こんにちは、インフラエンジニアのryuです。
ネットワーク設定には、IPアドレスやサブネットマスクと一緒に、デフォルトゲートウェイという項目が表示されます。
しかし、名前だけを見ても役割が分かりにくいですね。
デフォルトゲートウェイは、自分と異なるネットワークへ通信するときに、最初にデータを渡す相手です。多くの場合、ルーターのIPアドレスを設定します。
この記事では、デフォルトゲートウェイの役割、ARP・ルーティングとの関係、確認方法を初心者向けに解説します。
デフォルトゲートウェイとは¶
デフォルトゲートウェイとは何なのでしょうか?
別ネットワークへ通信するときの出口です。
PCは、宛先IPとサブネットマスクから、相手が同じネットワークか判断します。
同じネットワークでは、ARPで相手のMACアドレスを調べます。
別ネットワークへは直接届けられないため、ゲートウェイのルーターへ渡します。
| 通信先 | PCが最初にデータを渡す相手 |
|---|---|
| 同じネットワーク | 通信相手のPCやサーバー |
| 別のネットワーク | デフォルトゲートウェイ |
| インターネット | 家庭や社内のルーター |
設定が誤っていると、同じLAN内とは通信できても外部へ接続できません。
デフォルトゲートウェイを理解するための前提¶
なぜ、同じネットワークと別のネットワークで通信方法が変わるのでしょうか。
まず、PCが宛先を判断する仕組みを確認しましょう。
ネットワーク通信を考えるときは、次の情報をセットで見ます。
| 設定 | 役割 |
|---|---|
| IPアドレス | 自分のネットワークと端末を識別する |
| サブネットマスク | 同じネットワークの範囲を判断する |
| デフォルトゲートウェイ | 別ネットワークへの出口 |
| DNSサーバー | ドメイン名をIPアドレスへ変換する |
たとえば、PCに次の設定があるとします。
IPアドレス: 192.168.10.20
サブネットマスク: 255.255.255.0
デフォルトゲートウェイ: 192.168.10.1
CIDR表記では、192.168.10.20/24です。
このPCは192.168.10.0/24へ所属します。
IPアドレスから確認したい方は、次の記事も参考にしてください。
【関連記事】IPアドレスとは?仕組み・種類・確認方法を初心者向けに解説
同じネットワーク内では相手へ直接通信する¶
同じネットワークでは、デフォルトゲートウェイを経由しません。
たとえば、次の2台のPCがあるとします。
| 機器 | IPアドレス | ネットワーク |
|---|---|---|
| PC1 | 192.168.10.20/24 |
192.168.10.0/24 |
| PC2 | 192.168.10.30/24 |
192.168.10.0/24 |
PC1は、PC2が同じネットワークにいると判断します。
その後、ARPを使って192.168.10.30に対応するMACアドレスを調べ、スイッチを経由してPC2へフレームを送ります。
Windowsでは、次のコマンドでARPテーブルを確認できます。
arp -a

ARPテーブルには、最近通信した機器やゲートウェイのIP・MACアドレスが表示されます。
【関連記事】ARPとは?IPアドレスとMACアドレスを対応付ける仕組み
異なるネットワークにはルーターが必要¶
PC1が192.168.20.30/24のPCへ通信する場合を考えます。
PC1は192.168.10.0/24、相手は192.168.20.0/24なので、所属するネットワークが異なります。
異なるネットワークの通信には、ルーターやL3スイッチが必要です。

上の図では、ルーターがネットワーク1とネットワーク2の両方へ接続しています。
ネットワーク1のPCは、ネットワーク2のPCへ直接フレームを送れません。そこで、デフォルトゲートウェイであるルーターへフレームを渡します。
IPパケットの宛先は最終的な通信相手のままですが、Ethernetフレームの宛先MACアドレスにはゲートウェイが設定されます。ルーターは宛先IPを見て次のネットワークへ転送します。
デフォルトゲートウェイがないとどうなる?¶
デフォルトゲートウェイが設定されていないPCでも、同じネットワーク内の機器とは通信できます。
しかし、自分のルーティングテーブルに経路がない別ネットワークへは通信できません。
同じLANの機器へは接続できるのに、インターネットや別VLANへ届かない状態になります。DNSだけを変更しても、ゲートウェイが誤っていれば解決しません。
ネットワーク障害では、IPアドレス、サブネットマスク、デフォルトゲートウェイ、DNSを順番に確認しましょう。
ネットワークが増えた場合の通信¶
ルーターが一台だけではなく、複数台ある場合はどうなるのでしょうか?
次の図では、ネットワーク3が追加されています。

