こんにちは、インフラエンジニアのryuです。
この記事は、AWSクラウドプラクティショナー(CLF-C02)の勉強で、サービス名と機能をひたすら暗記している人に向けて書いています。
「S3はストレージ、CloudTrailは操作の記録、CloudWatchは監視」というように、一覧表を見ながら覚えていく勉強は、最初の段階ではとても役に立ちます。
ただ、模擬試験を解くと、知っているサービスばかりなのに2つの選択肢で迷う、という経験をした人も多いのではないでしょうか。
この記事では、暗記で解ける問題と、仕組みを理解していないと迷う問題の違いを整理します。そのうえで、CLF-C02で理解しておきたい4つの仕組みを、確認問題といっしょに見ていきます。
CLF-C02は暗記だけで受かる?¶
最初に結論を書いておくと、暗記だけで合格できるかどうかは、人や受験する回によって変わるので断定はできません。
ただ、試験ガイドを読むと、暗記だけでは対応しにくい形の問題が出ることは分かります。まずは試験の形式から確認しておきましょう。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 問題数 | 65問(採点される50問+採点されない15問) |
| 試験時間 | 90分 |
| 問題の形式 | 択一(4つから1つ)と複数選択(5つ以上から2つ以上) |
| 合格ライン | 700点(100〜1,000点のスコア) |
| 分野ごとの合格基準 | なし(試験全体のスコアで判定) |
CLF-C02の試験ガイドでは、4つの分野の配点が次のように決められています。
| 分野 | 配点 |
|---|---|
| 第1分野:クラウドのコンセプト | 24% |
| 第2分野:セキュリティとコンプライアンス | 30% |
| 第3分野:クラウドテクノロジーとサービス | 34% |
| 第4分野:請求、料金、サポート | 12% |
第2分野と第3分野で全体の6割を超えます。この2つの分野には、サービスの名前を知っているだけでなく、どういう場面でどれを選ぶかを問う問題が多く含まれます。
暗記で解ける問題と、迷う問題の違い¶
CLF-C02の問題は、大きく2つの形に分けて考えると分かりやすくなります。
1つ目は、機能からサービス名を答える形です。たとえば「AWSアカウントでのAPIの呼び出しを記録するサービスはどれか」という問題なら、CloudTrailを覚えていれば答えられます。
2つ目は、状況を読んで判断する形です。「この会社はこういう要件を持っている。もっともコストが低い方法はどれか」のように、問題文の条件を読み取って選択肢を比べる必要があります。
| 問題の形 | 例 | 必要なこと |
|---|---|---|
| 機能 → サービス名 | 操作の記録を取るサービスはどれか | サービス名と機能の対応を覚えている |
| 状況 → 判断 | 中断されてもよい処理を安く動かすには | 料金モデルの仕組みと条件を理解している |
| 責任の範囲 | パッチの適用は誰の責任か | サービスの種類ごとに範囲が変わることを理解している |
2つ目と3つ目の形の問題では、選択肢に並ぶサービスはどれも聞いたことがあるものです。だからこそ、名前だけを覚えている状態だと、もっともらしい選択肢を2つまで絞ったところで止まってしまいます。
暗記した内容を、問題で使える形にする¶
暗記がむだになるわけではありません。サービス名と機能の対応は、状況を判断する問題でも前提になる知識です。
足りないのは、覚えた内容どうしをつなぐ理由の部分です。「なぜこのサービスはこの場面で使うのか」「なぜこちらの責任になるのか」を一言で説明できるようになると、迷う問題はかなり減ります。
具体的には、暗記用のメモに「使う場面」と「似ているものとの違い」の2行を足すだけでも効果があります。たとえば、次のような形です。
CloudTrail
機能 : AWSアカウントでの操作(APIの呼び出し)を記録する
使う場面: 誰がいつリソースを削除したかを調べたい
違い : CloudWatchはリソースの状態や性能の監視。操作の記録はCloudTrail
1行目だけなら一覧表の丸写しですが、2行目と3行目は自分で考えないと書けません。書けなかったサービスが、まだ理解があいまいなサービスです。
模擬試験で間違えた問題も、正解のサービス名を覚え直すだけで終わらせないようにしましょう。選んでしまった選択肢がなぜ違うのかを、このメモの形で1行書いておくと、同じ迷い方を繰り返さなくなります。
