こんにちは、インフラエンジニアのryuです。
この記事は、CCNAの勉強をしていて、OSPFの問題になると手が止まってしまう人に向けて書いています。
OSPFは、設定のコマンド自体はそれほど多くありません。それなのに問題になると、ネイバーが張れない理由を選ばせたり、DRがどのルーターになるかを答えさせたりと、仕組みを理解していないと解けない形で出てきます。
そこでこの記事では、OSPFに絞ったオリジナルの練習問題を8問用意しました。問題の前に、間違えやすいポイントを先に整理しておきます。
OSPFの設定手順そのものを確認したい人は、先にOSPFの設定方法とは?を読んでおくと、問題が解きやすくなります。CCNA全体の勉強の進め方は、CCNAの勉強方法の記事にまとめています。
CCNAでOSPFはどこまで問われる?¶
まずは、試験の範囲を確認しておきます。CCNA(200-301 v1.1)の出題範囲では、OSPFは「3.0 IP Connectivity」の分野に入っています。この分野は、試験全体の25%です。
その中で、OSPFの項目は「3.4 シングルエリアOSPFv2の設定と確認」です。細かい項目は次の4つになっています。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 3.4.a | ネイバーの隣接関係(neighbor adjacencies) |
| 3.4.b | ポイントツーポイント |
| 3.4.c | ブロードキャスト(DR/BDRの選出) |
| 3.4.d | ルーターID |
範囲はシングルエリアに限られているので、複数エリアの設計や、エリアの種類の細かい違いまでは求められていません。そのぶん、ネイバー・DR/BDR・ルーターIDの3つは、確実に答えられるようにしておきたいところです。
なお、現行の200-301 v1.1の最終受験日は2027年2月2日で、2027年2月3日からはv2.0に切り替わります。受験日が決まったら、Ciscoの公式ページで出題範囲をもう一度確認しておきましょう。
OSPFの問題で間違えやすいポイント¶
問題に入る前に、間違えやすいところを4つ整理しておきます。どれも、用語を覚えているだけだと引っかかりやすいところです。
ルーターIDの決まり方¶
ルーターIDは、OSPFの中でルーターを見分けるための32ビットの値です。IPアドレスと同じ形で書きますが、通信に使うアドレスではありません。
ルーターIDは、次の順番で決まります。
| 順番 | 決め方 |
|---|---|
| 1 | router-id コマンドで手動設定した値 |
| 2 | ループバックインターフェースのIPアドレスのうち、いちばん大きいもの |
| 3 | 有効な物理インターフェースのIPアドレスのうち、いちばん大きいもの |
ここで引っかかりやすいのが2番目です。ループバックがあれば、物理インターフェースのほうが大きなアドレスでもループバックが優先されます。
また、OSPFが動いたあとで router-id を変えても、すぐには切り替わりません。新しいルーターIDを使わせるには、clear ip ospf process でOSPFのプロセスをリセットするか、ルーターを再起動します。
ネイバーになるための条件¶
OSPFのルーターどうしは、Helloパケットを送り合ってネイバーになります。このとき、Helloに入っている値の一部がそろっていないと、ネイバーになれません。
| そろっている必要があるもの | よくある間違い |
|---|---|
| エリアID | 片方だけ area 1 で設定している |
| HelloとDeadの間隔 | 片方だけ ip ospf hello-interval を変えている |
| サブネット(マスク) | /24 と /25 のように、マスクがずれている |
| 認証の設定 | 片方だけ認証を有効にしている |
ルーターIDが重複している場合も、正しく動きません。
もう1つ覚えておきたいのがMTUです。MTUが合っていないと、ネイバーは見えているのに、EXSTART や EXCHANGE の状態で止まってしまいます。
コストの計算¶
OSPFは、コストの合計がいちばん小さい経路を選びます。インターフェースのコストは、基準帯域幅をインターフェースの帯域幅で割って求めます。
コスト = 基準帯域幅 ÷ インターフェースの帯域幅(Ciscoの既定の基準帯域幅は100Mbps。計算結果が1より小さくなる場合は1になる)
既定のままだと、100MbpsのFastEthernetも1GbpsのGigabitEthernetも、コストは同じ1です。そのため、速さの違うリンクをOSPFに区別させたいときは、auto-cost reference-bandwidth で基準帯域幅を大きくします。この値はすべてのルーターでそろえておきます。
