こんにちは、インフラエンジニアのryuです。
LPIC-1の勉強が進んでくると、模擬試験を解いて実力を確かめたくなると思います。
ただ、模擬試験はいつ解くか、解いたあとに何をするかで、得られるものがかなり変わります。点数を見て安心したり落ち込んだりするだけで終わると、せっかくの模擬試験がもったいないです。
この記事では、LPIC-1の本番の形式を確認したうえで、模擬試験を解く時期、点数の見方、間違えた問題の復習のしかたを順番に整理します。
最後に、101試験と102試験から4問ずつ、オリジナルのミニ模擬問題を用意しました。時間を計りながら解いてみてください。
LPIC-1の本番はどんな形式?¶
模擬試験を本番に近い条件で解くには、まず本番の形式を知っておく必要があります。
LPIC-1は、101試験と102試験の2つに合格すると認定されます。LPIの公式サイトでは、それぞれ次のように案内されています。
| 項目 | 101試験 | 102試験 |
|---|---|---|
| 試験番号 | 101-500 |
102-500 |
| バージョン | 5.0 | 5.0 |
| 試験時間 | 90分 | 90分 |
| 問題数 | 60問 | 60問 |
| 合格点 | 200〜800点のスコアで500点 | 200〜800点のスコアで500点 |
問題は、選択肢から選ぶ形式と、コマンドやファイル名を入力する形式が出題されます。入力する問題では、選択肢を見て思い出すことができないので、スペルまで正確に覚えておく必要があります。
出題数は「重み」で決まる¶
LPICの出題範囲は、101、102 といった主題の中に、101.1、101.2 のような細かい項目が並んでいます。それぞれの項目には「重み」という数字が付いています。
LPIのFAQでは、各試験の重みの合計は60で、重み1につき1問が出題されると説明されています。
重みが4の項目からは4問、重みが2の項目からは2問が出題される。
この仕組みは、模擬試験の結果を分析するときにも役立ちます。重みの大きい項目で間違えている場合は、本番でもまとまった数の問題を落とす可能性があるからです。
模擬試験を解く時期はいつがいい?¶
模擬試験は、全部の範囲を勉強し終えてから1回だけ解くもの、と考えている人も多いかもしれません。
ただ、試験の直前に初めて解くと、弱点が見つかっても直す時間が残りません。模擬試験は、勉強の途中で何回かに分けて使うほうが効果があります。
おすすめの使い方は、次の3回です。
| 回 | 時期 | 目的 |
|---|---|---|
| 1回目 | 参考書を1周読み終えたころ | 弱い主題を見つける。点数は気にしない |
| 2回目 | 1回目の2〜3週間後 | 弱点の復習が効いているかを確かめる |
| 3回目 | 試験の1週間ほど前 | 時間配分を含めて、本番と同じ条件で通して解く |
1回目は、点数が低くて当然です。この段階では、どの主題の正答率が低いかが分かれば十分です。
3回目を解いたあとの1週間の過ごし方は、LPIC 101の直前対策の記事とLPIC 102の直前対策の記事で、日ごとの復習表にしています。
同じ問題を何度も解いても意味がない¶
模擬試験を同じ問題で何周もしていると、問題文を見ただけで答えが分かるようになります。これは理解したのではなく、その問題の答えを覚えてしまっただけのことが多いです。
できれば、2回目と3回目は別の問題で解きましょう。同じ問題しかない場合は、選択肢を見る前に自分で答えを書いてみるなど、思い出す手順をはさむと効果が残りやすくなります。
本番と同じ条件で解くための準備¶
模擬試験は、本番と同じ条件で解かないと、点数が実力より高く出てしまいます。解く前に、次の3つを決めておきましょう。
時間を計って一気に解く¶
本番は90分で60問なので、1問あたりに使えるのは1分半です。模擬試験でも、タイマーを90分にセットして、途中で休まずに解きます。
途中で参考書を開いたり、コマンドを打って確かめたりするのはやめましょう。分からない問題は、分からないまま答えを選んで、印だけ付けておきます。
迷った問題に印を付ける¶
正解した問題の中にも、たまたま当たっただけの問題が混ざっています。答えを選ぶときに少しでも迷ったら、問題番号の横に印を付けておきましょう。
あとで復習するときは、間違えた問題と、印を付けて正解した問題の両方を見直します。
101と102は別の日に解く¶
101と102を同じ日に続けて解くと、後半は集中力が落ちて、実力より低い点数になりがちです。本番を別の日に受ける予定なら、模擬試験も別の日に分けて解きましょう。
模擬試験の点数はどう見ればいい?¶
模擬試験を解き終えたら、まず点数を確認すると思います。ここで気をつけたいのが、模擬試験の正答率と本番のスコアは同じではない、という点です。
本番のスコアは、200〜800点の範囲で計算され、500点で合格です。LPIの説明では、問題ごとに難しさが違うため、500点に届くのに必要な正解の数は、出題された問題の組み合わせによって変わるとされています。
つまり、何割正解すれば合格、という決まった数字はありません。ネットで見かける合格ラインの割合は、あくまで受験者の報告などをもとにした目安です。
正答率は全体より主題ごとに見る¶
模擬試験の点数を見るときは、全体の正答率よりも、主題ごとの正答率を出すほうが役に立ちます。
