こんにちは、フルスタックエンジニアのryuです。
今回の記事では、flask runとgunicornコマンドの違いについて解説します。これら二つのコマンドは、FlaskというPythonのWebフレームワークで使用されるコマンドです。flask runコマンドは、開発環境の立ち上げる時に使い、gunicornは本番利用時に使いますが、それぞれ二つのコマンドにはどのような違いがあるのかを調べてみました。
目次
flask runとgunicornコマンドって何が違うの?
今回の記事では、flask runとgunicornコマンドの違いについて解説します。
まずは、Flask runコマンドの概要と、gunicornコマンドの概要について解説します。
flask runとは?
flask run
はFlaskが提供するコマンドで、開発サーバーを起動するために使用されます。
flask runコマンドは、デバッグとテストを容易にする機能を提供し、開発プロセスを支援するために特別に設計されています。
flask runコマンドの特徴は、こちらです。
- シングルスレッド動作
- 開発向け機能がある
- パフォーマンスとスケーラビリティは低い
シングルスレッド動作
flask runコマンドを実行すると、シングルスレッドモードで動作します。
シングルスレッドモードとは、プログラムが一度に一つのスレッド(Thread)で実行される動作モードのことを指します。
例えば、以下のような”Hello World”と返す、プログラムがあったとします。
from flask import Flask
app = Flask(__name__)
@app.route('/')
def hello():
return "Hello, World!"
if __name__ == '__main__':
app.run()
この場合、サーバーは同時に一つのリクエストしか処理できません。
もし、複数のリクエストが同時に送られた場合、最初のリクエストが処理されるまで他のリクエストは待機することになります。
開発向け機能がある
flask runコマンドには、デバック機能があります。
デバック機能とは、コード変更時の自動リロードやエラー発生時の詳細なデバッグ情報の表示など、開発時に便利な機能です。
しかし、本番環境では、デバックモードは使用しません。
デバッグモードが有効になっていると、アプリケーションの内部情報が詳細に表示されます。エラーが発生した際にスタックトレースや変数の内容などが公開されます。
攻撃者がこの情報を悪用すると、システムの脆弱性を突いて攻撃を仕掛ける可能性があるからです。
パフォーマンスとスケーラビリティは低い
flask runコマンドは開発用途のために設計されているため、パフォーマンスやスケーラビリティに欠けます。
先ほど解説した通り、シングルスレッドモードで動作するため、高いトラフィックや並行リクエストを効率的に処理する能力が不足しています。
Gunicornとは?
ここまで、flask runコマンドについて解説しました。次は本番環境で使われるGunicornコマンドについて解説します。
Gunicorn(Green Unicorn)は、PythonのWSGI HTTPサーバーで、本番環境での使用を目的としています。
WSGI (Web Server Gateway Interface) HTTPサーバーとは、PythonのWebアプリケーションとWebサーバーとの間のインターフェースを提供するための標準仕様のことです。簡単に言うと、WebフレームワークのFlaskやDjangoをWEBサーバーで動作させるための仕組みです。
Gunicornには、以下の特徴があります。
- マルチワーカープロセス
- 高性能
- 堅牢性が高い
- スケーラビリティがある
マルチワーカープロセス
Gunicornは複数のワーカープロセスを生成し、各プロセスがリクエストを同時に処理できます。簡単に言うと、複数のWebサイトへのリクエストを並行的に処理ができます。
ここで、ワーカープロセスの流れを見てみましょう。
PC(Webブラウザ)からWebサイトを閲覧しようとすると、以下の流れで応答します。
- WebサーバーがHTTPリクエストを受信します
- WebサーバーはHTTPリクエストをGunicornサーバーへ転送します。
- Gunicornサーバーは、複数のワーカープロセスを生成します
- Gunicornサーバーは、受け取ったリクエストを各ワーカープロセスに分配します。
- 各ワーカープロセスは、リクエストを個別に処理し、対応するレスポンスを生成します。
- ワーカープロセスは、処理結果をレスポンスとしてGunicornサーバーに返し、最終的にWebサーバーを経由してクライアントPCに返されます。
このような流れで、サーバーのリクエスト処理能力が大幅に向上します。
高性能
Gunicornは、geventやeventletなどの非同期ワーカーを使用することで、パフォーマンスとスケーラビリティをさらに向上させることができます。
非同期ワーカーとは、ブロッキングI/O操作(例えば、ファイルの読み書きやネットワーク通信)を回避し、並列的に処理を実行させます。
これにより、多くの接続を効率的に処理できるようになります。
堅牢性が高い
Gunicornは本番環境向けに設計されており、自動ワーカープロセスマネジメントなどの機能を備えています。
これにより、プロセスが失敗しても迅速に再起動され、サーバーの可用性が維持されます。
スケーラビリティがある
Gunicornは非常に設定が柔軟で、アプリケーションのニーズに応じて簡単にスケールアップできます。
サーバーの容量や予想されるトラフィック負荷に基づいて、ワーカープロセスの数を調整できます。
flask runとgunicornの適切な使い分け
ここまで、flask runコマンドとgunicornコマンドの概要と特徴について解説しました。
これまでの内容をまとめると、以下のようになります。
- flask run → 開発環境で使う
- gunicorn → 本番環境で使う
flask runコマンドは開発環境で使う
アプリケーションの開発中は、flask run
使いましょう。
詳細なデバッグ情報の表示やコードの自動リロードは、スムーズな開発ワークフローを提供します。flask run
はローカルでのテストやデバッグに最適です。
gunicornは本番環境で使う
アプリケーションを本番環境にデプロイする際には、Gunicornを使いましょう。
そのパフォーマンス、信頼性、スケーラビリティ、セキュリティ機能により、ライブアプリケーションのニーズを満たすことができます。
Gunicornを使用することで、ユーザーに効率的なサービスを提供し、必要に応じてアプリケーションをスケールアップすることができます。
まとめ
今回の記事では、Flaskで使う二つのコマンドについて調査しました。
今まではなんとなく使ってきた二つのコマンドでしたが、調べてみるとさまざまな違いがあることがわかりました。
このように、さまざまな違いを知ることで知識の深掘りができると思います。
また、flaskについてさらに知りたい方はこちらの記事も参考にしてください。
このように当ブログでは、ITに関する記事を発信しているので興味のある方は引き続きご覧ください。