インフラエンジニアという仕事を聞いたことはあるけれど、何をしている人なのかはよくわからない。
そんな方も多いのではないでしょうか。
サーバーを触る人?ネットワークを作る人?それとも、AWSを使う人?
どれも間違いではありません。
インフラエンジニアは、Webサイトや社内システム、スマートフォンアプリなどが安定して動き続けるための土台を作り、守るエンジニアです。
普段は目立ちません。
でも、問題が起きると、Webサイトやメール、社内システムが使えなくなります。
この記事では、インフラエンジニアの仕事内容や種類、必要なスキル、向いている人の特徴、未経験からの勉強方法まで解説します。
私はエンジニアとして10年以上、Web開発やLinux、ネットワーク、サーバー運用に関わってきました。
その経験も交えながら、IT初心者にもわかりやすくお伝えします。
インフラエンジニアとは¶
インフラエンジニアとは、ITサービスを動かすために必要なサーバー、ネットワーク、クラウドなどの基盤を設計・構築・運用するエンジニアです。
ここでいうインフラは、Infrastructure、つまり基盤や土台という意味です。
ITインフラは電気や道路に似ている¶
私たちの生活は、電気、水道、道路などのインフラに支えられています。
ITの世界も同じです。
Webサイトを表示するには、プログラムだけでは足りません。
プログラムを動かすサーバーが必要です。ユーザーとサーバーをつなぐネットワークも欠かせません。
さらに、データを保存するストレージ、通信を守るファイアウォール、障害を検知する監視システムも必要になります。
これらをまとめて支えるのが、インフラエンジニアです。
表からは見えにくい仕事¶
Webデザイナーが作った画面や、プログラマーが作った機能は、ユーザーの目に見えます。
一方、インフラは表から見えにくい存在です。
何も問題が起きていないときは、利用者から意識されることもありません。
でも、それが理想です。
インフラエンジニアの仕事は、システムを速く、安全に、止まりにくい状態で動かし続けること。
派手ではないかもしれませんが、サービスの信頼性を支える重要な役割です。
インフラエンジニアの仕事内容¶
インフラエンジニアの仕事は、サーバーを設定して終わりではありません。
システムの計画から構築、運用、障害対応まで、幅広い工程に関わります。
要件定義と設計¶
最初に行うのは、どのようなインフラが必要なのかを整理する作業です。
たとえば、次のような条件を確認します。
| 確認する内容 | 具体例 |
|---|---|
| 利用者数 | 100人なのか、10万人なのか |
| 利用時間 | 平日だけか、24時間365日か |
| 性能 | どれくらいのアクセスへ対応するか |
| 可用性 | 障害時にどの程度で復旧するか |
| セキュリティ | 誰がどこからアクセスできるか |
| 予算 | 初期費用と月額費用はいくらか |
この条件をもとに、サーバー台数、ネットワーク構成、クラウドサービス、バックアップ方法などを決めます。
いきなりコマンドを入力するわけではありません。
まず考える。
ここが設計の仕事です。
サーバーやネットワークの構築¶
設計が決まったら、LinuxサーバーへWebサーバーを入れたり、スイッチへVLANを設定したり、AWS上にVPCやEC2を作ったりします。
ただ動けばよい、ではありません。
障害へ備えられるか。設定ミスが起きにくいか。別の担当者が見ても理解できるか。
そこまで考えるのが構築です。
運用と監視¶
完成後は、CPUやメモリ、ディスク、通信、ログ、バックアップなどを確認し、異常があれば対応します。
地道ですよね。
しかし、小さな変化から障害の予兆を見つけ、問題が起きる前に対処できたときは、大きな達成感があります。
障害対応¶
サーバーへ接続できない。Webサイトが遅い。特定の拠点だけ通信できない。
そんな障害が発生したとき、原因を切り分けて復旧するのもインフラエンジニアの仕事です。
障害対応では、いきなり設定を変更しません。
まず、何が正常で、どこから異常なのかを確認します。