経路のコストは、宛先までに通る出口側インターフェースのコストを足したものです。ip ospf cost で、インターフェースごとにコストを直接決めることもできます。
DR/BDRの選出¶
イーサネットのようなブロードキャストのネットワークでは、DR(代表ルーター)とBDR(バックアップ代表ルーター)が選ばれます。ほかのルーター(DROTHER)は、DRとBDRとだけ情報をやり取りします。
選出のルールは次のとおりです。
- インターフェースのOSPFプライオリティが大きいルーターが勝つ(既定値は1)
- プライオリティが同じなら、ルーターIDが大きいルーターが勝つ
- プライオリティが0のルーターは、DRにもBDRにもならない
そして、いちばん間違えやすいのが、DRの選出は横取りされないという点です。あとから、プライオリティの大きいルーターを追加しても、今のDRがダウンしない限りDRは変わりません。
ポイントツーポイントのネットワークでは、DR/BDRの選出はありません。イーサネットでも、ip ospf network point-to-point を設定すると選出が行われなくなります。
練習問題:ルーターIDとネイバー編¶
ここからは、この記事のために作ったオリジナルの問題です。実際の試験の問題ではありません。
まずは、ルーターIDとネイバーに関する4問です。
問題1:ルーターIDはどれになる?¶
R1には、次のインターフェースがあります。どれも up/up で、router-id コマンドは設定していません。R1のルーターIDはどれになるでしょうか。
GigabitEthernet0/0 192.168.10.1
GigabitEthernet0/1 172.16.20.1
Loopback0 10.0.0.1
- A. 192.168.10.1
- B. 172.16.20.1
- C. 10.0.0.1
- D. 0.0.0.0
正解:C
router-idが設定されていないときは、ループバックインターフェースのアドレスが物理インターフェースより優先されます。物理インターフェースの192.168.10.1のほうが数字は大きいですが、ループバックがあるので10.0.0.1が選ばれます。ループバックが無ければ、Aの192.168.10.1になります。
問題2:ネイバーにならない原因¶
R1とR2を同じサブネットでつなぎ、どちらもエリア0でOSPFを設定しました。ところが、show ip ospf neighbor に相手が表示されません。調べたところ、次の設定が見つかりました。
R1(config)# interface gigabitEthernet 0/0
R1(config-if)# ip ospf hello-interval 5
R2のインターフェースは既定の設定のままです。ネイバーにするための対処として、もっとも適切なものはどれでしょうか。
- A. R2のOSPFプライオリティを0にする
- B. R1とR2のHelloとDeadの間隔をそろえる
- C. R1に
passive-interface gigabitEthernet 0/0を設定する - D. R2のルーターIDをR1と同じにする
正解:B
HelloとDeadの間隔は、ネイバーになるためにそろっている必要がある値です。R1だけHelloを5秒にしているので、R2の既定値と合わずネイバーになれません。Cの
passive-interfaceを設定すると、そのインターフェースからHelloを送らなくなるので、逆にネイバーになれなくなります。DのようにルーターIDを重複させるのも誤りです。
問題3:EXSTARTのまま進まない¶
show ip ospf neighbor を実行したところ、相手のルーターの状態がずっと EXSTART のまま変わりません。原因として、もっとも考えられるものはどれでしょうか。
- A. エリアIDが合っていない
- B. 両端のインターフェースのMTUが合っていない
- C. 片方のプライオリティが0になっている
- D. 基準帯域幅が合っていない
正解:B
EXSTARTは、データベースの情報をやり取りし始める段階です。MTUが合っていないと、この段階や次のEXCHANGEで止まることがあります。Aのエリアの不一致では、そもそもHelloの段階でネイバーになれないので、一覧に相手が出てきません。Dの基準帯域幅のずれは経路の選び方に影響しますが、ネイバーの状態は止めません。
問題4:2WAY/DROTHERは異常?¶
1台のスイッチに、R1〜R4の4台のルーターをつないでOSPFを動かしています。R3で show ip ospf neighbor を実行すると、R4との関係が 2WAY/DROTHER と表示されました。R1はDR、R2はBDRで、R3とR4はどちらもDROTHERです。この状態について、正しい説明はどれでしょうか。
