InfraAcademy

InfraAcademy Blog

LPICの問題集を何周しても点数が伸びないのはなぜ?間違えた問題の復習を「選択肢の説明」と「実行」に変える方法

著者: ryu | #Linux #LPIC #LPIC-1
Linuxをブラウザで試してみる

Linux・ネットワーク・AWSを、環境構築なしで実践学習できます

この記事を共有

こんにちは、インフラエンジニアのryuです。

LPICの問題集を2周、3周と回しているのに、点数がなかなか上がらない。そんな相談をよく受けます。

問題集の中ではそれなりに正解できるのに、模擬試験や別の問題集になると急に点が下がる、というパターンも多いです。

この記事は、LPIC-1の問題集をひととおり解いたものの、そこから点数が伸びなくなった人に向けて書いています。

原因を確認したうえで、間違えた問題の復習のしかたを変える方法と、今日その場でできる練習を紹介します。

問題集を何周しても点数が伸びないのはなぜ?

まずは、点数が止まってしまう原因から見ていきましょう。

問題集を何周もしているのに点数が伸びないときは、勉強量が足りないというより、問題の解き方がいつの間にか変わっていることが多いです。

答えの位置や文言を覚えてしまっている

同じ問題集を繰り返すと、問題文の最初の数語を見ただけで「これはCだった」と思い出せるようになります。

この状態で正解しても、コマンドやファイルの意味を理解しているとは限りません。

問題集の正答率は上がっているのに、模擬試験の点数が変わらないなら、このパターンを疑ってみてください。問題の聞き方や選択肢の順番が変わると、覚えていた答えが使えなくなります。

正解以外の選択肢を説明できない

もう1つよくあるのが、正解の選択肢だけを覚えて、ほかの選択肢を読んでいないケースです。

たとえば、パーミッションの問題で正解が chmod 750 だったとします。このとき、ほかの選択肢の chmod 740 や chmod 755 がそれぞれどうなるのかを説明できるでしょうか。

本番では、同じテーマでも別の角度から聞かれます。前の問題では不正解の選択肢だったものが、次の問題では正解になることもあります。

重みの大きい主題と、練習の量がずれている

LPIC-1の出題範囲には、主題ごとに重み(Weight)が決められていて、重みが大きい主題ほど多く出題されます。

LPI公式の学習教材によると、たとえば101試験の「103.4 ストリーム、パイプ、リダイレクトを使う」は重みが4です。

問題集を最初から順番に回していると、得意な分野ばかり何度も解き、重みの大きい苦手分野を後回しにしてしまうことがあります。点数を上げたいなら、間違えやすくて出題数も多い主題に、練習の時間を寄せる必要があります。

ここまでの原因を表にまとめると、次のようになります。

原因 よくあるサイン 直すときの方向
答えを覚えている 問題集では正解できるのに、別の問題になると解けない 選択肢をすべて説明する復習に変える
正解以外を読んでいない 似たコマンドやオプションの問題で迷う 不正解の選択肢も実際に打って確かめる
練習の量がずれている 得意な主題ばかり正答率が高い 重みの大きい苦手分野から解き直す

間違えた問題は、どう復習すればいい?

ここからは、点数を上げるための復習のしかたを紹介します。

模擬試験の記事では、間違えた理由を分けて記録する方法を紹介しました。まだ読んでいない人は、LPIC-1の模擬試験の使い方もあわせて読んでみてください。

この記事では、記録したあとの「解き直し」の中身に絞って説明します。ポイントは、正解を覚え直すのではなく、すべての選択肢を自分の言葉で説明できるようにすることです。

選択肢を1つずつ説明する

間違えた問題は、正解を確認したら、すぐに次の問題へ進まないようにします。

選択肢ごとに、それを実行したら何が起きるのかを1行で書き出してみてください。たとえば、標準エラー出力のリダイレクトの問題なら、次のような形です。

選択肢 何が起きるか
cmd > out.txt 2>&1 標準出力も標準エラー出力も out.txt に書かれる
cmd 2>&1 > out.txt 標準出力だけが out.txt に書かれ、エラーは画面に出る
cmd 2> out.txt 標準エラー出力だけが out.txt に書かれる
cmd \| tee out.txt 標準出力が画面と out.txt の両方に出る。エラーはファイルに入らない