| 主題 | 問題数 | 正解 | 正答率 |
|---|---|---|---|
| 101 システムアーキテクチャ | 8 | 6 | 75% |
| 102 Linuxのインストールとパッケージ管理 | 12 | 7 | 58% |
| 103 GNUとUnixのコマンド | 26 | 20 | 77% |
| 104 デバイス、ファイルシステム、FHS | 14 | 8 | 57% |
これは101試験の記入例です。問題数と正解の数は、自分の模擬試験の結果で埋めてください。
全体では7割近く取れていても、この例のように102と104の主題が6割を切っているなら、そこが本番で点数を落としやすいところです。
申し込みの目安を自分で決めておく¶
公式の合格ラインの割合はないので、申し込みの目安は自分で決めておくと迷いません。
この記事では、初めて見る問題で全体の7割を安定して超え、6割を切る主題がない状態を、一つの目安としておすすめしています。これは公式の基準ではなく、本番で問題の組み合わせが変わっても余裕を持てるようにするための考え方です。
間違えた問題の復習のしかた¶
模擬試験でいちばん大事なのは、解いたあとの復習です。間違えた問題を解説で読むだけでなく、なぜ間違えたのかを分けて記録しておきましょう。
間違えた理由を4つに分ける¶
間違えた理由は、だいたい次の4つに分けられます。理由によって、やるべき復習が変わります。
| 間違えた理由 | 例 | 復習のしかた |
|---|---|---|
| 知らなかった | 初めて見るコマンドやファイル | 参考書の該当箇所を読み、実際に打ってみる |
| 覚え違い | オプションの意味を取り違えた | 似ているオプションを並べて違いを確認する |
| 読み違い | 「誤っているもの」を選ぶ問題で正しいものを選んだ | 問題文の最後を読んでから選択肢を見る癖をつける |
| 時間切れ | 最後の数問を勘で答えた | 時間配分を見直し、迷う問題は後回しにする |
知らなかった問題と覚え違いの問題は、読むだけでは直りにくいです。実際にコマンドを打って、表示を見て確かめるのがいちばん確実です。
復習ノートは1問1行で作る¶
復習ノートは、きれいにまとめなくてもかまいません。次のように、1問を1行で書いていくだけで十分です。
日付 問題 主題 理由 次にやること
2026-10-26 Q12 104.5 覚え違い chmod の数字と rwx の対応を3パターン打って確かめる
2026-10-26 Q31 102.4 知らない dpkg -l と dpkg -L の違いを man で読む
2026-10-26 Q47 103.4 読み違い 2> と 2>&1 の違いを実際にリダイレクトして確認する
次の模擬試験の前にこのノートを見返して、同じ理由で間違えていないかを確かめます。同じ項目で何度も間違えているなら、その項目の練習を増やしましょう。
パーミッションやテキスト処理のように、コマンドの細かい違いが問われる項目は、パーミッションの練習問題やgrep・sed・awkの練習問題で集中して解くのも効果があります。
8問のミニ模擬試験に挑戦しよう¶
ここからは、101試験と102試験の範囲から4問ずつ、オリジナルの問題を用意しました。本番のペースに合わせて、8問を12分で解いてみてください。
正解と解説は、それぞれの問題の下にある引用ブロックにまとめています。先に答えを見ないようにしましょう。
101試験の範囲から4問¶
問1(103.3 基本的なファイル管理)
cp コマンドで、ディレクトリを中身ごとコピーするときに指定するオプションはどれでしょうか。
-f-i-r-v
正解:3
-rは、ディレクトリの中身を再帰的にコピーするオプションです。-fは強制的に上書き、-iは上書きの前に確認、-vは処理の内容を表示するオプションです。
問2(104.5 ファイルのパーミッションと所有者の管理)
chmod 750 file1 を実行したあとの file1 のパーミッションはどれでしょうか。
rwxr-x---rwxr-xr-xrw-r-----rwxrw----
正解:1 数字は所有者・グループ・その他の順で、r=4、w=2、x=1 の合計です。7は
rwx、5はr-x、0は---になります。
問3(102.4 Debianパッケージ管理) Debian系のシステムで、インストールされているパッケージの一覧を表示するコマンドはどれでしょうか。
dpkg -idpkg -ldpkg -rdpkg -P
正解:2
dpkg -lはパッケージの一覧を表示します。-iはインストール、-rは設定ファイルを残して削除、-Pは設定ファイルも含めて削除するオプションです。
問4(103.4 ストリーム、パイプ、リダイレクトの使用)
command 2> err.txt を実行したとき、err.txt に書き込まれるのはどれでしょうか。
- 標準入力
- 標準出力
- 標準エラー出力
- 標準出力と標準エラー出力の両方
正解:3
2>は、ファイルディスクリプタ2番の標準エラー出力をファイルへリダイレクトします。標準出力は1番で、>または1>で指定します。
102試験の範囲から4問¶
問5(105.1 シェル環境のカスタマイズと使用) bashで、ログインシェルではない対話シェルを起動したときに、ユーザーごとに読み込まれるファイルはどれでしょうか。
