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サーバーの見積もりが、去年の倍になっていませんか。2026年のメモリ価格高騰と現場でできる備え

| #インフラ運用 #メモリ #DRAM
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こんにちは、インフラエンジニアのryuです。

サーバーの更改の話が出て、見積もりを開いたときに、思わず二度見したことはないでしょうか。

「去年と同じ構成のはずなのに、なぜこんなに高いのか」と。

2026年のインフラ現場で、これはかなり広く共有されている感覚だと思います。原因の中心にあるのが、メモリ、つまりDRAMの価格です。AIの学習や推論のためのサーバーが世界中で大量に組まれた結果、私たちが普段使う一般的なサーバーやパソコンに回るメモリが足りなくなりました。

今日は、この1年で何が起きたのかを数字で押さえたうえで、明日からの運用や設計で何を見直せるかという話をします。数字の出どころは記事末尾にまとめてあります。

何が起きたのか:四半期ごとに跳ねた契約価格

まず、市場の動きを押さえておきましょう。調査会社のTrendForceが出している契約価格の見通しを並べると、この1年の勾配がはっきり見えます。

時期 契約価格の動き(前四半期比)
2026年 第1四半期 一般的なDRAMが55〜60%上昇の見通し
2026年 第2四半期 さらに58〜63%上昇の見通し
2026年 第3四半期 サーバー向けDRAMは13〜18%上昇へ減速

上昇率が2桁の後半で続くというのは、ふだんの部材調達ではまず見ない動き方です。第3四半期に入って「13〜18%」まで落ち着いたと言われても、それは上げ幅が小さくなっただけで、価格そのものは高いまま積み上がっている点に注意してください。階段を降りたのではなく、階段を上るペースが少しゆるんだだけです。

なぜ足りなくなったのか

理由は、驚くほど単純です。作る場所が限られているからです。

メモリを作る工場のラインは、簡単には増やせません。新しい工場を建てるには数年かかります。その限られたラインを、各メーカーはAI向けの高帯域メモリ(HBM)や、AIサーバー用の大容量モジュールに優先的に割り当てました。利益率の高いほうへ寄せるのは、企業としては自然な判断です。

その結果、一般的なサーバーやパソコン、スマートフォンに載る従来型のメモリが後回しになりました。足りなくなったのは生産能力そのものではなく、私たちの側に回ってくる取り分だ、という理解のほうが実態に近いと思います。

報道ベースでは、2026年に供給されるメモリの最大7割をデータセンター向けが消費するという見通しも出ています。残りを、世の中のすべてのパソコンやスマートフォンで分け合う計算になります。

たとえるなら、街に1軒しかないパン屋に、毎朝まとめ買いをする大口の客がついた状態です。パン屋の焼く量は変わっていないのに、近所の人が買える数は減り、値段は上がる。誰かが悪いわけではなく、配分が変わっただけ、という点がこの問題の厄介なところです。

AIサーバーは、なぜそこまでメモリを食べるのか

そもそも、なぜAI向けのサーバーはこれほどメモリを必要とするのでしょうか。

大規模なモデルは、計算のたびに膨大なパラメータを読み書きします。このとき、計算装置の近くに置いておけるデータの量と、そこへ流し込める速さが、そのまま処理性能を決めてしまいます。だからAI向けのサーバーには、速くて大容量のメモリが大量に載ります。1台あたりの搭載量が、一般的な業務用サーバーとは桁で違うのです。

GPUが計算の主役になっている背景は、なぜAIではGPUを使うのかでも解説しています。計算が速くなるほど、その速さに餌を供給し続けるメモリの重要性が上がる。この関係が、今の需給に直結しています。

ストレージも同じ流れにある

メモリだけの話ではありません。NANDフラッシュ、つまりSSDの中身も同じように逼迫しました。AI向けのデータ基盤は大量のストレージを必要とするため、ここでも供給が引っ張られています。

この構図は、電力の話ともつながっています。AI向けの設備がデータセンターの電力と冷却を押し上げている流れは、AIで変わったデータセンターの電力事情で書いたとおりです。電気も、メモリも、同じ場所に吸い寄せられている、というのが2026年の景色です。