4つの選択肢すべてを説明できれば、その問題は理解できたと考えてよいです。1つでも説明できないものがあれば、そこが次に確かめるところです。

コマンドを打って確かめる

説明が合っているかどうかは、実際にLinuxで打って確認するのがいちばん確実です。

上の表の2つ目と1つ目の違いは、文字で読むだけだと混乱しやすいところです。存在するファイルと存在しないファイルを一緒に ls すると、違いがはっきり見えます。

# 標準出力と標準エラー出力の両方をファイルに書く
ls /etc/hosts /nothing > out1.txt 2>&1
cat out1.txt

# 順番を入れ替えると、エラーだけ画面に出る
ls /etc/hosts /nothing 2>&1 > out2.txt
cat out2.txt

1つ目では、out1.txt の中に /etc/hosts とエラーメッセージの両方が入ります。2つ目では、エラーメッセージは画面に出て、out2.txt には /etc/hosts だけが入ります。

リダイレクトは左から順番に処理されるので、2>&1 を書いた時点での標準出力の行き先に、標準エラー出力がつながります。この順番の話は、打って確かめると一度で覚えられます。

確かめるときは、壊れても困らない練習用の環境を使いましょう。rm や chmod を含む問題は、作業用のディレクトリを作ってから試すと安心です。

手を動かす練習をもっとまとめてやりたい人は、LPIC-1の範囲をコマンドで確かめるハンズオン課題も使ってみてください。

日をあけて、もう一度解き直す

選択肢を説明できるようになったら、その日のうちにもう一度解いても、あまり意味がありません。直前に読んだ解説を覚えているだけだからです。

解き直しは、日をあけて行います。目安は次のとおりです。

タイミング やること
間違えた当日 選択肢をすべて説明し、コマンドを打って確かめる
2〜3日後 選択肢を見ずに、問題文だけで答えを考える
1週間後 同じ主題の、まだ解いていない問題を解く

1週間後に別の問題を解くのが大事なところです。同じ問題ではなく、同じ主題の別の問題で正解できれば、答えではなく内容を覚えられたと判断できます。

たまたま正解した問題も復習に入れる

見落としやすいのが、迷ったけれど正解した問題です。

2択まで絞って勘で選んだ問題は、点数の上では正解でも、理解の上では間違えた問題と同じです。次に解いたときに外れる可能性が高いので、問題番号の横に印を付けて、間違えた問題と一緒に選択肢の説明をしておきましょう。

解説を読んでも分からないときは

問題集の解説を読んでも、なぜその答えになるのか分からないことがあります。

そういうときは、解説を何度も読み返すより、man でコマンドの説明を確認するほうが早いことが多いです。たとえば man chmod や man kill を開いて、問題に出てきたオプションの行だけを探してみてください。

それでも分からない問題は、無理に今日中に理解しようとしなくてかまいません。参考書の該当する主題を読み直してから、日をあけて戻ってくるほうが、結果的に早く進みます。

どの主題から解き直せばいい?

復習の方法が決まったら、次はどこから手を付けるかです。

LPIC-1の出題範囲は、101試験が主題101〜104、102試験が主題105〜110に分かれています。

試験 主題 内容
101 101〜102 システムアーキテクチャ、インストールとパッケージ管理
101 103〜104 GNUとUnixのコマンド、デバイスとファイルシステム
102 105〜106 シェルとスクリプト、ユーザーインターフェースとデスクトップ
102 107〜108 管理業務、重要なシステムサービス
102 109〜110 ネットワークの基礎、セキュリティ

問題集の結果を主題ごとに分けて、正答率が低いところから解き直します。同じくらい苦手な主題が2つあるなら、公式の出題範囲で重みが大きいほうを先にしましょう。

101試験の主題103は、コマンドを打った経験の差が出やすい分野です。問題集で点が取れないときは、ここから手を動かす練習を増やすと効果が出やすいです。

問題集の周回は、回ごとに目的を変える

点数が伸びない人の多くは、1周目も3周目も同じやり方で問題集を解いています。

周回を重ねるなら、回ごとに目的を変えるのがおすすめです。

周回 目的 進め方
1周目 出題範囲の全体を知る 分からなくても止まらずに最後まで解く
2周目 間違えた問題を理解する 選択肢の説明とコマンドの確認をする
3周目 理解できたかを確かめる 間違えた問題だけを、選択肢を隠して解く

3周目で全問を解き直す必要はありません。1周目と2周目で間違えた問題と、たまたま正解しただけの問題に絞れば、時間も短くて済みます。

2周目は、1問にかける時間が1周目よりかなり長くなります。1日に解く数は減ってもかまいません。

選択肢の説明とコマンドの確認まで含めて、1日10問前後をていねいに復習するほうが、30問を答え合わせだけで終わらせるより点数につながりやすいです。

また、問題集を何周も回すより、別の問題に当たるほうが実力を測りやすいです。参考書と問題集の組み合わせで迷っているなら、LPICは白本だけで合格できるのかも参考になると思います。

