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内定式のあと、入社まで放置していませんか?内定者インフラ研修で4月の立ち上がりを変える設計

| #人材育成 #オンボーディング #インフラ研修
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こんにちは、インフラエンジニアのryuです。

来春の新卒採用がひと段落し、内定を出し終えて、ほっとしている企業担当者の方も多い時期ではないでしょうか。

秋には内定式を控え、あとは4月の入社を待つばかり。そんなふうに感じているかもしれません。

でも、ここで少しだけ立ち止まって考えてみてほしいことがあります。内定から入社までの数か月、その内定者に対して、会社は何をしているでしょうか。

もし「特に何も。入社してから研修すればいい」という答えなら、それはとてももったいない状態です。

今日は、入社前のこの期間に行う「内定者研修」を、とくにインフラ職の新人向けにどう設計すればいいか。詰め込みすぎて逆効果になる失敗も含めて、企業の育成担当者の視点で具体的に書いていきます。

内定者研修とは?そもそも何のためにやるのか

まず、言葉の整理からです。名前は知っていても、目的を取り違えると設計を誤ります。

内定者研修とは、内定を出してから入社するまでの期間に、内定者に対して企業が行う教育やフォローの取り組みのことです。入社前研修とも呼ばれます。

ここで大事なのは、内定者研修の目的が一つではないということです。大きく分けて二つあります。

目的1:内定辞退を防ぎ、不安をやわらげる

一つ目は、内定者の不安を解消し、辞退を防ぐことです。

内定者、とくに新卒の学生は、入社を楽しみにしている一方で、たくさんの不安を抱えています。ある調査では、「仕事をちゃんとできるようになるか」「この会社に決めてよかったのか」「期待される成果を出せるのか」といった不安を、多くの内定者が感じていることが分かっています。

この不安を放置すると、どうなるでしょうか。

内定者は、他社の内定や、就職活動を続けている友人の話と自社を比べ始めます。そして会社からの連絡が半年間ぱったり途絶えていると、「本当にここでいいのだろうか」という気持ちがふくらんでいきます。

内定者研修は、この空白期間を埋め、「あなたのことを気にかけていますよ」という会社からのメッセージを届ける場でもあります。同期や先輩とのつながりが生まれれば、入社への期待は不安を上回っていきます。

目的2:入社後の立ち上がりを早める「助走」をつくる

二つ目の目的が、入社後にスムーズに戦力化するための、いわば助走です。

飛行機がいきなり急上昇できないように、新人もいきなり現場では飛べません。入社してから基礎を一から教えていると、実務に入るまでに時間がかかります。

その基礎の一部を入社前にゆるやかに始めておけば、4月のスタートラインが変わります。まったくの白紙で入社した新人と、少し助走をつけて入社した新人とでは、最初の数か月の伸びが目に見えて違ってきます。

内定者研修は「早めの新人研修」ではなく、入社後の学びをスムーズに始めるための地ならしと考えると、設計を誤らずにすみます。

新人研修そのものの組み立て方についてはインフラ未経験の新人研修をどう設計するかで詳しく書いていますが、内定者研修はその手前に置く準備運動だと捉えると分かりやすいです。

なぜインフラ職こそ、入社前の助走が効くのか

内定者研修はどの職種でも有効ですが、インフラエンジニアの新人にはとりわけ効きます。理由が二つあります。

覚えることが多く、白紙スタートだと埋もれやすい

インフラの世界は、覚えることの裾野がとにかく広いです。

サーバー、Linuxの操作、ネットワークの仕組み、クラウド、セキュリティ。どれも一朝一夕には身につかず、しかも互いに絡み合っています。

とくに文系出身や未経験の新卒だと、入社してからLinuxのコマンドを初めて触る、ということも珍しくありません。そこから現場のスピードについていくのは、本人にとってかなりの重圧です。

もし入社前に、lscd といった基本的なコマンドに手が慣れ、サーバーやIPアドレスという言葉に抵抗がなくなっているだけでも、4月からの吸収力はまるで変わります。ゼロが1になっているだけで、その後の1から10までの登り方がぐっと楽になるのです。