サーバーは起動しているか。ネットワークは通るか。DNSで名前解決できるか。ポートは待ち受けているか。ログには何が記録されているか。
順番に調べます。
エンジニア歴が長くなっても、最初から原因が見えるわけではありません。
仮説を立て、確認し、違えば次へ進む。
この繰り返しです。
自動化と改善¶
繰り返し作業は、シェルスクリプト、Python、Ansible、Terraformなどで自動化します。
ただし、初心者が最初から自動化ツールを完璧に覚える必要はありません。
まず手動で仕組みを理解する。その後、自動化へ進む。
この順番が大切です。
インフラエンジニアの種類¶
インフラエンジニアは、担当する技術によっていくつかの分野に分かれます。
会社によっては1人で複数分野を担当することもあります。
サーバーエンジニア¶
サーバーエンジニアは、LinuxやWindows Serverを使って、システムを動かす環境を作る仕事です。
ユーザー管理、ファイル権限、Webサーバー、DNS、メール、バックアップ、ログ管理などを扱います。
Linuxコマンドを入力する機会が多いため、インフラエンジニアを目指すなら最初に学びたい分野です。
ネットワークエンジニア¶
ネットワークエンジニアは、パソコンやサーバー同士が通信できる仕組みを作ります。
IPアドレス、サブネット、VLAN、ルーティング、DNS、VPN、ファイアウォールなどが主な学習分野です。
ネットワークは目に見えません。
そのため、最初は難しく感じます。
しかし、通信の流れを図に描き、pingやtracerouteで一つずつ確認すると、少しずつ理解できるようになります。
クラウドエンジニア¶
クラウドエンジニアは、AWS、Microsoft Azure、Google Cloudなどを使ってインフラを作ります。
物理サーバーを購入せず、画面やAPIから環境を用意できる。便利ですよね。
ただし、Linuxやネットワークが不要になるわけではありません。
クラウドは、基礎知識を組み合わせて使う場所です。
セキュリティやデータベースを担当する場合もある¶
会社によっては、アクセス権限、脆弱性対応、ログ監視、バックアップ、データベース運用もインフラチームが担当します。
すべてを最初から覚える必要はありません。Linuxとネットワークを土台にして、少しずつ広げていきましょう。
インフラエンジニアとプログラマーの違い¶
インフラエンジニアとプログラマーは、どちらもITエンジニアですが、主に担当する対象が異なります。
| 職種 | 主に担当するもの |
|---|---|
| インフラエンジニア | サーバー、ネットワーク、クラウド、監視 |
| プログラマー | アプリケーションや業務機能 |
| Webエンジニア | Webサービスの画面やサーバー側処理 |
| セキュリティエンジニア | 脅威対策、監視、インシデント対応 |
境界は完全に分かれていません。
WebエンジニアがAWSを設定することもあれば、インフラエンジニアがPythonで運用ツールを作ることもあります。
私自身も両方に関わってきましたが、アプリとインフラを横断して考えられると、障害原因を広く探せます。
インフラエンジニアに必要なスキル¶
インフラエンジニアには、どのようなスキルが必要なのでしょうか。
一覧を見ると多く感じるかもしれません。
大丈夫です。
順番に学べば問題ありません。
Linuxの基本操作¶
Linuxは、多くのWebサーバーやクラウド環境で利用されています。
最初は、次のような基本コマンドから始めます。
pwd
ls -la
cd /var/log
cat /etc/os-release
ip address
systemctl status sshd
コマンド名だけを暗記するのではなく、ファイルを探す、ログを見る、サービスの状態を確認するといった目的とセットで覚えましょう。
ネットワークの基礎¶
インフラの仕事では、通信できない原因を調べる機会が多くあります。
IPアドレス、サブネットマスク、デフォルトゲートウェイ、DNS、ポート番号は必須の基礎知識です。
難しそうですか?