今日やる練習:3問を「すべての選択肢」で解く

ここで、実際に練習してみましょう。

次の3問は、この記事のために作ったオリジナルの問題です。正解を選ぶだけでなく、すべての選択肢について「それを選んだら何が起きるか」を説明してから、解説を読んでください。

問1:出力をまとめてファイルに書く

cmd の標準出力と標準エラー出力を、両方とも out.txt に書き込むコマンドはどれでしょう。

  • A. cmd 2>&1 > out.txt
  • B. cmd > out.txt 2>&1
  • C. cmd 2> out.txt
  • D. cmd | tee out.txt

正解:B Aは順番が逆なので、エラーは画面に出たままです。Cはエラーだけ、Dは標準出力だけがファイルに入ります。上で紹介した ls /etc/hosts /nothing の例で、4つとも打って確かめてみてください。

問2:数字で指定したパーミッション

chmod 750 report.sh を実行したあと、ls -l で表示されるパーミッションはどれでしょう。

  • A. -rwxr-x---
  • B. -rwxrw----
  • C. -rw-r-x---
  • D. -rwxr-xr-x

正解:A 7は rwx、5は r-x、0は --- です。Bはグループが6(rw-)、Cは所有者が6、Dはその他のユーザーまで5になっています。空のファイルを作って chmod してから ls -l で確かめると、数字と記号の対応を覚えやすくなります。

パーミッションの問題をまとめて解きたい人は、パーミッションの練習問題もどうぞ。

問3:killで送られるシグナル

kill コマンドでシグナルを指定せずにプロセスIDだけを渡したとき、送られるシグナルはどれでしょう。

  • A. SIGHUP
  • B. SIGINT
  • C. SIGKILL
  • D. SIGTERM

正解:D シグナルを指定しない kill はSIGTERM(15番)を送ります。SIGKILLは9番、SIGHUPは1番、SIGINTは2番です。kill -l 15 や kill -l 9 を打つと、番号に対応するシグナル名が表示されます。

3問とも、すべての選択肢を説明できたでしょうか。説明できなかった選択肢があれば、その場でコマンドを打って確かめるところまでやってみてください。

InfraAcademyで、解き直しと確認を続ける

選択肢の説明と実行の練習は、問題とLinuxの環境がそろっているとすぐに始められます。

InfraAcademyでは、トップページのInfraAcademy の資格模擬問題から、「(無料)LPICの練習問題で毎日トレーニング300問」を解けます。1日に解く数を決めて、間違えた問題は上で紹介したやり方で復習してみてください。

コマンドを打って確かめるときは、InfraAcademyのブラウザ上で動くLinuxの練習環境が使えます。自分のPCにLinuxを用意しなくても、問題を解いたその場で chmod やリダイレクトを試せます。

どの順番で学ぶかを確認したいときは、Linuxの学習ロードマップを見てください。LPICの勉強全体の進め方は、LPICの勉強方法にまとめています。

まとめ

LPICの問題集で点数が伸びないときの見直し方を振り返ります。

  • 点数が止まる原因は、答えの暗記、正解以外の選択肢を読んでいないこと、練習量のずれが多い
  • 間違えた問題は、すべての選択肢を説明し、コマンドを打って確かめる
  • 解き直しは日をあけて行い、1週間後には同じ主題の別の問題で確かめる
  • 問題集の周回は、回ごとに目的を変える

LPIC-1は、101試験(101-500)と102試験(102-500)のどちらも、90分で60問を解く試験です。限られた時間の中で初めて見る問題に答えるには、答えではなく中身を覚えておく必要があります。

点数が伸びないときは、問題を解く量を増やす前に、1問から学ぶ量を増やしてみてください。今日の3問から始めれば、明日の問題集の解き方がきっと変わります。

参考

Next Action

記事で読んだ内容を、講座で実装してみましょう

InfraAcademyでは、ブラウザ上でLinuxやネットワークの実践環境を使いながら学習できます。無料で始められる講座から、学習の流れを試せます。

この記事を書いた人

ryu

株式会社InfraAcademy 代表 / エンジニア

大手メーカーでインフラエンジニアとして勤務した後、ベンチャー企業・スタートアップでフルスタックエンジニアを経験。その後、起業し学習サービス「InfraAcademy」を運営しています。
保有資格:ネットワークスペシャリストなど 運営会社:株式会社InfraAcademy

Related

関連記事

ブログ一覧へ

Roadmap

まずはこの4講座から

ログインすれば無料で始められる講座です。気になったテーマから手を動かして学べます。

講座一覧を見る