ここからは、理由まで理解しておくと得点につながりやすい4つの仕組みを紹介します。
理解しておきたい4つの仕組み¶
4つとも、試験ガイドのタスクに関係する内容で、サービスの名前だけでは判断できない問題が作られやすいところです。
責任共有モデル:サービスの種類で範囲が変わる¶
責任共有モデルは、AWSと利用者のどちらがどこまでのセキュリティに責任を持つかを決めた考え方です。
よく使われる言い方は、AWSは「クラウドのセキュリティ」、利用者は「クラウドにおけるセキュリティ」に責任を持つ、というものです。
責任共有モデルで大事なのは、利用者の責任の範囲が、使うサービスによって変わるという点です。
たとえばEC2では、利用者がゲストOSの管理(更新やセキュリティパッチの適用を含む)や、セキュリティグループの設定に責任を持ちます。
一方、S3やDynamoDBのような抽象化されたサービスでは、インフラ、OS、プラットフォームの運用はAWSが行います。利用者はデータの管理や、IAMでの権限の設定に責任を持ちます。
| サービスの例 | OSのパッチ | 利用者に残る主な責任 |
|---|---|---|
| EC2 | 利用者 | OS、ソフトウェア、セキュリティグループ、データ、権限 |
| S3・DynamoDB | AWS | データ、暗号化の設定、IAMでの権限 |
「パッチはAWSの責任」と丸暗記していると、EC2の問題で間違えます。サーバーを自分で持つサービスか、AWSがOSまで運用するサービスか、という見方で考えるのがコツです。
EC2とLambdaの責任範囲の違いは、EC2とLambdaの違いの記事でも詳しく整理しています。
リージョンとアベイラビリティーゾーン:何に備えるか¶
グローバルインフラの問題では、リージョン、アベイラビリティーゾーン(AZ)、エッジロケーションの関係がよく問われます。
リージョンは世界の地理的な地域で、1つのリージョンの中に、互いに離れた複数のAZがあります。この関係を覚えておくと、高可用性の問題が解きやすくなります。
| 備えたいこと | 考え方 |
|---|---|
| 1つのデータセンターの障害でサービスが止まらないようにする | 複数のAZにリソースを分けて置く |
| 地域全体の大規模な災害に備える | 別のリージョンにも環境やバックアップを用意する |
| 世界中の利用者に低い遅延でコンテンツを届ける | エッジロケーション(CloudFront)を使う |
ここでも、用語の定義を覚えるだけでなく、何に備えるためにどの単位で分けるのか、という目的とセットで理解しておくことが大切です。
リージョンをどう選ぶかも、状況を読む問題になりやすいところです。データを国内に置く必要があるか、利用者との距離(遅延)、使いたいサービスがそのリージョンで提供されているか、料金がどうか、といった条件を組み合わせて考えます。
「一番近いリージョンを選べばいい」とだけ覚えていると、法律や社内の規則でデータの保管場所が決まっている問題で迷ってしまいます。問題文のどの条件がいちばん優先されるのかを読み取るようにしましょう。
料金モデル:条件を読んで選ぶ¶
第4分野は配点が12%と小さいですが、料金モデルの問題は状況を読んで判断する形になりやすいところです。
EC2の代表的な購入オプションを、選ぶときの条件といっしょに整理しておきましょう。
| 購入オプション | 向いている条件 |
|---|---|
| オンデマンド | 短期間の利用、使う量が予測できない、中断できない |
| Savings Plans・リザーブドインスタンス | 1年または3年の継続的な利用が見込める |
| スポットインスタンス | 中断されてもやり直せる処理を、できるだけ安く動かしたい |
スポットインスタンスは、AWSが容量を必要とするときに中断されることがあり、その2分前に通知が出ます。この仕組みを知っていれば、「中断できない本番のデータベース」にスポットを選ぶ選択肢は外せます。
問題文に「中断されても問題ない」「1年以上使い続ける」のような条件が書かれていたら、それが選択肢を決める手がかりです。
通信の制御:どこで、何を許可するか¶
最後は、ネットワークのセキュリティです。セキュリティグループとネットワークACLは、どちらも通信を制御する仕組みなので、名前だけで覚えていると混ざりやすくなります。
違いは、どこに適用するかと、戻りの通信の扱いです。
| 項目 | セキュリティグループ | ネットワークACL |
|---|---|---|