これは、初めての土地への引っ越しに似ています。行き先の地図をまったく見ずに当日を迎えるのと、駅の場所やだいたいの街並みを一度眺めておくのとでは、着いてからの動きやすさが段違いです。入社前の助走は、その「地図をひと目見ておく」作業にあたります。

数字が語る「入社後3年の壁」

もう一つ、育成担当者に知っておいてほしい事実があります。新入社員の離職は、決して他人事の数字ではありません。

厚生労働省の調査によると、令和4年3月に大学を卒業して就職した人のうち、就職後3年以内に離職した割合は33.8%にのぼります。およそ3人に1人が、3年以内に会社を去っている計算です。

事業所の規模別に見ると差は大きく、従業員1000人以上の企業では大卒の3年以内離職率が27.0%なのに対し、5人未満の小規模な事業所では57.5%と、半数を超えています。

もちろん離職の理由はさまざまで、内定者研修だけで防げるものではありません。ただ、入社前後のつまずきや「思っていたのと違った」というギャップが、早期離職の入り口になりやすいのは確かです。

入社前から丁寧に関わり、期待値をすり合わせておくことは、この壁を少しでも低くする働きかけになります。早期離職を防ぐオンボーディング全体の考え方は新人が辞める前に打つオンボーディング設計にまとめているので、あわせて読んでみてください。

内定者インフラ研修は、何をどう設計する?

ここからは実際の設計に入ります。ポイントは「欲張らないこと」です。順を追って見ていきましょう。

ステップ1:ゴールを「4月1日の状態」で決める

まず最初に決めるのは、研修の内容ではなく、ゴールです。

「入社初日に、新人がどんな状態になっていてほしいか」を一文で言葉にします。たとえば「Linuxの基本コマンドに手が慣れ、ネットワークの用語に物おじしない状態」といった具合です。

このゴールがぶれていると、あれもこれもと詰め込んでしまい、内定者を疲れさせるだけで終わります。

到達点を「入社時点で7合目」ではなく「入社時点で2〜3合目」くらいに置くのがコツです。あくまで助走なので、走り切らせる必要はありません。

ステップ2:手を動かす「基礎の入り口」に絞る

ゴールが決まったら、内容を基礎の入り口に絞ります。

内定者はまだ学生で、卒業論文やアルバイト、残り少ない学生生活もあります。負担の重い課題を出せば、それ自体が辞退の理由になりかねません。

インフラの内定者研修に向いているのは、次のような「手を動かせて、達成感のある」テーマです。

テーマ 内定者がやること 入社後にどう効くか
Linux基本操作 自分のPCに仮想環境を入れ、基本コマンドを打つ 現場のサーバー操作への抵抗が消える
ネットワークの基礎 IPアドレスやDNSなど用語の意味を理解する 障害対応の会話についていける
クラウドの入り口 無料枠でクラウドに触れ、画面を眺める 配属後の学習の心理的ハードルが下がる
資格の入門 基本情報やLPICなどの入門書を1冊読む 学ぶ習慣そのものが身につく

大切なのは、座学の知識を暗記させることではなく、「触ってみたら意外とできた」という小さな成功体験を積ませることです。その体験が、入社後の学びを前向きにします。

ステップ3:オンラインで自習できる形にする

内定者は、まだそれぞれの土地で学生生活を送っています。全員を集めて集合研修を、というのは現実的ではありません。

だからこそ、内定者研修は「各自が自分のペースで進められるオンライン教材」を軸にするのが向いています。

ここで担当者を悩ませるのが、教材をどう用意するかです。現場のインフラエンジニアが本業の合間に教材を一から作るのは、大きな負担ですし、体系立てるのも簡単ではありません。

そこで、外部の学習サービスを土台に使うという選択肢があります。私たちInfraAcademyのようなオンライン学習サービスなら、Linuxの学習ロードマップのように、何をどの順で学ぶかが整理された形で用意されています。内定者はそれをなぞるだけで、自習が迷子になりません。

ステップ4:つながりと「伴走」を用意する

自習教材を渡すだけでは、たいてい続きません。人は一人だと、どうしても後回しにしてしまうものです。

そこで、月に一度でいいので、オンラインで顔を合わせる場を用意します。進み具合を共有したり、つまずきを質問したり、先輩社員と雑談したりする場です。

この「伴走」があると、内定者は放置されていないと感じ、学習も続きやすくなります。同期どうしのつながりも生まれ、入社への期待が高まります。

司会や進行を毎回こちらが仕切る必要はありません。先輩社員が一人、ゆるやかに顔を出してくれるだけでも、内定者にとっては大きな安心材料になります。手をかけすぎず、でも見守っている。その温度感が理想です。

