こんにちは、インフラエンジニアのryuです。
この記事は、AWSクラウドプラクティショナー(CLF-C02)の勉強を始めて、サービスの数の多さに手が止まっている人に向けて書いています。
EC2、S3、RDS、DynamoDB、CloudWatch、CloudTrail。参考書を開くたびに新しいサービス名が出てきて、昨日覚えたものも次の日には混ざってしまう。そんな状態が続くと、全部覚えるのは無理だと感じますよね。
でも、CLF-C02でサービスの問題を解くのに、一覧表を上から丸ごと覚える必要はありません。サービスは、何のために使うかでグループに分けて覚えると、似た名前どうしが混ざりにくくなります。
この記事では、Webサイトを1つ動かすときに使うサービスを順番に並べて、役割ごとに整理する方法を紹介します。最後に、今日その場で解ける確認問題も用意しました。
CLF-C02の勉強の全体の進め方は、CLF-C02の勉強方法の記事にまとめています。この記事では、サービスの覚え方に絞って説明します。
AWSのサービスが覚えられないのはなぜ?¶
覚えられない原因は、たいてい記憶力ではなく、覚える順番にあります。
参考書やサービス一覧は、だいたいアルファベット順か、カテゴリごとに並んでいます。その順番で1つずつ覚えようとすると、サービスどうしのつながりが見えないまま、名前と説明の組み合わせだけが増えていきます。
よくある状態を表にしてみました。
| よくある状態 | 起きていること |
|---|---|
| 名前は聞いたことがあるのに、何をするサービスか出てこない | 名前と役割がつながっていない |
| CloudWatchとCloudTrailのように、似た名前が入れ替わる | 違いを比べずに、別々に覚えている |
| 問題文の場面を読んでも、どのサービスか思いつかない | どんな場面で使うかを知らない |
| 一覧の後半のサービスほど覚えていない | 一覧を上から覚えようとして、毎回最初からやり直している |
自分に当てはまるものはありましたか。
どれも、サービスを単体で覚えようとしているのが原因です。サービスは、ほかのサービスと組み合わせて使う前提で作られています。なので、組み合わせの中で覚えたほうが頭に残りやすいです。
CLF-C02では、サービスはどれくらい出る?¶
CLF-C02の試験ガイドでは、出題範囲が4つの分野に分かれています。その中で、サービスそのものを扱う「クラウドテクノロジーとサービス」の分野が34%と、いちばん大きな割合を占めます。
AWSは試験ガイドの付録として、出題範囲に入るサービスの一覧(In-Scope AWS Services)も公開しています。この一覧は、サービスを主な役割ごとのカテゴリに分けて並べていて、網羅的なものではなく変わることがある、と説明されています。
一覧に載っているサービスを全部同じ深さで覚える必要はありません。よく使われる基本のサービスは役割と使い分けまで、それ以外は何をするサービスかを一言で言える程度を目標にすると、勉強の量を調整しやすくなります。
Webサイトを1つ動かす流れで、サービスを並べてみよう¶
ここからが本題です。サービスを一覧の順番ではなく、Webサイトを1つ動かすときに使う順番で並べてみます。
例として、会員がログインして商品を見られる、小さな通販サイトをAWSで動かす場面を考えます。利用者がブラウザでサイトを開いてから、データが保存されるまでに通る場所を、順番に追っていきましょう。
| 順番 | 起きていること | 使うサービス |
|---|---|---|
| 1 | 利用者がドメイン名でサイトにアクセスする | Route 53(DNS) |
| 2 | 画像などをキャッシュして、利用者の近くから返す | CloudFront(CDN) |
| 3 | アクセスを複数のサーバーに振り分ける | Elastic Load Balancing |
| 4 | アプリケーションを動かす | EC2、Lambda、ECS |
| 5 | 会員情報や注文のデータを保存する | RDS、Aurora、DynamoDB |
| 6 | 商品画像やバックアップのファイルを置く | S3 |
| 7 | ここまでのサーバーを置くネットワークを用意する | VPC |
この表を一度、自分の手で書き写してみてください。
一覧表で見るとばらばらだったサービスが、1本の流れの中に並びます。たとえばCloudFrontを忘れても、「利用者の近くから返す役」と思い出せれば、ほかのサービスとの関係からたどり着けます。
アプリケーションを動かすサービス¶
4番目のアプリケーションを動かす部分は、CLF-C02でよく比べられるところです。
EC2は仮想サーバーで、OSから自分で管理します。Lambdaはサーバーを用意せずにコードを実行でき、実行した時間などに応じて料金がかかります。ECSはコンテナを動かすためのサービスです。
3つの使い分けは、EC2とLambdaの違いの記事で、料金や責任の範囲まで含めて詳しく整理しています。
データを保存するサービス¶
