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インプットだけで、また忘れていませんか?インフラの学びが定着する『アウトプット学習』の始め方

| #インフラ #独学 #学習法
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こんにちは、インフラエンジニアのryuです。

週末に技術書を1冊読み切って、動画講座も倍速で見終えた。あのときは「よし、わかったぞ」と思ったのに、いざ月曜日に手を動かそうとすると、何も出てこない。

そんな経験は、ありませんか。

私自身、勉強を始めたばかりの頃はまさにこれでした。ノートは分厚くなっていくのに、実力がついている実感がまるでない。焦って次の教材に手を伸ばし、また忘れる。この繰り返しでした。

今日お伝えしたいのは、根性の話ではありません。「見た・読んだ」で終わる学び方そのものに、忘れてしまう原因があるという話です。

そして、そこから抜け出す方法には、ちゃんと名前がついています。「アウトプット学習」です。難しい専門用語のように聞こえるかもしれませんが、やることはとてもシンプル。この記事を読み終える頃には、明日からの勉強のやり方が少し変わっているはずです。

なぜ「見た・読んだ」だけでは身につかないのか?

まず、ここをはっきりさせておきましょう。あなたの記憶力が悪いわけではありません。

人間の脳は、そういうふうにできているのです。

道を「教えてもらう」のと「自分で歩く」のは違う

引っ越してきたばかりの街を、想像してみてください。

駅から新しい家まで、親切な人が「そこを右、次の信号を左」と案内してくれた。その場では「なるほど」と思います。でも次の日、一人で歩こうとすると、あやふやになっている。曲がる場所を一つ間違えて、迷ってしまう。

一方、初日に自分の足で、地図を見ながら何度か歩いた道は、しばらく忘れません。多少道を間違えても、「あ、こっちじゃなかった」と自分で気づいて修正できます。

勉強もこれと同じです。教材を読むのは「案内してもらっている」状態。自分の頭から答えを絞り出すのが「自分で歩いている」状態です。

前者は楽で、進んでいる感覚も気持ちいい。でも、記憶にはあまり残らないのです。

「わかる」と「できる」は別もの

ここで一つ、大事な区別をしておきます。

教材を読んで理解できることを、心理学では「再認(さいにん)」と呼びます。目の前に答えがあって、それを見て「知ってる」と感じる状態です。

一方、何も見ずに自分で思い出せることを「再生(さいせい)」と呼びます。テストで問われるのも、現場で求められるのも、こちらです。

たとえば ls -l の実行結果を見て「ああ、これは権限の表示だな」とわかっても、何も見ずに「ファイルの権限を確認するコマンドは?」と聞かれて手が止まるなら、それはまだ「できる」に届いていません。

インフラの学習では、この差がとても大きく出ます。障害対応の場面では、手元に教科書を開いている余裕はありません。頭の中から手順を引っ張り出せるかどうか。それが実力です。

学習を、目の前の情報を「認識できる」状態で止めるのか、自分の頭から「取り出せる」状態まで持っていくのか。この違いが、数週間後に残っているかどうかを分ける。

つまり、勉強の質は「どれだけ読んだか」ではなく、「どれだけ自分の頭から引き出そうとしたか」で決まる、ということです。

記憶に残る人がやっている、3つのアウトプット

では、具体的にどうすればいいのか。学習の科学(認知心理学)の研究で、くり返し効果が確かめられている方法が、大きく3つあります。難しいことは何もありません。

順番に見ていきましょう。

① 思い出す練習(リトリーバル・プラクティス)

一つ目は、あえて「何も見ずに思い出す」時間をつくることです。

英語では retrieval practice(検索練習)と呼ばれます。テストのように自分に問いを出し、記憶を絞り出す。これがそのまま復習になる、という考え方です。

不思議に思うかもしれません。「もう一回読み直したほうが、覚えられるんじゃないの?」と。

ところが研究では、逆の結果が出ています。同じ内容を何度も読み返したグループより、一度読んだあとに「思い出すテスト」をしたグループのほうが、時間が経ったあとの定着が良かったのです。この「思い出す行為そのものが記憶を強める」現象は、テスト効果(testing effect)と呼ばれ、記憶研究のなかでも特に再現性の高い結果として知られています。