やってはいけない、3つの落とし穴

最後に、内定者研修でありがちな失敗を三つ紹介します。良かれと思ってやったことが逆効果になるパターンです。

落とし穴1:詰め込みすぎて、入社前に疲弊させる

いちばん多いのが、欲張って内容を盛りすぎることです。

「せっかくだからあれもこれも」と課題を積み上げると、内定者は入社前から消耗します。ひどい場合は、それが原因で「この会社、入る前からこんなに大変なのか」と辞退につながります。

助走はあくまで軽く。ステップ1で置いたゴールを超える負荷はかけない、と決めておきましょう。

落とし穴2:それは「労働」になっていないか

見落とされがちですが、大切な注意点があります。

内定者研修の内容や進め方によっては、法律上、参加が「労働」とみなされる可能性があります。参加を義務づけ、実際の業務に近いことをさせれば、それは労働時間として扱われ、賃金の支払いが必要になる場合があるのです。

内定者はまだ入社前ですが、内容次第では労働者に近い扱いになりうる。「強制ではなく任意」「学生生活を優先してよい」という姿勢を明確にし、実務そのものをやらせないことが、トラブルを避ける基本になります。

このあたりは自己判断せず、人事労務の担当者や専門家と確認しながら設計を進めてください。安心して取り組める建てつけにすることが、結局は内定者の満足度も高めます。

落とし穴3:研修と現場が分断される

三つ目は、入社前にがんばって学ばせたのに、その学びが現場でまったく活かされないパターンです。

内定者が入社前にLinuxの基礎を学んでも、配属先の先輩がそれを知らなければ、また一から同じ説明が始まってしまいます。これでは内定者研修の意味が半減します。

内定者が何を学んだかを、受け入れる現場のチームに共有しておくこと。そして入社後の新人研修が、その続きから始まるように設計をつなげておくこと。この橋渡しが、入社前の努力を無駄にしないための最後の仕上げです。

具体的には、内定者が入社前に取り組んだ教材や進み具合を、簡単なメモにして配属先へ渡しておくだけでも効果があります。受け入れる側が「この新人はここまでは触れている」と分かっていれば、初日からの説明の粒度を調整でき、お互いの時間の無駄が減ります。入社前の助走と入社後の研修を、一本の道としてつないでおくことが理想です。

まとめ

今日は、内定から入社までの期間に行う内定者インフラ研修について書いてきました。

最後に要点を振り返ります。

内定者研修の目的は二つあります。内定辞退を防いで不安をやわらげることと、入社後の立ち上がりを早める助走をつくることです。

とくにインフラ職は覚えることが多く、白紙で入社すると埋もれやすいので、入社前に基礎の入り口だけでも触れておく価値があります。3人に1人が3年以内に辞めるという現実を前に、入社前からの丁寧な関わりは、早期離職の壁を低くする一手にもなります。

設計のコツは、欲張らないこと。ゴールを「4月1日の状態」で軽めに置き、手を動かす基礎に絞り、オンライン自習と月一の伴走で無理なく続けてもらう。そして、詰め込みすぎ、労働性の問題、現場との分断という落とし穴を避けることです。

内定者にとって入社前の数か月は、社会人への不安と期待が入り混じる大切な時間です。そこにそっと手を差し伸べておくことが、4月からの新人の伸びを、そして定着を、静かに支えていきます。

内定者研修から入社後の育成までを一続きで設計したい、教材を自前で用意するのが難しい、という企業のご担当者は、InfraAcademyの法人向けプランでお気軽にご相談ください。入社前の助走から現場での戦力化まで、無理なくつなぐお手伝いができれば嬉しいです。

参考記事

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この記事を書いた人

ryu

InfraAcademy運営 / エンジニア

エンジニア歴10年。Linux、ネットワーク、クラウドを中心に、実務で役立つインフラ技術を初心者にもわかりやすく解説しています。

X: @ryu63614894

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