価格はどこに跳ね返ってきたか

市場の数字は遠い話に聞こえますが、現場にはいくつかの経路で届いてきます。

オンプレミスのサーバー調達

いちばん分かりやすいのが見積もりです。同じ構成でも金額が上がり、しかも見積もりの有効期限が短くなりました。これまで1〜2か月は据え置いてもらえたものが、数週間で出し直しになるケースが増えています。

リードタイムも延びました。メーカー側が部材を確保できないため、納期が読みにくくなっているのです。調達に時間がかかるということは、機器の更改計画やデータセンターの移設計画の前提そのものを見直す必要がある、ということでもあります。

「予算を取ってから機種を決める」という順番が通用しにくくなりました。先に構成と数量を仮決めして、見積もりを早い段階で取りに行く。この順番の入れ替えが、2026年の調達では効きます。

クラウドの料金

クラウドなら関係ない、とはいきません。クラウド事業者もサーバーを買って並べている以上、原価は同じように上がります。

実際、欧州のホスティング事業者からは値上げの発表が相次ぎました。ドイツのHetznerは、部材価格の大幅な上昇を理由に最大50%の値上げを発表しています。安さを売りにしてきた事業者ほど、原価の上昇を吸収しきれずに価格へ反映せざるを得ません。

大手クラウドの汎用インスタンスについては、値上げの発表が大きく報じられる場面は限られていますが、GPU関連のサービスでは値上げの動きが伝えられています。いずれにせよ、「クラウドの単価は毎年少しずつ下がるもの」という、ここ10年の前提は一度置いたほうがよさそうです。

コストの見直し方そのものは、FinOpsとクラウドコストの考え方にまとめてあります。値上げの局面では、交渉よりも先に使っていない資源を止めるほうが効きます。

覚えておきたいのは、クラウドの値上げは単価の改定という形だけで来るとは限らない、という点です。新しい世代のインスタンスだけが値上げされる、割引の条件が変わる、特定のリージョンだけ在庫が薄くなって希望のサイズが取れない。こうした形でも、実質的な負担は増えます。請求書の合計だけを追っていると、この変化には気づけません。

「自社に戻す」判断にも影響する

オンプレミスの機器が高く、クラウドの料金も上がる。どちらも上がるなら、比較の軸は金額そのものよりも、どちらが読みやすいかに移ります。

複数年の契約で単価を固定できるか、増設が必要になったときにすぐ手当てできるか。こうした観点は、オンプレミス回帰を数字で読み解くで扱った論点とも重なります。メモリ価格は、その判断材料をひとつ増やしたと言えるでしょう。

現場のインフラエンジニアは、何を見直せるのか

価格は自分では動かせません。でも、必要な量は動かせます。ここからが本題です。

考え方はシンプルで、順番も決まっています。まず今使っている量を測る。次に、使っていないものを止める。そのうえで、それでも足りないぶんだけを買う。この順番を飛ばして先に見積もりを取ると、去年の構成をそのまま引き継いだ、高いだけの提案が出てきます。

実測にもとづいてサイジングし直す

まず疑いたいのが、「とりあえず余裕をもって」で決めた既存のメモリ搭載量です。

仮想マシンを立てるとき、なんとなく16GBを割り当てていないでしょうか。実際の使用量を測ってみると、半分も使っていないケースは珍しくありません。メモリの単価が上がった今、この余りは以前よりずっと高くつきます。

# 実際に使われている量と、利用可能な量を確認する
free -h

# 数日分の傾向を見る(sysstatが入っている場合)
sar -r 1 3

日々の監視で取っているグラフがあるなら、それがそのまま材料になります。単発の値ではなく、数週間ぶんの増え方を見ることが、削ってよい量を決める根拠になります。監視の数字を設計に生かす考え方は、運用監視の現場で何を持ち帰るかにも書きました。

ここで大事なのは、free の「空き」の行だけを見て判断しないことです。Linuxは空いているメモリをキャッシュとして活用するので、見かけの空きは少なく出ます。見るべきは available の値です。この読み方はLinuxのメモリ不足を見極める記事で詳しく解説しました。削る判断をする前に、ここを読み違えないようにしてください。