| 適用する単位 | インスタンスなどのリソース | サブネット |
| 戻りの通信 | 許可した通信の戻りは自動で許可(ステートフル) | 戻りの通信にもルールが必要(ステートレス) |
| 書けるルール | 許可のみ | 許可と拒否 |
「特定のIPアドレスからの通信を明示的に拒否したい」という問題なら、拒否のルールが書けるネットワークACLが候補になります。理由を言えるようにしておくと、選択肢で迷いません。
今日やる練習:仕組みで考える確認問題3問¶
ここで、実際に手を動かしてみましょう。どれも、サービス名を知っているだけでは2択で迷う形にしてあります。
正解を選ぶだけでなく、なぜほかの選択肢が違うのかを一言で説明できるかを確認してください。正解と解説は、各問題の下の引用ブロックにまとめています。
問題1:責任の範囲¶
ある会社が、EC2インスタンスでWebアプリケーションを動かしています。責任共有モデルにおいて、この会社の責任になるものはどれでしょうか。
- A. データセンターの物理的なセキュリティ
- B. EC2インスタンスのゲストOSへのセキュリティパッチの適用
- C. 仮想化のためのハイパーバイザーの管理
- D. リージョン間をつなぐネットワーク機器の保守
正解:B EC2では、ゲストOSの更新とセキュリティパッチの適用は利用者の責任です。A、C、Dは、AWSが責任を持つ「クラウドのセキュリティ」に含まれます。
問題2:料金モデルの選択¶
画像の変換処理を毎晩まとめて実行しています。処理は途中で止まっても、あとからやり直せば問題ありません。もっともコストを抑えられるEC2の購入オプションはどれでしょうか。
- A. オンデマンドインスタンス
- B. スポットインスタンス
- C. 専有ホスト
- D. 3年のリザーブドインスタンス(毎日24時間の利用を前提)
正解:B スポットインスタンスは中断される可能性がありますが、そのぶん安く利用できます。中断されてもやり直せる処理に向いています。毎晩の一時的な処理なので、24時間の利用を前提とした長期の購入オプションは無駄が出ます。
問題3:高可用性の設計¶
1つのデータセンターで障害が起きても、Webアプリケーションを動かし続けたいと考えています。もっとも適切な方法はどれでしょうか。
- A. 1つのAZの中で、インスタンスのサイズを大きくする
- B. 複数のAZにインスタンスを配置する
- C. CloudFrontのエッジロケーションにアプリケーションを置く
- D. インスタンスのバックアップを同じAZに保存する
正解:B AZは互いに離れた場所にあるので、複数のAZに分けて配置すると、1つのAZで障害が起きても残りのAZで動かし続けられます。A と D は、同じAZの障害には対応できません。
3問とも、ほかの選択肢が違う理由まで言えたなら、この4つの仕組みは理解できています。理由が言えなかった問題は、その仕組みの表に戻って読み直してみてください。
InfraAcademyで、理解したことを問題で確かめる¶
暗記した内容を理解に変えるには、状況を読む形の問題をたくさん解いて、迷った理由を1つずつ確認していくのが近道です。
InfraAcademyでは「AWS認定 クラウドプラクティショナー模擬試験150問」を用意しています。InfraAcademy の資格模擬問題から、4つの分野の問題を続けて解けるので、間違えた問題をこの記事の4つの仕組みのどれに当たるかで分けて復習してみてください。
また、AWSの講座の中にはシミュレーターもあります。サービスの関係を手を動かして確かめたい人は、AWSのロードマップから講座に進んでみてください。
実際のAWSアカウントで手を動かしてみたい方は、料金の注意点もあわせて解説しているAWS初心者が最初に試したい3つの操作の記事から始めるのがおすすめです。
まとめ¶
CLF-C02は、サービス名と機能の暗記が土台になる試験です。ただ、状況を読んで判断する問題では、名前を知っているだけだと選択肢で迷ってしまいます。
この記事では、責任共有モデル、リージョンとAZ、料金モデル、通信の制御の4つについて、「なぜそうなるのか」を表で整理しました。覚えた内容に一言の理由を足すことが、暗記を得点に変えるいちばんの方法です。
似たサービスの違いをもっと整理したい方はS3・EBS・EFSの違いの記事も、勉強の全体の順番を見直したい方はCLF-C02の勉強方法の記事も参考にしてください。理由まで理解した知識は、試験のあとも実務でそのまま役に立ちます。



