インフラエンジニアの新人研修を任されたものの、何をどこまで教えればよいのでしょうか?
そんな悩みはありませんか。
Linux、ネットワーク、サーバー、AWS、セキュリティ。インフラエンジニアに必要な知識は広く、すべてを短期間で教えようとすると研修内容が散らかってしまいます。
しかも、講義を聞くだけでは現場で使えるようになりません。実際にコマンドを入力し、通信できない原因を調べ、設定を直す経験が必要です。
この記事では、IT未経験者を対象としたインフラエンジニアの新人研修について、研修内容、カリキュラム例、研修サービスの選び方を解説します。
インフラエンジニアの新人研修が難しい理由¶
プログラミング研修であれば、まず1つの言語を選び、文法から学ぶ方法があります。
一方、インフラ研修では複数の分野がつながっています。
覚える分野が広い¶
Linuxサーバーへ接続するには、IPアドレスやSSHの知識が必要です。
Webサーバーを公開するには、Linuxだけでなく、ポート番号、DNS、ファイアウォール、HTTPまで理解しなければなりません。
新人からすると、知らない言葉が次々に出てきます。
いきなりAWSの画面を触らせても、VPCとサブネットの違いがわからなければ、設定項目を暗記するだけになってしまいます。
知識だけでは現場で使えない¶
新人研修でよくあるのが、説明を聞いたときはわかったつもりになる状態です。
では、翌日に何も見ずサーバーへログインし、プロセスやログを確認できるでしょうか。
ここで手が止まります。
インフラは、知識と操作をセットで学ぶことが大切です。
教育担当者の負担が大きい¶
社内のエンジニアが新人研修を担当すると、教材作成、環境準備、質問対応、進捗確認が必要になります。
本来の運用や構築業務を行いながら、毎年同じ内容を一から教えるのは大変ですよね。
特にSES企業では、新卒だけでなく中途社員が1人ずつ入社することがあります。
入社時期が異なるたびに集合研修を行うのは、現実的ではありません。
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インフラエンジニアの新人研修で学ぶべき内容¶
新人研修では、すべての技術を深く教える必要はありません。
まずは、現場で会話についていける基礎と、自分で調べながら操作できる力を身につけてもらいます。
新人研修の学習分野一覧¶
研修内容を整理すると、次のようになります。
| 分野 | 主な学習内容 | 研修後に目指す状態 |
|---|---|---|
| IT基礎 | OS、CPU、メモリ、ストレージ、仮想化 | 基本用語を説明できる |
| Linux | コマンド、権限、プロセス、サービス、ログ | サーバーへ接続して状態を確認できる |
| ネットワーク | IP、サブネット、DNS、ルーティング、ポート | 通信経路をイメージできる |
| サーバー構築 | Web、DNS、SSH、ファイアウォール | 手順を見ながら構築できる |
| クラウド | VPC、EC2、S3、IAM、監視 | AWSの基本構成を説明できる |
| セキュリティ | 最小権限、認証、更新、ログ管理 | 危険な設定を避けられる |
| 障害対応 | 切り分け、ログ調査、報告 | 原因候補を順番に確認できる |
この表を見ると、内容が多すぎるのでは?と感じるかもしれません。
ですが、順番に学べば大丈夫です。
最初にIT基礎を学ぶ¶
完全未経験者の場合、Linuxコマンドの前にOSやファイルの概念から学びます。
サーバーとパソコンの違い、メモリとストレージの違いが曖昧なままでは、その後の内容がつながりません。
インフラエンジニアの仕事内容については、次の記事でも詳しく解説しています。
【関連記事】インフラエンジニアとは?仕事内容と必要なスキルを解説
Linuxを操作できるようにする¶
インフラエンジニアの新人研修では、Linuxを中心に進めるのがおすすめです。
現場でLinuxサーバーを扱う可能性が高く、AWSやDockerを学ぶときにもLinuxの知識が役立つからです。
最初は、次のようなコマンドから始めます。
pwd
ls -la
cd /var/log
