こんにちは、フルスタックエンジニアのryuです。
今回の記事では、スイッチのコマンドモードについて解説します。スイッチのコマンドモードには、ユーザーモード、特権モード、グローバルコンフィグレーションモードがあり、それぞれ入力できるコマンドが異なります。
そして、プロンプトに表示される > や # の記号を見れば、今どのモードにいるのかをすぐに見分けられます。この記号の読み方が分かると、Cisco機器の操作が一気に楽になりますよ。
Ciscoスイッチを使用する場合は基本的な内容になるので、ネットワーク初心者の方は必見の内容です。CCNAの学習を始めたばかりの方も、ぜひ最後までご覧ください。
スイッチのコマンドモードとは?¶
まずは、コマンドモードの全体像からおさえていきましょう。
Ciscoのスイッチには、大きく3つのコマンドモードがあります。 ユーザーモード、特権モード、グローバルコンフィグレーションモードの3つです。
それぞれのモードで実行できるコマンドが異なります。3つのモードの違いを表にまとめると、次のようになります。
| モード | プロンプトの表示 | 主にできること |
|---|---|---|
| ユーザーモード | Switch> |
機器の基本的なステータス確認 |
| 特権モード | Switch# |
全設定の確認・デバッグ・設定の保存 |
| グローバルコンフィグレーションモード | Switch(config)# |
機器全体の設定変更 |
そもそも、なぜわざわざモードを分けているのか気になりますよね。
理由は、誤操作を防ぐためです。確認しかできないモードと設定を変更できるモードを分けることで、うっかり大事な設定を壊してしまう事故を減らしています。
そして、プロンプトの記号を見れば、今どのモードにいるかが一目で分かります。 ここからは、それぞれのモードをさらに詳しく解説します。
ユーザーモードとは¶
Cisco機器にアクセスすると、最初にユーザーモードに移行します。ユーザーモードは機器のステータスを確認するためのモードで、最低限のコマンドのみ実行することができます。
ターミナル上では、Switch> のように末尾に > が表示されます。Cisco公式の用語ではユーザーEXECモードと呼ばれ、CCNA試験ではこの正式名称で登場します。
ユーザーモードでできるのは、ping による疎通確認や一部のshowコマンドなど、機器の動作に影響しない操作だけです。設定の変更はもちろん、設定内容の詳しい確認もできません。
ユーザーモードから特権モードに移行する場合は、enable コマンドを実行します。
Switch>enable
Switch#
コマンドを入力すると、コンソールに表示されている記号が変わることが分かります。> が # に変われば、特権モードへの移行は成功です。
特権モードとは¶
特権モードとは、スイッチの設定を確認したり、デバッグ作業をすることができるモードです。先ほど説明したユーザーモードよりも詳細な情報を確認することができます。
特権モードの場合、ターミナル上では Switch# と末尾に # が表示されます。Cisco公式の用語では、特権EXECモードと呼ばれます。
特権モードでは、show コマンドを使用して様々な設定内容を確認することができます。例えば、show run コマンドを実行すれば、現在設定されているものを全て表示することができます。
Switch#show run
ほかにも、show version で機器のOSバージョンを、show vlan でVLANの状態を確認できます。設定をファイルに保存する copy running-config startup-config も、このモードで実行するコマンドです。
また、特権モードからユーザーモードに移行する場合は disable を入力します。プロンプトが # から > に戻れば、ユーザーモードに切り替わっています。
なお、特権モードに入れる人を制限するため、実際の現場では特権モードにパスワードを設定するのが一般的です。確認だけでなく機器の動作に影響する操作もできるモードなので、しっかり保護する必要があるわけですね。
後ほど説明するグローバルコンフィグレーションモードに移行する場合は、configure terminal コマンドを実行します。コマンドを全て入力するのは面倒なので conf t と略しても大丈夫です。
Switch#conf t
Switch(config)#
グローバルコンフィグレーションモードとは¶
グローバルコンフィグレーションモードとは、Cisco機器の設定を行う際に移行するモードです。 特権モードから configure terminal コマンドを実行して移行します。
コンフィグレーションモードに移行すると、ターミナル上では Switch(config)# と表示されます。