- A. R3とR4の設定に問題があり、修正が必要である
- B. DROTHERどうしは2WAYで止まるのが正常で、問題はない
- C. R4がダウンしかけている
- D. R3とR4のMTUが合っていない
正解:B
ブロードキャストのネットワークでは、DROTHERはDRとBDRとだけ
FULLの関係になります。DROTHERどうしは、お互いを認識した2WAYの状態で止まるのが正常です。全部のネイバーがFULLになっていないからといって、異常とは限りません。
練習問題:コストとDR/BDR編¶
次は、コストの計算とDR/BDRの選出の4問です。前半より、計算や結果を考える問題が多くなります。
問題5:基準帯域幅を変えたときのコスト¶
R1で auto-cost reference-bandwidth 1000 を設定しました。基準帯域幅が1000Mbpsになります。このとき、100MbpsのFastEthernetインターフェースのコストはいくつになるでしょうか。インターフェースに ip ospf cost は設定していません。
- A. 1
- B. 10
- C. 100
- D. 1000
正解:B
コストは基準帯域幅をインターフェースの帯域幅で割って求めるので、1000 ÷ 100 = 10 です。既定の100Mbpsのままなら、100 ÷ 100 = 1 になります。同じ設定で、1GbpsのGigabitEthernetは 1000 ÷ 1000 = 1 です。
問題6:DRとBDRはどれになる?¶
1台のスイッチに、R1〜R3の3台をつなぎ、同時に起動しました。各ルーターのインターフェースの設定は次のとおりです。DRとBDRはどれになるでしょうか。
| ルーター | ルーターID | プライオリティ |
|---|---|---|
| R1 | 1.1.1.1 | 1 |
| R2 | 2.2.2.2 | 1 |
| R3 | 3.3.3.3 | 0 |
- A. DRはR3、BDRはR2
- B. DRはR2、BDRはR1
- C. DRはR1、BDRはR2
- D. DRもBDRも選ばれない
正解:B
R3はルーターIDがいちばん大きいですが、プライオリティが0なので選出に参加しません。残りのR1とR2はプライオリティが同じ1なので、ルーターIDが大きいR2がDR、R1がBDRになります。プライオリティを先に比べて、同じときだけルーターIDを比べる、という順番を押さえておきましょう。
問題7:あとからプライオリティの大きいルーターを追加した¶
問題6の状態で、DRはR2、BDRはR1になっています。そこへ、プライオリティを100にしたR4を同じスイッチにつなぎました。R1とR2は動き続けています。R4がつながった直後の役割として、正しいものはどれでしょうか。
- A. R4がすぐにDRになり、R2はBDRになる
- B. R4がすぐにDRになり、R2はDROTHERになる
- C. DRはR2、BDRはR1のままで、R4はDROTHERになる
- D. DRとBDRの選出がやり直され、すべてのネイバーが切れる
正解:C
DRの選出は横取りされないので、R4のプライオリティが大きくても、すでに選ばれているDRとBDRはそのままです。たとえばDRのR2がダウンすると、BDRのR1がDRに上がり、空いたBDRにはプライオリティの大きいR4が選ばれます。このように、役割が空いたときに初めて選ばれる仕組みです。
問題8:show ip route の数字を読む¶
R1で show ip route を実行したところ、次の行がありました。
O 10.1.1.0/24 [110/3] via 192.168.12.2, 00:05:12, GigabitEthernet0/0
この行の説明として、正しいものはどれでしょうか。
- A. 110はコスト、3はアドミニストレーティブディスタンスである
- B. 110はアドミニストレーティブディスタンス、3はOSPFのコストの合計である
- C. 110はホップ数、3はネイバーの数である
- D. 110はルーターID、3はエリア番号である
正解:B
角かっこの中は、[アドミニストレーティブディスタンス/メトリック] の順に並んでいます。OSPFのアドミニストレーティブディスタンスは110で、メトリックはコストの合計です。先頭の
Oは、OSPFで学習した経路という意味です。show ip routeの読み方は、show ip routeコマンドの使い方で詳しく説明しています。
間違えた問題の見直し方¶
8問のうち、何問できたでしょうか。点数よりも、どの問題で迷ったかを見てほしいです。
間違えた問題は、次の表で読み直す記事を選んでみてください。
| 間違えた問題 | 苦手なところ | 読み直す記事 |
|---|---|---|