cat /etc/os-release
ip address
ただし、コマンド名を暗記させるだけでは不十分です。
pwdは現在地、lsはファイル一覧、ip addressはネットワーク設定を確認するコマンド。このように、何を確認するための操作なのかを説明できる状態を目指します。
ネットワークの基礎を学ぶ¶
Linuxの操作に慣れたら、IPアドレス、サブネットマスク、デフォルトゲートウェイ、DNSを学びます。
ここで大切なのは、用語を別々に覚えないことです。
ブラウザへURLを入力してWebサイトが表示されるまで、どのような通信が行われるのか。
その流れの中でDNSやルーティングを説明すると、理解しやすくなります。
【関連記事】ネットワークの勉強は何から始める?初心者向けロードマップ
サーバー構築を経験する¶
Linuxとネットワークの基礎を学んだら、Webサーバーの構築へ進みます。
学習した知識が、ここで一気につながります。
例えば、Nginxをインストールして状態を確認する場合は、次のように操作します。
sudo apt install nginx
systemctl status nginx
ss -lntp
curl http://localhost
サービスは起動しているか。80番ポートで待ち受けているか。
そして、ローカルからHTTP通信できるかを確認します。
1つずつ確認します。
AWSはLinuxとネットワークの後に学ぶ¶
AWSを先に学ばせたい企業も多いと思います。
しかし、IT未経験者の場合は、Linuxとネットワークの基礎を学んでからAWSへ進む方が理解しやすくなります。
VPCはネットワーク、EC2は仮想サーバー、セキュリティグループは通信を制御する仕組みです。
基礎知識があれば、AWSの設定項目が単なる横文字ではなくなります。
インフラエンジニア新人研修のカリキュラム例¶
ここでは、IT未経験者を対象とした8週間の研修例を紹介します。
配属先や受講者の経験によって調整してください。
| 期間 | 学習内容 | 演習例 |
|---|---|---|
| 1週目 | IT基礎、インフラの役割 | 用語確認、構成図の読み方 |
| 2週目 | Linux基本操作 | ファイル操作、検索、権限 |
| 3週目 | Linux運用 | プロセス、サービス、ログ |
| 4週目 | ネットワーク基礎 | IP設定、ping、DNS確認 |
| 5週目 | ルーティングとVLAN | 複数ネットワークの構築 |
| 6週目 | サーバー構築 | Webサーバー、SSH、Firewall |
| 7週目 | AWS基礎 | VPC、EC2、S3、IAM |
| 8週目 | 総合演習 | 構築、障害調査、報告 |
スケジュールを作るときは、講義時間より演習時間を多めにします。
目安として、説明3割、操作7割くらいでもよいでしょう。
1週目は全体像をつかむ¶
最初から細かいコマンドへ入ると、新人は何のために学んでいるのかわからなくなります。
まず、社内システムやWebサービスが、どのようなサーバーとネットワークで動いているかを説明します。
難しい構成図でなくて構いません。
利用者、インターネット、ルーター、Webサーバー、データベースを線でつないだ図から始めましょう。
2〜3週目はLinuxを繰り返す¶
Linuxは、短期間で大量のコマンドを覚えるより、同じ操作を繰り返す方が定着します。
ファイルを作る、検索する、権限を変える、サービスを確認する。この流れを何度も行います。
例えば、ログからエラーを検索する演習です。
grep -i error /var/log/syslog
journalctl -p err
tail -n 50 /var/log/nginx/error.log
コマンドを実行して終わりではありません。
どのログを、なぜ確認したのか。新人自身に説明してもらいます。
4〜5週目は通信を作って壊す¶
ネットワーク研修では、正常な構成だけを作ると確認作業が身につきません。
IPアドレスを間違える、デフォルトゲートウェイを削除する、VLANを変えるなど、意図的に通信障害を作ります。
なぜpingが通らないのでしょうか?