最初から計算問題ばかり行う必要はありません。
自分のパソコンのIPアドレスを確認し、ルーターへpingを実行し、DNSでWebサイトの名前を調べる。
身近な通信から理解すると、イメージしやすくなります。
クラウドの知識¶
現在のインフラでは、クラウドの知識も重要です。
AWSなら、まず次のサービスから学ぶとよいでしょう。
| サービス | 役割 |
|---|---|
| EC2 | 仮想サーバー |
| VPC | AWS内の仮想ネットワーク |
| IAM | ユーザーや権限の管理 |
| S3 | オブジェクトストレージ |
| CloudWatch | メトリクスやログの監視 |
サービス名を覚えるだけでは、実務では使えません。
VPCの中にサブネットを作り、EC2を起動し、セキュリティグループで必要な通信だけを許可する。
実際に構築して、つながらない原因を調べる経験が大切です。
セキュリティの基礎¶
必要な通信だけを許可する。権限を与えすぎない。更新、ログ、バックアップを忘れない。
こうした基本の積み重ねがセキュリティにつながります。
コミュニケーション能力¶
黒い画面へ一人で向かう仕事に見えますが、実際は開発チームや利用部門との連携が欠かせません。
何が起きていて、どのような影響があり、次に何をするのか。
専門外の人へ伝える力も必要です。
インフラエンジニアに向いている人¶
原因を順番に調べることが好きな人、地道な確認を続けられる人は向いています。
ログやコマンドの結果から原因を絞り込む作業は、少し謎解きに似ています。
また、インフラはクラウドや自動化へ広がり続けています。
すべてを追いかける必要はありませんが、わからないことを調べ、試す習慣は必要です。
インフラエンジニアは未経験から目指せる?¶
未経験からでも目指せます。
実際、監視や運用、ヘルプデスクなどから経験を積み、サーバー構築やクラウドへ進む人もいます。
ただし、求人へ応募するだけで自然に技術が身につくわけではありません。
自分でLinuxを操作し、ネットワークを作り、サーバーを構築した経験があると、面接でも具体的に話せます。
「勉強しました」だけでは弱い。
何を作り、どこで失敗し、どう直したのか。
ここまで話せると、学習の本気度が伝わります。
インフラエンジニアになるための勉強方法¶
では、何から勉強すればよいのでしょうか。
初心者におすすめする順番は、Linux、ネットワーク、サーバー構築、クラウドです。
1.ITとパソコンの基礎を学ぶ¶
OS、CPU、メモリ、ストレージ、ファイル、プロセスなどの基本用語を確認します。
細かな暗記より、パソコンの中で何が動いているのかを説明できる状態を目指しましょう。
2.Linuxコマンドを実際に入力する¶
次に、Linuxの基本操作を学びます。
本や動画を見るだけではなく、必ず自分でコマンドを入力してください。
mkdir practice
cd practice
echo "hello" > sample.txt
cat sample.txt
cp sample.txt backup.txt
ls -l
短い操作でも構いません。
入力して、結果を見る。
間違えて、エラーを読む。
この繰り返しが重要です。
3.ネットワークを図に描く¶
IPアドレスやサブネットは、文章だけで学ぶと混乱しやすい分野です。
パソコン、スイッチ、ルーター、サーバーを紙へ描き、どの機器にどのIPを設定するのかを書いてみましょう。
Packet Tracerなどを使えば、VLANやルーティングも無料で練習できます。
通信できたら終わりではありません。
わざとIPアドレスやゲートウェイを間違えて、原因を調べてみてください。
4.サーバーを構築する¶
Linuxの基本操作に慣れたら、WebサーバーやDNSサーバーを構築します。
ApacheやNginxをインストールし、自分のブラウザからページを表示してみましょう。
最初は表示できないこともあります。
むしろ、それで大丈夫です。
サービスは起動しているか。ファイアウォールは通っているか。IPアドレスは正しいか。
調べる過程で、知識がつながります。
5.AWSで同じ構成を作る¶
Linuxとネットワークの基礎ができたら、AWSへ進みます。
VPC、サブネット、インターネットゲートウェイ、ルートテーブル、EC2、セキュリティグループを組み合わせ、Webサーバーを公開します。
