。CCNAでよく問われるのは、直接接続・スタティック・EIGRP・OSPF・RIPの5つです。まずはこの5つの数字を確実に言えるようにしておきましょう。
同じプロトコルで同じプレフィックスへの経路が複数あるときは、ADが同じなので、今度はメトリックで比べます。OSPFならコスト、RIPならホップ数です。メトリックはプロトコルごとに計算のしかたが違うので、別のプロトコルどうしのメトリックを比べることはありません。
show ip routeのどこを読めばいい?¶
問題では、show ip route の出力がそのまま出てくることが多いです。読む場所は決まっているので、1行の見方を先に押さえておきます。
O 10.1.0.0/16 [110/20] via 192.168.12.2, 00:10:05, GigabitEthernet0/1
この1行は、左から順に次の意味です。
| 部分 | 意味 |
|---|---|
O |
経路の情報源。Oは OSPF、Sはスタティック、Dは EIGRP、Rは RIP、Cは直接接続、Lはインターフェース自身のアドレス |
10.1.0.0/16 |
宛先のネットワークとプレフィックス長 |
[110/20] |
左がAD、右がメトリック |
via 192.168.12.2 |
ネクストホップ(次に渡すルーターのアドレス) |
GigabitEthernet0/1 |
パケットを出すインターフェース |
また、出力の先頭近くにある Gateway of last resort is 203.0.113.1 to network 0.0.0.0 という行は、デフォルトルートが設定されていることを表します。デフォルトルートが無いときは Gateway of last resort is not set と表示されます。
show ip route の基本的な使い方は、show ip routeコマンドの使い方解説で、実際の画面とあわせて説明しています。
スタティックルートの書き方を確認しよう¶
3.3の範囲では、スタティックルートの設定コマンドもよく問われます。IPv4の基本の形は、宛先ネットワーク、サブネットマスク、ネクストホップの順です。
! ネットワークルート(10.20.0.0/16 宛ては 192.168.1.2 へ)
ip route 10.20.0.0 255.255.0.0 192.168.1.2
! ホストルート(10.9.9.9 の1台だけ宛て)
ip route 10.9.9.9 255.255.255.255 192.168.1.2
! デフォルトルート(どれにも一致しない宛ては 203.0.113.1 へ)
ip route 0.0.0.0 0.0.0.0 203.0.113.1
! フローティングスタティック(最後にADを指定する)
ip route 10.5.0.0 255.255.0.0 192.168.20.1 130
! IPv6のデフォルトルート
ipv6 route ::/0 2001:db8:0:1::1
ホストルートは、マスクが 255.255.255.255(/32)の経路です。1台のホストだけを指定するので、ロンゲストマッチではいちばん優先されます。
IPv6では、マスクを別に書かずに プレフィックス/長さ の形で書きます。デフォルトルートは ::/0 です。IPv4と書き方が違うので、選択肢で引っかけられやすいところです。
フローティングスタティックルートとは?¶
フローティングスタティックルートは、ADをわざと大きくしたスタティックルートで、メインの経路が使えなくなったときの予備として使います。
スタティックルートの既定のADは1なので、そのままだとOSPFで学んだ経路(AD 110)より優先されてしまいます。そこで、コマンドの最後にOSPFより大きいADを指定しておきます。
すると、OSPFの経路があるあいだは、ADが小さいOSPFの経路だけがテーブルに載ります。回線が切れてOSPFの経路が消えると、予備のスタティックルートがテーブルに出てきて使われます。この動きから、浮いているという意味でフローティングと呼ばれています。
フローティングスタティックのADは、メインにしたい経路のADより大きくする必要があります。OSPFの予備なら111以上、EIGRP(内部)の予備なら91以上です。
スタティックルートの設定そのものは、ルーターで静的ルートを設定する方法で手順を追っています。
CCNAのルーティングの練習問題7問¶
ここからは練習問題です。問題1〜4は、次のルーティングテーブルを使います。これは問題用に作った例です。
Gateway of last resort is 203.0.113.1 to network 0.0.0.0