5番目と6番目の保存先も、選択肢に並びやすいサービスです。
| サービス | 何を保存する? | 覚えるときの目印 |
|---|---|---|
| RDS | 表の形のデータ(リレーショナルデータベース) | MySQLやPostgreSQLなどを、管理の手間を減らして使える |
| Aurora | 表の形のデータ | MySQL・PostgreSQLと互換性のある、AWSのデータベース |
| DynamoDB | キーと値の形のデータ(NoSQL) | サーバーの管理がいらず、大量のアクセスでも速く読み書きできる |
| S3 | ファイル(オブジェクト) | 容量を気にせずに置け、Webから取り出せる |
| EBS | EC2につなぐディスク | EC2のOSやデータを入れる、ブロックストレージ |
S3とEBS、それにEFSの違いは、S3・EBS・EFSの違いの記事で練習問題つきで解説しています。データベースの使い分けで迷う人は、RDSとDynamoDBの違いを先に押さえておくと、ほかの選択肢も切りやすくなります。
Webサイトを支えるサービスも、役割で分けておく¶
ここまでで、Webサイトを動かすのに直接使うサービスが並びました。
ただ、実際にサイトを運用するには、ほかにもいくつかの役割が必要です。誰が何を操作できるかを決める、攻撃から守る、動いているかを見張る、料金を管理する、といった役割です。これらはWebサイトの流れの横に、別のグループとしてまとめておきます。
| 役割 | 使うサービス | 一言でいうと |
|---|---|---|
| 誰が何をできるかを決める | IAM | ユーザーやロールに、操作の権限を与える |
| 攻撃から守る | Shield、WAF | ShieldはDDoS攻撃への対策、WAFはWebアプリへの攻撃をルールで止める |
| 脅威や弱点を見つける | GuardDuty、Inspector | GuardDutyは怪しい動きの検知、Inspectorは脆弱性のスキャン |
| 動いているかを見張る | CloudWatch | メトリクスやログを集めて、アラームを出す |
| 誰が何を操作したかを残す | CloudTrail | AWSアカウントでのAPIの呼び出しを記録する |
| 設定の変化を記録する | Config | リソースの設定がいつ、どう変わったかを記録する |
| 構成をまとめて作る | CloudFormation | テンプレートから、同じ構成をくり返し作れる |
| 料金を確認・管理する | Cost Explorer、Budgets | Cost Explorerは使った料金の分析、Budgetsは予算を超えそうなときの通知 |
| サービスどうしをつなぐ | SNS、SQS | SNSは通知を配る、SQSはメッセージをためて順番に渡す |
この表は、一度に全部覚えなくてもかまいません。
最初は左の列の役割だけを覚えておいて、問題を解くときに「この問題はどの役割の話か」を先に考えるようにします。役割が分かれば、選択肢は2つか3つに絞れることが多いです。
名前が似ているサービスは、2つ並べて覚える¶
覚えられない原因でいちばん多いのが、名前が似ているサービスの取り違えです。これは、片方ずつ覚えるのをやめて、必ず2つセットで比べると解決しやすくなります。
| 取り違えやすい組み合わせ | 見分け方 |
|---|---|
| CloudWatch と CloudTrail | 性能や状態を見張るならCloudWatch、操作の記録ならCloudTrail |
| SNS と SQS | 複数の相手に一斉に知らせるならSNS、メッセージをためて後で処理するならSQS |
| Shield と WAF | DDoS攻撃への対策ならShield、SQLインジェクションなどWebアプリへの攻撃ならWAF |
| GuardDuty と Inspector | アカウントや通信の怪しい動きならGuardDuty、ソフトウェアの脆弱性ならInspector |
| Cost Explorer と Budgets | 過去の料金を分析するならCost Explorer、予算を決めて通知するならBudgets |
CloudTrailの記録が実際にどう見えるかは、AWSの操作履歴を確認する方法の記事で紹介しています。画面で一度見ておくと、CloudWatchとの違いを取り違えにくくなります。
覚える順番の目安¶
ここまでの内容を、勉強する順番にまとめておきます。全部を同じ日にやる必要はなく、1日に1つの段階を進めるくらいで十分です。
| 段階 | やること | 目安 |
|---|---|---|
| 1 | Webサイトの流れの表(7行)を、何も見ずに書けるようにする | 1日 |
| 2 | 支える役割の表の、左の列(役割)だけを覚える | 1日 |
| 3 | 取り違えやすい組み合わせを、2つずつ比べて説明できるようにする | 2〜3日 |
| 4 | 問題を解き、間違えたサービスを表のどこに入るか書き足す | 毎日 |