仮想化基盤は「詰め込み方」を再確認する

1台の物理サーバーに何台の仮想マシンを載せるか。この密度も、コストに直結します。

過剰に割り当てられた仮想マシンが数十台あれば、物理サーバー1台ぶんのメモリがそこで眠っている計算になります。棚卸しをして、使われていない検証用の仮想マシンを止めるだけでも、次の増設を先送りできる場合があります。

仮想化基盤そのものの移行を検討している場合は、ライセンス費と部材費の両方が同時に動いている点に注意が必要です。この論点は仮想化基盤の移行先はどう選ばれているのかで整理しています。

既存機の延命を、選択肢として見直す

これまでなら「5年経ったから更改」で通っていたものが、今年は少し事情が違います。新品が高く、納期も読みにくいのであれば、保守を延長して既存機を使い続けるほうが合理的な場面が出てきます。

判断の材料を整理しておきましょう。

見るべき点 延命が向いている場合 更改が向いている場合
部材の入手性 予備機や交換部品がまだ手に入る 保守部品の供給が終了間近
性能の余裕 使用率に余裕があり、当面伸びない すでに頭打ちで増設が必要
OSのサポート サポート期限まで余裕がある 期限が近く、どのみち入れ替えが必要
電力効率 消費電力の差が小さい 新型で電力が大きく下がる

この表を使うときのコツは、4つの行を別々に見ないことです。たとえば性能に余裕があっても、保守部品が手に入らないなら延命は成立しません。逆に、OSの期限が迫っていても、OSだけを入れ替えて機器は据え置く、という中間の選択肢が取れる場合もあります。二択で決めず、どこまでを今年やってどこからを来年に回すかという分け方で考えると、現実的な線が見えてきます。

社内の端末についても同じ波が来ています。メモリの値上がりはパソコンの価格に直結するため、まとめ買いの時期や台数の見直しが必要になった組織も多いはずです。サーバーの話だけだと思っていると、年度末に別の請求書で驚くことになります。

延命は「先送り」ではなく、価格が落ち着くまで待つという立派な戦略です。ただし、OSのサポート期限だけは待ってくれません。この点はサーバーOSのサポート期限の地図を合わせて確認してください。

この状況はいつまで続くのか

気になるのは出口だと思います。

新しい工場が立ち上がるのは2027年以降と見られており、TrendForceの予測では、2027年もDRAMの需給は逼迫が続く一方、NANDについては供給が緩和に向かうとされています。つまり、SSD側は先に落ち着き、メモリ側はもう少し長引く可能性がある、という見立てです。

ここから読み取れる実務上の示唆は、シンプルです。2026年度中に「価格が元に戻ったら買う」という前提で計画を立てるのは危ないということ。そして、いま持っている資源を正確に把握している組織ほど、値上げの影響を小さくできるということです。

無駄を削るには、まず測ることが要ります。freedf の出力を正しく読み、どこに余裕があってどこが本当に足りないのかを言える人が、こういう局面では強い。InfraAcademy のLinuxロードマップでは、こうした資源の確認と読み取りを実機で手を動かしながら学べます。相場が荒れている年こそ、基礎の確かさが効いてきます。

まとめ

2026年のメモリ価格高騰について、押さえておきたい点を振り返ります。

契約価格は年の前半に大きく跳ね、後半は上げ幅こそ縮んだものの、水準は高いままです。原因はAI向けの需要に生産が寄ったことで、影響はサーバーの見積もりとリードタイム、そしてクラウドの料金という形で現場に届いています。

私たちにできるのは、必要な量を正確に知ることです。実測でサイジングを見直し、眠っている資源を止め、更改と延命を状況に応じて選び直す。どれも派手ではありませんが、価格が高い年ほど効果が大きい行動です。

相場はいずれ落ち着きます。そのときに残るのは、自分たちのシステムがどれだけの資源を本当に必要としているかという、正確な把握のほうだと思います。

参考記事

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この記事を書いた人

ryu

InfraAcademy運営 / エンジニア

エンジニア歴10年。Linux、ネットワーク、クラウドを中心に、実務で役立つインフラ技術を初心者にもわかりやすく解説しています。

X: @ryu63614894

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