この問いを考える時間が、実務に近い研修になります。
6〜8週目は総合演習へ進む¶
最後は、手順を完全に渡さず、目的だけを伝えます。
Webサーバーを構築し、別端末からアクセスできる状態にする。アクセスできない場合は原因を調べ、作業内容を報告書へまとめる。
いきなり難しく見えますよね。
そこで、確認項目のヒントだけを渡します。
1. サービスは起動しているか
2. ポートは待ち受けているか
3. IPアドレスは正しいか
4. ルートはあるか
5. Firewallで許可されているか
6. ログにエラーはないか
この順番で調べる習慣が身につけば、研修後も自分で動けるようになります。
新人研修の形式を比較する¶
インフラエンジニアの新人研修には、集合研修、社内研修、OJT、eラーニングなどがあります。
では、自社にはどの研修形式が合うのでしょうか?どれか1つが必ず正解というわけではありません。
| 研修形式 | メリット | デメリット |
|---|---|---|
| 集合研修 | 講師へ質問しやすい | 日程と費用の負担が大きい |
| 社内研修 | 自社業務に合わせやすい | 教育担当者の負担が大きい |
| OJT | 実務に直結する | 基礎がないと作業の意味を理解しにくい |
| eラーニング | 入社時期に合わせて学べる | 自主性と進捗管理が必要 |
| 組み合わせ | 基礎と実務を分けられる | 運用ルールを決める必要がある |
新人が同じ時期に10人以上入社するなら、集合研修も使いやすいでしょう。
一方、中途採用者が毎月1〜2人入社する企業では、eラーニングを土台にした方が運用しやすくなります。
社内研修だけで完結させない¶
社内エンジニアにしか教えられない内容があります。
自社の監視ルール、エスカレーション方法、顧客環境への接続手順などです。
基礎技術まで毎回社内で教える必要はありません。
Linuxやネットワークの基礎は外部教材で学び、社内研修では自社固有の内容に集中する方が効率的です。
OJTの前に基礎を作る¶
新人を現場へ出せば覚えるだろう。
そう考えたくなる気持ちもわかります。
しかし、基礎がない状態では、手順書をそのまま実行するだけになりやすいです。
最低限、コマンドの意味、ネットワークの流れ、ログの見方を学んでからOJTへ進めましょう。
インフラエンジニア新人研修で失敗しやすいポイント¶
研修内容を増やせば、研修の質が上がるわけではありません。
むしろ、盛り込みすぎると何も定着しないことがあります。
資格取得だけを目標にする¶
資格学習は、知識を体系的に学ぶ方法として役立ちます。
ただし、問題に正解できても、Linuxサーバーへログインしてログを探せるとは限りません。
資格をゴールにせず、知識を演習で使うところまで研修へ含めます。
動画を見て終わる¶
動画は、難しい仕組みを理解するために便利です。
ですが、見るだけでは操作できるようになりません。
動画や教材を見たら、必ずターミナルやシミュレーターで試します。
失敗したときのエラーも、立派な教材です。
進捗を受講時間だけで判断していませんか?¶
学習時間が長いからといって、理解できているとは限りません。
完了した講座、練習問題の結果、最終学習日、実際の操作課題を組み合わせて確認します。
研修担当者は、遅れている人を責めるのではなく、どこで止まっているのかを見つけましょう。
配属先を考えず全員へ同じ研修をする¶
Linux運用へ配属する人と、AWS構築へ配属する人では、重点的に学ぶ内容が異なります。
共通の基礎を学んだ後は、配属先に合わせて講座を分けます。
全員へ同じ内容を最後まで受けさせるより、必要な分野を深く学ばせる方が実務につながります。
エンジニア歴10年で感じる新人育成のポイント¶
私はエンジニアとして10年以上、インフラ運用やWebシステムの開発に関わってきました。
その中で、新人が成長するかどうかは、最初から知識が多いかでは決まらないと感じています。
わからない状態を言葉にできる人は伸びる¶
現場では、すべてを知っている人はいません。
大切なのは、何がわからないのかを整理し、自分が確認した内容を伝えることです。
通信できません、だけでは調査が進みません。
IPアドレスは設定されています。ゲートウェイへのpingも成功しています。
ただし、DNS名だけ解決できません。
ここまで言えれば、次に確認すべき場所が見えてきます。
コマンドより確認の順番を教える¶
新人研修では、コマンドを100個覚えさせるより、確認の順番を教えた方が実務で役立ちます。
サービス、ポート、ネットワーク、ログ。まずはこの流れで十分です。
わからないコマンドは調べられます。
しかし、何を確認すればよいかわからないと、検索する言葉すら思いつきません。
小さな成功体験を作る¶
最初から複雑なサーバーを構築させると、エラーばかりで自信を失います。
ファイルを作れた、pingが通った、Webページが表示された。この小さな成功を積み重ねます。
できた。
この感覚が、次の学習につながります。