ネットワーク1のPCは、ネットワーク3へ直接接続されていません。
PCは、自分のデフォルトゲートウェイであるルーターAへデータを渡します。ルーターAはルーティングテーブルを確認し、ネットワーク3へ向かう次のルーターへ転送します。
ルーターは、直結・静的・動的・デフォルトルートの中から宛先に合う経路を選びます。
デフォルトゲートウェイとデフォルトルートの違い¶
デフォルトゲートウェイとデフォルトルートは、似ていますが同じ意味ではありません。
| 用語 | 意味 |
|---|---|
| デフォルトゲートウェイ | 端末が別ネットワークへ通信するときに利用するルーター |
| デフォルトルート | ほかの経路に一致しない通信を転送する経路 |
| ネクストホップ | 次にデータを渡すルーターのIPアドレス |
PCではルーターのIPをゲートウェイに指定し、ルーティングテーブルには通常0.0.0.0/0の経路が作られます。
Linuxでは、次のように表示されます。
default via 192.168.10.1 dev eth0
192.168.10.0/24 dev eth0 proto kernel scope link src 192.168.10.20
1行目は、ほかの経路に一致しない通信を192.168.10.1へ送るという意味です。
【関連記事】ルーティングとは?ルーティングテーブルと経路選択を解説
デフォルトゲートウェイを経由する流れ¶

ネットワーク1のPCからネットワーク3へ通信する流れを整理します。
- PCが宛先IPアドレスと自分のネットワークを比較する
- 別ネットワークだと判断する
- ARPでデフォルトゲートウェイのMACアドレスを調べる
- ルーターAへフレームを送る
- ルーターAがルーティングテーブルを確認する
- 次のルーターへIPパケットを転送する
- 最後のルーターが宛先ネットワークへ転送する
- 宛先端末のMACアドレスをARPで調べて届ける
ルーターを通過するたびにMACアドレスは作り直されますが、NATがなければIPアドレスは基本的に維持されます。
自宅からインターネットへ接続する場合¶
家庭のネットワークでは、Wi-Fiルーターがデフォルトゲートウェイになります。
たとえば、パソコンに次の設定があるとします。
PC: 192.168.1.20/24
デフォルトGW: 192.168.1.1
DNSサーバー: 192.168.1.1
Webサイトへアクセスすると、PCは192.168.1.1へデータを渡します。ルーターはNAPTなどを使い、プロバイダー側へ転送します。
Windowsでデフォルトゲートウェイを確認する¶
Windowsでは、コマンドプロンプトやPowerShellを開き、次のコマンドを実行します。
ipconfig
詳しい情報を確認する場合は、/allを付けます。
ipconfig /all
現在利用しているEthernetやWi-Fiアダプターの項目を探し、デフォルトゲートウェイを確認します。
ルーティングテーブルを確認する場合は、次のコマンドを利用します。
route print
PowerShellでは、次のコマンドも利用できます。
Get-NetRoute
VPNなどで経路が複数ある場合は、メトリックと利用中のインターフェースも確認します。
Linuxでデフォルトゲートウェイを確認する¶
Linuxでは、ip routeコマンドを利用します。
ip route
表示例は次のとおりです。
default via 192.168.1.1 dev eth0
この場合、デフォルトゲートウェイは192.168.1.1です。
特定の宛先への経路は、ip route get 8.8.8.8で確認できます。
古い記事ではroute -nやnetstat -rnが使われることもありますが、現在のLinuxではip routeを基本にするとよいでしょう。
macOSでデフォルトゲートウェイを確認する¶
macOSでは、システム設定のネットワーク画面からルーターのIPアドレスを確認できます。
ターミナルでは、次のコマンドを利用できます。
route -n get default
出力のgatewayに表示されるIPアドレスが、通常のデフォルトゲートウェイです。
gateway: 192.168.1.1
tracert・tracerouteで経路を確認する¶
データがどのルーターを経由しているか確認したい場合は、tracertやtracerouteを使います。
Windowsでは次のように実行します。
tracert -d 8.8.8.8
LinuxやmacOSでは、次のコマンドを利用します。
traceroute -n 8.8.8.8