| 問題1・2 | ルーターID、ネイバーの条件 | OSPFの設定方法とは? |
| 問題3・4 | ネイバーの状態の読み方 | OSPFの設定方法とは? |
| 問題5・8 | コスト、経路の選び方 | ルーティングとは? と スタティックルートの設定 |
| 問題6・7 | DR/BDRの選出 | この記事の「DR/BDRの選出」 |
読み直したら、もう一度その問題を解き、なぜほかの選択肢が違うのかを1行で言えるか確かめてみてください。
show コマンドとセットで覚える¶
OSPFの問題でも、show コマンドの出力を読ませる問題がよく出てきます。どのコマンドで何が分かるかを、表にしておきます。
| コマンド | 分かること |
|---|---|
show ip ospf neighbor |
ネイバーのルーターID、状態(FULL や 2WAY)、DR/BDRの役割 |
show ip ospf interface |
インターフェースのエリア、コスト、ネットワークタイプ、HelloとDeadの間隔、DRとBDR |
show ip protocols |
ルーターID、network コマンドの範囲、パッシブインターフェース |
show ip route ospf |
OSPFで学習した経路だけを表示する |
ネイバーにならないときは、show ip ospf interface で両端のエリアとHelloの間隔を並べて見るのが近道です。問題を解くときも、どのコマンドを打てば答えを確かめられるかまで考えると、知識が設定とつながっていきます。
スタティックルートとの違いも確認する¶
OSPFで学習した経路とスタティックルートが同じ宛先にあるときは、アドミニストレーティブディスタンスの小さいほうが使われます。スタティックルートは1、OSPFは110なので、既定ではスタティックルートが優先です。
このあたりは、ほかのルーティングの問題とも一緒に出てきます。腕試しをしたい人は、CCNAの練習問題10問の記事や、CCNAのサブネットの練習問題もあわせて解いてみてください。
InfraAcademyで続ける¶
問題で確認したことは、実際にルーターを設定してみると、ずっと覚えやすくなります。
InfraAcademyのネットワーク講座では、講座の中のシミュレーターで、ルーターやスイッチの設定と ping での確認を練習できます。講座の順番は、ネットワークのロードマップにまとめています。
自分で構成を組んでみたい人は、CCNAのハンズオン課題の記事で、VLANからACLまでを順番に設定してみてください。OSPFの前に、ルーティングの基本をもう一度手で確かめておくと、この記事の問題も解きやすくなります。
問題演習を続けたい人は、トップページのInfraAcademy の資格模擬問題から「CCNA模擬試験200問」を解けます。IP Connectivityの分野で間違えた問題があれば、この記事の表に戻って、どこを読み直すかを決めてみてください。
試験が近い人は、CCNA試験1週間前の復習表で、残りの日数でどこを見直すかを決めておくと安心です。
まとめ¶
CCNAのOSPFの問題で、間違えやすいところを振り返ります。
- ルーターIDは、手動設定 → ループバック → 物理インターフェースの順で決まる
- エリアID、HelloとDeadの間隔、サブネットがそろっていないとネイバーにならない
- MTUが合っていないと、
EXSTARTやEXCHANGEで止まる - コストは基準帯域幅 ÷ 帯域幅で、既定では100Mbps以上のリンクはすべて1になる
- DRはプライオリティ → ルーターIDの順で決まり、0のルーターは選ばれない。あとから追加したルーターに横取りされない
- DROTHERどうしは
2WAYが正常。[110/3]は、ADが110、コストの合計が3
OSPFは、CCNAのルーティングの中心になる分野です。
ネイバーの状態とDR/BDRの決まり方を show コマンドと一緒に押さえておけば、問題の出され方が変わっても落ち着いて解けます。1問ずつ理由を確かめながら、合格まで進んでいきましょう。応援しています。
参考¶
- CCNA Exam Topics - Cisco Learning Network
- CCNA Exam - Cisco
- OSPF Designated Router Election - PacketLife.net
- OSPF Designated Router (DR) and Backup Designated Router (BDR) - study-ccna.com
- OSPF DR BDR Selection Process Explained - ComputerNetworkingNotes
- OSPF auto-cost reference-bandwidth - Cisco Community