InfraAcademyでインフラエンジニアの新人研修を行う¶
InfraAcademyは、Linux、ネットワーク、サーバー構築、AWSなどを学べるインフラ学習サービスです。
文章や図解を読むだけでなく、ブラウザ上のターミナルやシミュレーターを使って操作できます。
新人ごとの学習環境を準備しやすい¶
社内でLinux研修を行う場合、新人ごとに仮想マシンを準備し、初期化やアカウント管理を行う必要があります。
AWS研修では、アカウントや権限、利用料金の管理も必要です。
InfraAcademyでは、ブラウザ上の学習環境を利用できます。
AWS講座では独自のAWS学習シミュレーターを使用し、実際のAWSアカウントを提供するものではありません。
Linux・ネットワーク・AWSを順番に学べる¶
インフラ研修では、分野同士をつなげることが重要です。
InfraAcademyなら、Linuxの基礎からネットワーク、サーバー構築、AWSへ進めます。
新人が教材を読むだけでなく、コマンドや設定を試せる点が特徴です。
法人管理画面で進捗を確認できる¶
InfraAcademy法人プランでは、受講者の招待、ライセンス割り当て、講座の割り当てを管理できます。
講座の進捗、練習問題の最新正答率、最終学習日も確認できるため、誰がどこで止まっているかを把握しやすくなります。
毎日横について教える必要はありません。
管理画面を確認し、進捗が止まっている新人だけに声をかける運用ができます。
5IDから1か月単位で利用できる¶
法人プランの料金は、法人管理料が月額19,800円、1IDあたり月額2,200円です。
最低5IDから利用でき、5IDでは月額30,800円からとなります。料金は税別です。
月額料金
= 法人管理料19,800円
+ 2,200円 × 契約ID数
初期費用はなく、最低契約期間は1か月です。
無料体験がないと不安でしょうか?購入前に登録不要の法人管理画面デモと料金シミュレーターを確認できます。
営業担当者との打ち合わせなしで申し込める¶
研修サービスを検討すると、問い合わせ後に何度も打ち合わせが必要になることがあります。
InfraAcademy法人プランは、料金と管理画面を確認したうえで、Webから申し込める仕組みです。
5〜50名程度の新人研修や、入社時期が異なるSES社員の育成にも使いやすいでしょう。
詳しい料金、講座内容、管理画面デモは、次のページで確認できます。
InfraAcademyを新人研修で使う運用例¶
eラーニングを導入するだけでは、研修は成功しません。
会社側で学習時間と確認ルールを決めることが大切です。
週ごとの学習目標を決める¶
自由に学んでください、と伝えるだけでは後回しになりがちです。
毎週、学ぶ講座と演習内容を決めます。
| 週 | InfraAcademyで学ぶ内容 | 社内で確認する内容 |
|---|---|---|
| 1週目 | Linux入門 | 基本コマンドの操作確認 |
| 2週目 | Linux運用 | ログとサービスの確認 |
| 3週目 | ネットワーク入門 | IPアドレス表の作成 |
| 4週目 | ルーティング | pingできない原因の説明 |
| 5週目 | サーバー構築 | Webサーバー構築報告 |
| 6週目 | AWS入門 | 構成図と用語説明 |
学習サービスにすべて任せるのではなく、社内では説明や報告を確認します。
この組み合わせが効果的です。
週1回だけ振り返りを行う¶
長時間の面談は必要ありません。
週1回、15分から30分ほど振り返りを行い、学んだこと、難しかったこと、次に進む内容を確認します。
質問が出ない場合もあります。
そのときは、今週使ったコマンドを3つ説明してください、と問いかけると理解度を確認しやすくなります。
最後に総合課題を行う¶
講座を完了しただけで、現場で操作できると言えるでしょうか?完了率だけで研修終了にしないことが大切です。
最後に、Webサーバーの構築や通信障害の調査など、複数分野を使う課題を行います。
操作結果だけでなく、構成図、確認コマンド、発生したエラー、解決方法も提出してもらいましょう。
実務で必要な報告力まで確認できます。
インフラエンジニア新人研修のまとめ¶
インフラエンジニアの新人研修では、Linux、ネットワーク、サーバー構築、AWSを順番に学ぶことが大切です。
最初からすべてを深く教える必要はありません。
研修のゴールは、コマンドを暗記することではなく、自分で状態を確認し、原因を切り分け、調べながら進められるようになることです。
講義だけで終わらせず、実際にコマンドや設定を試す時間を多く取りましょう。
社内の教育担当者だけですべてを用意するのが難しい場合は、eラーニングを基礎研修の土台にする方法があります。
InfraAcademyでは、Linux、ネットワーク、サーバー構築、AWSをブラウザ上で実践しながら学べます。
法人管理画面から進捗や正答率も確認できるため、少人数の新人研修から継続的な中途社員育成まで活用できます。