~/.bash_history~/.bash_logout~/.bashrc/etc/hostname
正解:3
~/.bashrcは、ログインシェルではない対話シェルの起動時に読み込まれます。~/.bash_historyはコマンドの履歴、~/.bash_logoutはログインシェルの終了時に読み込まれるファイルです。
問6(107.2 ジョブスケジューリングによるシステム管理作業の自動化)
crontabに 30 2 * * 1 /usr/local/bin/backup.sh と書いたとき、このスクリプトが実行されるのはいつでしょうか。
- 毎日2時30分
- 毎週月曜日の2時30分
- 毎月1日の2時30分
- 毎週月曜日の30分おき
正解:2 crontabの時刻の欄は、分・時・日・月・曜日の順です。曜日の
1は月曜日を表すので、毎週月曜日の2時30分に実行されます。
問7(108.2 システムのログ)
journalctl で、特定のsystemdユニット(例:ssh.service)のログだけを表示するオプションはどれでしょうか。
-f-k-r-u
正解:4
-uでユニットを指定すると、そのユニットのログだけを表示します。-fは新しいログを流し続けて表示、-kはカーネルのメッセージ、-rは新しい順に表示するオプションです。
問8(109.1 インターネットプロトコルの基礎) SSHが標準で使うTCPのポート番号はどれでしょうか。
- 21
- 22
- 23
- 25
正解:2 SSHは22番を使います。21番はFTP、23番はTelnet、25番はSMTPです。ポート番号は102試験でよく問われるので、主なものはまとめて覚えておきましょう。
間違えた問題は、その場で打って確かめる¶
ミニ模擬試験で間違えた問題があったら、手元のLinuxで実際に試してみましょう。たとえば問1と問4なら、次のように確かめられます。
# 問1: ディレクトリを中身ごとコピーする
mkdir -p dir1/sub && touch dir1/sub/a.txt
cp -r dir1 dir2
ls -R dir2
# 問4: 標準エラー出力だけをファイルに書き出す
ls /no-such-dir 2> err.txt
cat err.txt
ls -R dir2 で sub ディレクトリと a.txt が表示されれば、中身ごとコピーできています。cat err.txt では、画面に出るはずだったエラーメッセージがファイルに入っていることを確認できます。
InfraAcademyで模擬試験と練習を続ける¶
この記事のミニ模擬試験は8問だけなので、本番の60問に近い量を解くには、もっと多くの問題が必要です。
InfraAcademyの資格模擬問題には、「(無料)LPICの練習問題で毎日トレーニング300問」があります。101試験と102試験の範囲の問題を解けるので、2回目・3回目の模擬試験として使えます。
間違えたコマンドを確かめるときは、InfraAcademyのブラウザ上で動くLinuxの練習環境が便利です。サーバーを用意しなくても、問題で出てきたコマンドをその場で打てます。
LPIC-1の範囲を基本から順番に学び直したい人は、Linuxのロードマップを上から進めてみてください。勉強全体の進め方は、LPIC-1の中心記事のLPICの勉強方法の記事にまとめています。
もっと問題を解きたい人は、LPIC-1の練習問題の記事もあわせて使ってください。また、入門資格のLinux Essentialsが2.0に改訂されたことについては、Linux Essentials 2.0の記事で、LPIC-1との関係も含めて解説しています。
まとめ¶
LPIC-1の模擬試験の使い方を振り返ります。
| ポイント | 内容 |
|---|---|
| 本番の形式 | 各試験90分・60問。200〜800点のスコアで500点が合格 |
| 解く時期 | 参考書の1周後、その2〜3週間後、試験の1週間前の3回 |
| 解き方 | 時間を計って一気に解く。迷った問題に印を付ける |
| 点数の見方 | 全体より主題ごとの正答率を見る。公式の合格割合はない |
| 復習 | 間違えた理由を4つに分け、コマンドを打って確かめる |
模擬試験は、自分の弱点を見つけるための道具です。点数が低くても、どこを直せばいいかが分かれば、それだけで解いた意味があります。
まずは今日、時間を計って8問のミニ模擬試験から始めてみてください。
参考¶
- LPIC-1 Overview(Linux Professional Institute)
- LPIC-1 Exam 101 and 102 Objectives(Linux Professional Institute)
- Frequently Asked Questions(Linux Professional Institute)
- LPIC-1 Objectives V5.0(LPI Wiki)
- LPIC-1 Exam 101 Learning Materials(LPI Learning)
- LPIC-1 Exam 102 Learning Materials(LPI Learning)
- crontab(5) - Linux manual page(man7.org)
- journalctl(1) - Linux manual page(man7.org)