S* 0.0.0.0/0 [1/0] via 203.0.113.1
10.0.0.0/8 is variably subnetted, 3 subnets, 3 masks
O 10.1.0.0/16 [110/20] via 192.168.12.2, 00:10:05, GigabitEthernet0/1
S 10.1.1.0/24 [1/0] via 192.168.13.3
D 10.1.1.128/25 [90/30720] via 192.168.14.4, 00:05:12, GigabitEthernet0/3
問題1:宛先 10.1.1.200 へのパケット¶
宛先が 10.1.1.200 のパケットは、どのネクストホップへ転送されますか。
- A. 203.0.113.1
- B. 192.168.12.2
- C. 192.168.13.3
- D. 192.168.14.4
正解:D
10.1.1.200は、10.1.0.0/16、10.1.1.0/24、10.1.1.128/25(10.1.1.128〜10.1.1.255)のすべてに一致します。いちばんプレフィックスが長いのは/25なので、EIGRPの経路が使われます。ADはスタティックの1のほうが小さいですが、プレフィックスが違う経路どうしはADで比べません。
問題2:宛先 10.1.1.50 へのパケット¶
宛先が 10.1.1.50 のパケットは、どのネクストホップへ転送されますか。
- A. 203.0.113.1
- B. 192.168.12.2
- C. 192.168.13.3
- D. 192.168.14.4
正解:C
10.1.1.50は10.1.1.128/25の範囲には入りません。一致するのは/16と/24で、長いほうの/24(スタティックルート)が使われます。/25の範囲を計算できるかが分かれ目です。
問題3:宛先 10.2.3.4 へのパケット¶
宛先が 10.2.3.4 のパケットは、どのネクストホップへ転送されますか。
- A. 203.0.113.1
- B. 192.168.12.2
- C. 192.168.13.3
- D. パケットは破棄される
正解:A
10.1.0.0/16は10.1.0.0〜10.1.255.255の範囲なので、10.2.3.4は一致しません。10.0.0.0/8 is variably subnettedの行は、サブネットがまとめて表示されているという見出しで、/8の経路そのものではありません。どれにも一致しないので、デフォルトルートの203.0.113.1へ転送されます。
問題4:[110/20] の意味¶
O 10.1.0.0/16 [110/20] の 110 と 20 は、それぞれ何を表していますか。
- A. 110はメトリック、20はAD
- B. 110はAD、20はメトリック
- C. 110はAD、20はホップ数の上限
- D. 110はポート番号、20はコスト
正解:B
角かっこの中は、左がAD、右がメトリックです。OSPFのADの既定値は110で、20はOSPFのコストの合計です。
問題5:同じネットワークを2つのプロトコルで学んだとき¶
ルーターR1は、172.16.10.0/24 への経路を、OSPF・内部のEIGRP・RIPの3つから学んでいます。ADはすべて既定値です。R1のルーティングテーブルに載る経路はどれですか。
- A. OSPFの経路
- B. EIGRPの経路
- C. RIPの経路
- D. 3つともすべて載る
正解:B
プレフィックスとマスクがまったく同じなので、ここではADで比べます。内部EIGRPが90、OSPFが110、RIPが120なので、いちばん小さいEIGRPの経路だけがテーブルに載ります。
問題6:OSPFの予備にするフローティングスタティック¶
R1は、10.5.0.0/16 への経路をOSPFで学んでいます。回線障害でOSPFの経路が消えたときだけ使われる予備の経路として、次のコマンドの X に入れる値として正しいものはどれですか。
ip route 10.5.0.0 255.255.0.0 192.168.20.1 X
- A. 1
- B. 90
- C. 100
- D. 120
正解:D
予備にするには、OSPFのAD(110)より大きくする必要があります。選択肢の中で110より大きいのは120だけです。1・90・100を指定すると、OSPFの経路より優先されてしまい、通常時からスタティックの経路が使われます。
問題7:ホストルートのコマンド¶
宛先 10.9.9.9 の1台のサーバーだけを、ネクストホップ 192.168.1.2 に送るスタティックルートとして正しいものはどれですか。
- A.