4番目が大事です。問題集で知らないサービスが出てきたら、新しく単体で覚えるのではなく、この表のどの役割に入るかを考えてから書き足します。そうすると、覚えたサービスがいつも表の中に整理された状態で残ります。
仕組みを理解して選択肢を絞る考え方は、CLF-C02は暗記だけで受かる?の記事で、責任共有モデルや料金モデルを例にして紹介しています。サービス名が整理できたら、次に読んでみてください。
今日やる練習:役割からサービスを答える確認問題3問¶
ここで、今日その場でできる練習をやってみましょう。
まずは紙かメモアプリに、Webサイトの流れの表の「使うサービス」の列を隠して、1行目から順に書けるか試してください。書けなかった行が、今日見直すサービスです。
それが終わったら、次の3問を解いてみます。3問ともオリジナルの問題で、役割からサービスを選ぶ形にしています。
問題1:ファイルの保存先¶
ある会社は、利用者がアップロードした画像を保存して、Webサイトから表示したいと考えています。保存する容量を前もって決めずに使え、高い耐久性があるサービスを使いたいです。最も適したサービスはどれでしょうか。
- A. Amazon EBS
- B. Amazon S3
- C. Amazon RDS
- D. Amazon DynamoDB
正解:B
S3はファイル(オブジェクト)を保存するストレージで、容量を前もって用意する必要がなく、高い耐久性を持つように設計されています。EBSはEC2につなぐディスクで、RDSとDynamoDBはデータベースです。画像ファイルを置いてWebから使う場面では、S3を選びます。
問題2:操作の記録¶
セキュリティの担当者が、AWSアカウントで誰が、いつ、どのAPIを呼び出したかを確認したいと考えています。この記録を提供するサービスはどれでしょうか。
- A. Amazon CloudWatch
- B. AWS CloudTrail
- C. AWS Trusted Advisor
- D. AWS Budgets
正解:B
CloudTrailは、AWSアカウントでのAPIの呼び出しなどの操作を記録するサービスです。CloudWatchはメトリクスやログを集めて監視するサービス、Trusted Advisorはベストプラクティスに沿っているかを確認するサービス、Budgetsは予算の管理に使うサービスです。
問題3:データベースの選び方¶
あるアプリケーションでは、キーと値の形のデータを大量に保存し、多くのアクセスがあっても速く読み書きしたいと考えています。データベースのサーバーの管理はしたくありません。最も適したサービスはどれでしょうか。
- A. Amazon RDS
- B. Amazon DynamoDB
- C. Amazon Redshift
- D. Amazon EBS
正解:B
DynamoDBは、サーバーの管理が不要なNoSQLのデータベースで、キーと値の形のデータを速く読み書きできます。RDSは表の形のデータを扱うリレーショナルデータベース、Redshiftはデータを分析するためのデータウェアハウス、EBSはEC2につなぐディスクです。
3問とも、問題文の中に役割を示す言葉があります。ファイル、操作の記録、キーと値。この言葉に気づければ、サービス名の暗記があやふやでも、表の中から答えを探せます。
もっと問題を解きたい人は、CLF-C02の練習問題の記事もあわせて解いてみてください。
InfraAcademyで、サービスを組み合わせて覚える¶
表でサービスを整理できたら、その続きをInfraAcademyで進めてみてください。
InfraAcademyのAWSの講座には、講座の中で使えるシミュレーターがあり、AWSの操作を練習できます。表で名前と役割を整理したサービスを、画面の上で触って確かめるのに向いています。講座の順番は、AWSのロードマップにまとめています。
サービスの覚え方が身についてきたら、InfraAcademy の資格模擬問題の「AWS認定 クラウドプラクティショナー模擬試験150問」で、本番に近い形で確かめてみましょう。間違えたサービスは、この記事の表のどこに入るかを書き足していくと、苦手な役割が見えてきます。
試験が近い人は、CLF-C02の直前対策の記事で、残りの期間の見直し方も確認しておくと安心です。
まとめ¶
AWSのサービスが覚えられないときの整理のしかたを、振り返ります。
- サービス一覧を上から覚えるのをやめて、Webサイトを1つ動かす流れで並べる
- 認証、防御、監視、記録、料金などの支える役割は、別のグループにまとめる
- 名前が似ているサービスは、必ず2つ並べて違いを比べる
- 新しいサービスが出てきたら、表のどの役割に入るかを考えてから書き足す
- 問題を解くときは、まず問題文の中から役割を示す言葉を探す
サービスの数は多くても、役割の数はそれほど多くありません。役割の表ができてしまえば、新しいサービスが出てきても慌てずに整理できるようになります。
まずは今日、Webサイトの流れの表を1枚書いてみるところから始めてみてください。