このとき、AWSの画面操作だけを覚えないでください。
なぜパブリックサブネットになるのか。なぜルートテーブルが必要なのか。なぜSSHの許可が必要なのか。
理由を説明できる状態を目指します。
6.資格は学習の目印として使う¶
LinuxならLinuCやLPIC、ネットワークならCCNA、AWSならAWS認定資格などがあります。
資格は、学習範囲を整理する目印として役立ちます。
ただし、資格だけでは実務経験の代わりにはなりません。
問題集で正解できても、Linuxへログインして設定できなければ困ります。
資格学習とハンズオンをセットで進めましょう。
InfraAcademyでインフラを実践的に学ぶ¶
インフラ学習で多くの初心者がつまずくのは、教材の内容ではなく、練習環境の準備です。
Linuxを入れようとしたらエラーが出た。ネットワーク機器を買うのは高い。AWSは料金が心配。
勉強を始める前に疲れてしまうこともあります。
そこで、インフラを実際に操作しながら学びたい方におすすめしたいのが、InfraAcademyです。
ブラウザ上でLinuxコマンドを練習できる¶
InfraAcademyでは、ブラウザ上のLinux環境でコマンドを入力しながら学べます。
動画を見て終わりではありません。
自分で入力し、結果を確認し、問題を解く。
実務に近い形で練習できます。
ネットワーク構築を手を動かして学べる¶
IPアドレス、VLAN、ルーティング、DNSなどは、図を見ただけでは理解しにくい分野です。
InfraAcademyでは、ネットワークを構築しながら、それぞれの設定が必要な理由を学べます。
AWSの構成を安全に練習できる¶
AWSを自分で操作すると、料金やアカウント設定が気になる方もいるでしょう。
InfraAcademyでは、AWSの構成を学べるシミュレーターを使い、VPCやサブネット、EC2などの仕組みを練習できます。
いきなり本物の環境で課金や削除を心配する必要はありません。
まずシミュレーターで仕組みを理解し、その後に実際のAWSへ進むと安心です。
知識を点ではなく線で学ぶ¶
Linux、ネットワーク、AWSを別々に覚えるだけでは、実務でのつながりが見えません。
LinuxでWebサーバーを作り、通信を理解し、AWS上でも同じ構成を作る。
InfraAcademyでは、この流れを段階的に学べます。
インフラエンジニアについてよくある質問¶
最後に、初心者からよく聞かれる疑問へ回答します。
プログラミングはできないといけませんか?¶
最初から高度なプログラミングは必要ありません。
ただし、シェルスクリプトやPythonを使えると、運用作業の自動化やログ処理で役立ちます。
まずはLinuxとネットワークを学び、その後に簡単な自動化へ進みましょう。
文系でもインフラエンジニアになれますか?¶
文系でも問題ありません。
高度な数学よりも、わからないことを調べ、手順を整理し、繰り返し練習できることが重要です。
夜勤はありますか?¶
24時間監視の仕事では夜勤や休日対応がある一方、設計・構築やクラウドでは通常勤務が中心の職場もあります。
求人では、勤務形態と障害対応の当番を確認しましょう。
いきなりクラウドから勉強してもよいですか?¶
AWSから始めても構いません。
ただし、Linuxとネットワークを避けたまま進むと、設定項目の意味がわからず、画面操作の暗記になりやすいです。
クラウドを学びながら、Linuxとネットワークの基礎も並行して身につけるのがおすすめです。
インフラエンジニアとは?まとめ¶
インフラエンジニアとは、ITサービスが安定して動くための土台を作り、守るエンジニアです。
サーバー、ネットワーク、クラウド、セキュリティ、監視など、担当する分野は幅広くあります。
最初からすべてを覚える必要はありません。
Linuxの基本操作から始め、ネットワーク、サーバー構築、AWSへ進みましょう。
そして、読むだけで終わらせないこと。
実際にコマンドを入力し、構成を作り、エラーを直す。
この経験が、インフラエンジニアになるための力になります。
InfraAcademyでは、Linux、ネットワーク、サーバー構築、AWSをブラウザ上で実践的に学べます。
何から始めればよいかわからない方は、まずLinux入門から触ってみてください。