ip route 10.9.9.9 255.255.255.0 192.168.1.2 - B.
ip route 10.9.9.9 255.255.255.255 192.168.1.2 - C.
ip route 10.9.9.9 0.0.0.0 192.168.1.2 - D.
ip route 192.168.1.2 255.255.255.255 10.9.9.9
正解:B
ホストルートは、マスクを
255.255.255.255(/32)にした経路です。Aは/24になり、そもそもホスト部が0になっていないので受け付けられません。Cはマスクの指定が誤りで、Dは宛先とネクストホップの順番が逆です。
解いたあとに確認したいこと¶
7問のうち間違えた問題があれば、どちらの判断で間違えたのかを分けてみてください。
| 間違えた問題 | 原因の候補 | 読み直すところ |
|---|---|---|
| 問題1〜3 | ロンゲストマッチより先にADで選んでしまった。または範囲の計算ミス | 「ルーターが経路を選ぶ順番とは?」の表 |
| 問題4 | show ip route の表示の読み方 |
「show ip routeのどこを読めばいい?」 |
| 問題5・6 | ADの数字を覚えていない、大小の向きを逆にしている | ADの既定値の表 |
| 問題7 | スタティックルートの書式 | 「スタティックルートの書き方を確認しよう」 |
問題1〜3で、/25 や /16 の範囲がすぐに出てこなかった人は、ルーティングの前にサブネットの計算が原因になっています。CCNAのサブネット計算の練習問題で、範囲を出す練習をしておくと、ルーティングの問題も速く解けるようになります。
InfraAcademyで続けて練習しよう¶
ルーティングは、表を読むだけでなく、実際にルーターへ設定して確かめると忘れにくくなります。
InfraAcademy のネットワークの講座では、ブラウザ上のシミュレーターでルーターとスイッチを設定し、ping で通信を確認できます。スタティックルートを1本ずつ足しながら、どこまで通信が届くようになるかを見ていくと、ネクストホップの意味が手で分かります。講座の順番はネットワークのロードマップで確認できます。
自分で構成を組んでみたい人は、CCNAのハンズオン課題の記事も参考にしてください。
問題演習を続けたい人は、トップページのInfraAcademy の資格模擬問題から「CCNA模擬試験200問」を解けます。IP Connectivityの分野で間違えた問題があれば、この記事の最後の表に戻って、ロンゲストマッチとADのどちらで迷ったのかを確認してみてください。
まとめ¶
CCNAのルーティングの問題で、押さえておきたいところを振り返ります。
- 宛先が与えられたら、まずロンゲストマッチ。いちばんマスクが長い経路が使われる
- ADで比べるのは、プレフィックスとマスクがまったく同じ経路どうしだけ
- 主なADは、直接接続0、スタティック1、内部EIGRP 90、OSPF 110、RIP 120
[110/20]は、左がAD、右がメトリック- デフォルトルートは
0.0.0.0 0.0.0.0、ホストルートは255.255.255.255、IPv6のデフォルトは::/0 - フローティングスタティックは、メインの経路のADより大きい値を最後に指定する
ルーティングの問題は、判断の順番さえ決まっていれば、表がどれだけ長くても落ち着いて解けます。
1行ずつ範囲を計算して、なぜその経路が選ばれるのかを言えるようにしておきましょう。合格に向けて、一緒に進んでいきましょう。
参考¶
- CCNA Exam Topics - Cisco Learning Network
- CCNA Exam - Cisco
- What Is Administrative Distance? - Cisco
- Configure a Next Hop IP Address for Static Routes (Floating Static Route) - Cisco
- Longest Prefix Match Routing - NetworkLessons.com
- Floating Static Route - study-ccna.com
- Administrative distance & metric - study-ccna.com