ホスト名の変更やパスワードの設定など、機器全体に関わる設定はこのモードから行います。逆に、確認用のshowコマンドは基本的にこのモードでは使えないため、確認したいときは特権モードに戻るのが基本です。
特権モードに戻る場合は、exit コマンドを入力します。プロンプトが Switch(config)# から Switch# に変われば、特権モードへ戻れています。
サブコンフィグレーションモードも覚えておこう¶
グローバルコンフィグレーションモードの下には、さらに細かい設定専用のモードが用意されています。これらはサブコンフィグレーションモードと呼ばれます。
たとえば、インターフェースの設定を行う場合は、グローバルコンフィグレーションモードからさらにインターフェースコンフィグレーションモードに移行します。
Switch(config)#int gi 0/1
Switch(config-if)#
int gi 0/1 は interface GigabitEthernet0/1 の省略形です。プロンプトが (config-if)# に変われば、そのポート専用の設定モードに入っています。
代表的なサブコンフィグレーションモードを、表にまとめました。
| サブモード | 移行コマンドの例 | プロンプトの表示 | 設定できる内容 |
|---|---|---|---|
| インターフェースコンフィグレーション | interface GigabitEthernet0/1 |
Switch(config-if)# |
ポートの速度やVLANの割り当て |
| VLANコンフィグレーション | vlan 10 |
Switch(config-vlan)# |
VLANの作成や名前の設定 |
| ラインコンフィグレーション | line console 0 |
Switch(config-line)# |
コンソールやVTY経由のログイン設定 |
具体的な設定については、こちらの記事で解説しております。スイッチのアクセスポートとトランクポートの違いと設定方法では、インターフェースコンフィグレーションモードを使った実際の設定手順を紹介しています。
また、スイッチにIPアドレスを設定する方法を読めば、VLANインターフェースの設定を通してモードの移動を体験できます。あわせてご覧ください。
モード間を移動するコマンド早見表¶
ここまでに登場した移行コマンドを、一覧できる表に整理しておきます。どのモードからどこへ移動できるのか、迷ったときに見返してみてください。
| 現在のモード | 移動先 | コマンド |
|---|---|---|
| ユーザーモード | 特権モード | enable |
| 特権モード | ユーザーモード | disable |
| 特権モード | グローバルコンフィグレーション | configure terminal(略して conf t) |
| グローバルコンフィグレーション | 特権モード | exit または end |
| サブコンフィグレーション | 1つ上のモード | exit |
| サブコンフィグレーション | 特権モード | end または Ctrl+Z |
特に注目してほしいのが、end コマンドです。インターフェースコンフィグレーションモードのような深い階層にいても、一気に特権モードまで戻ることができます。
exit は1つ上の階層へ、end は特権モードまで一気に戻る、と覚えておくと混乱しません。Ctrl+Zのキー操作でも、end と同じ動きになります。
設定作業ではモードの行き来を何度も繰り返すので、この表の内容は自然と手が覚えていきます。まずは enable と conf t と exit の3つから使いこなしていきましょう。
初心者がつまずきやすいポイント¶
コマンドモードの仕組みはシンプルですが、実際に操作すると戸惑う場面も出てきます。ここでは、初心者の方がつまずきやすいポイントを3つ紹介します。
コマンドを打ってもエラーが表示される¶
正しいはずのコマンドを入力したのに、% Invalid input detected というエラーが出た経験はありませんか。
このエラーの原因として多いのが、モードの違いです。コマンドには実行できるモードが決まっているため、たとえばグローバルコンフィグレーションモードで show run を打ってもエラーになります。
エラーが出たら、まずプロンプトの表示を確認してみてください。今いるモードが分かれば、どのモードへ移動すればよいのかも見えてきます。
コンフィグレーションモードのままshowコマンドを使いたい¶
設定の途中で、確認のたびに特権モードへ戻るのは面倒ですよね。
そんなときは、コマンドの先頭に do を付けると、コンフィグレーションモードのままshowコマンドを実行できます。do show run のように入力すれば、設定作業を中断せずに確認まで済ませられます。
enableと入力したらパスワードを求められた¶
enable を入力した瞬間にパスワードを聞かれて、驚いた方もいるのではないでしょうか。