最初のホップには、自宅や社内のデフォルトゲートウェイが表示されることがあります。
*が表示されても、必ずしも通信障害とは限りません。
デフォルトゲートウェイへ通信できない原因¶
デフォルトゲートウェイへpingが届かない場合は、外部通信より手前で問題が起きています。
エンジニア歴10年の経験でも、基本設定から順番に確認することが大切です。
| 順番 | 確認内容 |
|---|---|
| 1 | LANケーブルやWi-Fiが接続されているか |
| 2 | IPアドレスが正しく設定されているか |
| 3 | サブネットマスクが正しいか |
| 4 | ゲートウェイが同じネットワーク内にあるか |
| 5 | ARPでゲートウェイのMACアドレスを取得できるか |
| 6 | VLANやスイッチポートが正しいか |
| 7 | ルーターのインターフェースが起動しているか |
| 8 | ファイアウォールやACLの影響がないか |
PCが192.168.10.20/24なのに、ゲートウェイを192.168.20.1へ設定すると直接通信できません。DHCPから誤った値が配布されていないかも確認します。
デフォルトゲートウェイのよくある疑問¶
デフォルトゲートウェイは必ず必要ですか?¶
同じネットワーク内だけで通信する端末には、必ずしも必要ではありません。
別ネットワークやインターネットへ通信する場合は、ルーティングテーブルに適切な経路が必要です。一般的なPCでは、そのためにデフォルトゲートウェイを設定します。
デフォルトゲートウェイはルーターと同じですか?¶
デフォルトゲートウェイは役割を表す言葉です。
多くの場合ルーターやL3スイッチが役割を持ちますが、Linuxサーバーなどがルーティングを行う構成もあります。
デフォルトゲートウェイを複数設定できますか?¶
複数設定できますが、メトリックや戻りの経路を正しく設計する必要があります。
IPv6にもデフォルトゲートウェイはありますか?¶
IPv6でも別ネットワークへ通信するためのデフォルトルーターが必要です。
IPv6のデフォルトルートは::/0と表され、ルーター広告などを使って端末へ通知される場合があります。
InfraAcademyのネットワーク入門講座で実践する¶
デフォルトゲートウェイは、説明を読んだだけでは、同じネットワークと別ネットワークの違いを理解しにくい分野です。
InfraAcademyのネットワーク入門講座では、IPアドレス、サブネット、ARP、ルーティング、VLAN、NAT、ACLまで順番に学べます。
独自シミュレーターでPC、スイッチ、ルーターを配置し、IPとゲートウェイを設定してpingを確認できます。
次のような構成を試すと効果的です。
同じネットワークのPC同士で通信
→ 別ネットワークへ変更
→ ルーターを追加
→ デフォルトゲートウェイを設定
→ 静的ルートを設定
→ pingとtracerouteで確認
最初の講座は無料です。ネットワークを基礎から学びたい方はロードマップを確認してください。
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まとめ¶
デフォルトゲートウェイは、PCが自分と異なるネットワークへ通信するときに、最初にデータを渡す相手です。
同じネットワーク内では、ARPで相手のMACアドレスを調べて直接通信します。別ネットワークへは、デフォルトゲートウェイのMACアドレスを調べ、ルーターへフレームを渡します。
PCのルーティングテーブルには、通常0.0.0.0/0のデフォルトルートが登録され、そのネクストホップとしてデフォルトゲートウェイが設定されます。
Windowsではipconfigやroute print、Linuxではip route、macOSではroute -n get defaultで確認できます。
自分のPCでゲートウェイを確認し、pingを実行してみましょう。次にシミュレーターで設定の有無を比較すると、役割を実践的に理解できます。