やり方はかんたんです。1章読み終えたら本を閉じて、白い紙にこう書くだけ。

今読んだ内容を、何も見ずに思い出して書く

- サブネットマスクは何のためにある?
- /24 は何台のホストが使える?
- デフォルトゲートウェイの役割を一言で
→ 書けなかったところだけ、本を開いて確認する

大事なのは、書けなかった問いこそが「まだ身についていない場所」だと教えてくれる、ということです。全部スラスラ書けたなら、その章の復習はもう要りません。書けない問いに時間を集中できるので、勉強の効率が一気に上がります。

障害の切り分けを独学で鍛えるときにも、この「まず自分で仮説を立ててから答え合わせをする」姿勢が効いてきます。切り分けの練習については、障害の切り分けを独学で鍛える方法で詳しく書いているので、あわせて読んでみてください。

② 間隔をあけて復習する(スペーシング)

二つ目は、復習のタイミングです。

一夜漬けで詰め込んだ知識が、試験の翌週にはきれいさっぱり消えている。誰しも心当たりがあると思います。

これも脳の性質どおりの結果です。同じ勉強時間を使うなら、一気にまとめてやるより、日をあけて何度かに分けたほうが、長く記憶に残る。これをスペーシング効果(spacing effect / 分散学習)と呼びます。

たとえば3時間ある人が、こう配分するイメージです。

やり方 時間の使い方 数週間後の定着
まとめて学習(一夜漬け) 3時間を1日で一気に 直後は良いが、すぐ抜ける
分散学習(間隔をあける) 1時間ずつ、3日に分ける 手間は同じでも長く残りやすい

ポイントは、勉強量を増やさなくてよいということです。同じ3時間を、ばらして使うだけ。忘れかけた頃にもう一度思い出すから、記憶が強くなるのです。

私のおすすめは、①の「思い出す練習」と組み合わせることです。昨日やった章の問いを、今日の勉強の最初に1〜2問だけ解く。これを毎回の習慣にすると、復習を別枠で確保しなくても、自然と間隔をあけた復習になります。

③ 人に教えるつもりで学ぶ(プロテジェ効果)

三つ目が、いちばん効果が大きいと私が感じている方法です。

「人に教える」こと。あるいは、誰かに教えるつもりで学ぶことです。

これにも名前があって、プロテジェ効果(protégé effect)と呼ばれます。人に説明しようとすると、自分のなかの「わかったつもり」があぶり出される。うまく説明できない部分こそ、実は自分もわかっていなかった部分だった——という経験の理屈です。

面白いのは、実際に相手がいなくてもいい、という点です。研究でも、「あとで人に教える」と思って学んだだけで理解が深まる傾向が示されています。ぬいぐるみに向かって説明してもいいし、架空の後輩を相手に想定してもいい。

インフラエンジニアの仕事は、突きつめると「わからない人にもわかるように、仕組みを説明する」ことの連続です。だから、教えるつもりで学ぶ習慣は、そのまま仕事の練習にもなります。

具体的には、こんな問いを自分に投げてみてください。

「サブネットって何?」と後輩に聞かれたら、専門用語を使わずに、たとえ話でどう説明する?

これにスラスラ答えられたら、あなたはもう、その概念を「できる」まで持っていけています。

インフラ学習で、どうアウトプットすればいい?

理屈はわかった。では、日々の学習にどう落とし込むか。ここがいちばん知りたいところだと思います。

インフラの学びは、アウトプットと相性が抜群です。なぜなら、手を動かせるからです。

とにかく自分の環境で手を動かす

本を読んで systemctl の使い方を「知った」だけでは、まだ半分です。自分の環境で打ち込んで、わざとエラーを出して、直してみる。ここまでやって初めて、記憶に残ります。

そのための環境は、いまはお金をかけずに用意できます。

# 自分のPCに仮想マシンを立て、コマンドを「打って」覚える
# 読むだけでなく、実行 → 結果を予想 → 答え合わせ、の順で

systemctl status sshd      # まず「どんな結果が出るか」を予想してから実行する
journalctl -u sshd --since "10 min ago"   # ログから状況を読み取る練習
sudo systemctl restart sshd               # 変更して、挙動の変化を自分の目で確認する

大事なのは、コマンドを打つ前に「たぶんこういう結果になるはず」と一度予想することです。予想して、外れて、「なぜ?」と考える。この一手間が、ただ写経するのとの決定的な差になります。