これは、その機器に特権モード用のパスワードが設定されているためです。誰でも設定に触れると危険なので、現場の機器ではほぼ確実に設定されています。
パスワードの設定手順や仕組みについては、スイッチの特権モードとコンソールにパスワードを設定する方法で詳しく解説しています。自分の検証環境にも設定してみると理解が深まりますよ。
CCNA試験でのコマンドモードの扱い¶
CCNAの取得を目指している方にとって、コマンドモードは避けて通れない基礎知識です。試験でどう扱われるのかも、あわせて知っておきましょう。
CCNA試験では、ユーザーモードはユーザーEXECモード、特権モードは特権EXECモードという正式名称で登場します。プロンプトの表示からモードを判断させる問題も定番なので、> と # の違いは確実に覚えておきたいところです。
なお、CCNA 200-301は2024年8月にバージョン1.1へアップデートされました。生成AIや自動化ツールに関する項目が追加されましたが、コマンドモードのような基礎が重要である点は変わっていません。
参考書で知識を入れたら、実際にコマンドを打って体で覚えるのが合格への近道です。次の章で、その練習方法を紹介します。
実際に手を動かして練習してみよう¶
コマンドモードは、読むだけではなかなか身につきません。自分の手でコマンドを打ち、プロンプトの変化を目で見ると理解が一気に深まります。
実機のスイッチがなくても、Cisco Packet Tracerのような無料のシミュレーターで練習できます。スイッチを1台置いて、enable と conf t を打ってみるだけでも立派な第一歩です。
当ブログのネットワーク入門講座一覧では、ネットワークの基礎から順番に学べる講座を公開しています。今回のコマンドモードを前提とした設定の演習もあるので、ぜひ活用してください。
コマンドモードに関するよくある疑問¶
最後に、初心者の方からよく聞かれる疑問に答えておきます。
ルーターでもコマンドモードは同じ?¶
Ciscoのルーターでも、コマンドモードの仕組みはスイッチと共通です。プロンプトの表示が Router> や Router# に変わるだけで、enable や conf t といった移行コマンドもそのまま使えます。
一度スイッチで覚えてしまえば、ルーターの操作にもそのまま応用が利きます。とても効率の良い学習ポイントなので、安心して取り組んでください。
今どのモードにいるか分からなくなったら?¶
操作しているうちに、自分がどのモードにいるのか分からなくなることもありますよね。そんなときは、落ち着いてプロンプトの記号を確認しましょう。
> ならユーザーモード、# なら特権モード、(config) を含むならコンフィグレーションモード系です。迷ったら end で特権モードまで戻って、仕切り直すのが確実です。
コマンドは省略して入力してもいい?¶
Cisco機器のコマンドは、他のコマンドと区別できる長さまで省略して入力できます。configure terminal を conf t と打てるのは、この仕組みのおかげです。
show running-config も sh run と省略できます。よく使うコマンドの省略形を覚えておくと、操作のスピードが大きく変わりますよ。
設定した内容は保存しなくても大丈夫?¶
コンフィグレーションモードで変更した設定は、まずメモリ上のrunning-configに反映されます。この状態のままだと、機器を再起動したときに設定が消えてしまいます。
設定を残したい場合は、特権モードに戻って copy running-config startup-config を実行しましょう。これで起動用の設定ファイルに保存され、再起動後も設定が維持されます。
コマンドモードとは?まとめ¶
今回の記事では、スイッチのコマンドモードについて解説しました。まとめると以下のようになります。
| モード | プロンプト | 役割 |
|---|---|---|
| ユーザーモード | Switch> |
スイッチのステータスを確認するモード |
| 特権モード | Switch# |
スイッチの全設定を確認するモード |
| グローバルコンフィグレーションモード | Switch(config)# |
スイッチの設定を行うモード |
プロンプトの記号でモードを見分けること、そして enable や conf t で移行することをおさえれば、Cisco機器の操作はぐっと身近になります。まずはシミュレーターで、プロンプトが変わる瞬間を体験してみてください。
当ブログでは、このようなネットワークやインフラに関連した技術を発信しているので興味のある方は是非ご覧ください。ネットワーク入門講座一覧のほかにも、Linux入門講座一覧やAWS入門講座一覧を公開しています。
さらにネットワークについて勉強したい方は、こちらの参考書がオススメです。