手を動かす環境の作り方は、自宅で作るインフラ学習ラボの始め方にまとめてあります。無料で始められる方法を紹介しているので、まだ環境がない人はここからどうぞ。

学んだことを「外に出す」場所を持つ

手を動かしたら、次はそれを言葉にして外に出します。頭の中だけで完結させないのがコツです。

出し方は、いくつもあります。

学習ノートに、自分の言葉でまとめ直す。教科書の文章を写すのではなく、「要するにこういうこと」と噛みくだいて書く。これは①の「思い出す練習」そのものです。

技術ブログに書く、というのも強力です。人が読む前提で書くと、あいまいな理解では文章が書けません。書こうとして初めて「あれ、ここ説明できないぞ」と気づく。まさにプロテジェ効果が働きます。

学んだ設定やスクリプトを GitHub に残していけば、それがそのままインフラエンジニアのポートフォリオにもなります。学習の記録が、未経験からの転職活動でそのまま武器になる。一石二鳥です。

公式ドキュメントを読んで、自分の言葉で要約するのも良い訓練です。ブログや他人のまとめに頼りきらず、一次情報にあたる習慣については、未経験エンジニアのための公式ドキュメントの読み方で触れています。

インプットとアウトプットの黄金比

とはいえ、インプットをゼロにする必要はありません。土台となる知識は当然いります。

大切なのはバランスです。私の感覚では、時間の配分はこれくらいがちょうどいい。

学習フェーズ インプット アウトプット
学び始め(全体像をつかむ) 多め 少なめでもOK
慣れてきた段階 半分 半分
定着させたい段階 少なめ 多め

多くの人は、いつまでもインプット側に偏りがちです。新しい教材を買うと安心するからです。でも、同じ教材でアウトプットの回数を増やすほうが、たいていの場合は効きます。

「次の本」を買う前に、いま持っている一冊で、思い出す練習を一周してみてください。

続けるためのコツと、よくある失敗

最後に、アウトプット学習を習慣にするための注意点を、いくつか。

まず、完璧なノートを作ろうとしないこと。きれいにまとめること自体が目的になると、それは「写す」作業に戻ってしまい、アウトプットではなくなります。汚くていいので、何も見ずに書けたかどうかだけを気にしてください。

次に、間違えることを恐れないこと。思い出す練習では、むしろ間違えたほうが得です。間違えた場所が、あなたの「伸びしろ」を正確に教えてくれるからです。全問正解のテストからは、何も学べません。

そして、一人で抱え込まないこと。教えるつもりで学ぶといっても、実際に質問できる相手や、体系立ったカリキュラムがあると、独学のスピードは大きく変わります。

InfraAcademy では、Linux・ネットワーク・クラウドを、手を動かしながら順序立てて学べるロードマップを用意しています。何をどの順番でアウトプットすればいいか迷ったら、Linux学習ロードマップのように、道筋がすでに引かれた教材から始めるのが近道です。学習全体の地図がほしい人は、インフラエンジニアの学習ロードマップもあわせて眺めてみてください。

もしあなたが企業で新人インフラエンジニアの育成を担当しているなら、この「アウトプット中心の学び」は研修設計にもそのまま活きます。研修を組織として仕組み化したい場合は、InfraAcademyの法人プランも検討材料になるはずです。

まとめ

今日の話を、最後にもう一度、自分に問いかけてみてください。

  • 教材を「見た・読んだ」で満足して、そこで止まっていませんか。
  • 何も見ずに思い出す時間を、勉強のなかに入れていますか。
  • 復習を、間隔をあけて何度かに分けていますか。
  • 学んだことを、人に説明するつもりで言葉にしていますか。

インプットは、学びの入り口にすぎません。そこから自分の頭で思い出し、手を動かし、誰かに説明する。この「外に出す」ひと手間を加えるだけで、同じ勉強時間でも残るものが変わります。

忘れてしまうのは、あなたのせいではありません。ただ、脳に合ったやり方を、まだ使っていなかっただけです。

今日読んだこの記事も、さっそくアウトプットしてみましょう。何も見ずに、「アウトプット学習の3つの方法は?」と自分に問いかけてみてください。答えられたなら、それはもう、あなたの知識です。

一緒に、少しずつ前へ進んでいきましょう。

参考記事

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この記事を書いた人

ryu

InfraAcademy運営 / エンジニア

エンジニア歴10年。Linux、ネットワーク、クラウドを中心に、実務で役立つインフラ技術を初心者にもわかりやすく解説しています。

X: @ryu63614894

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