こんにちは、インフラエンジニアのryuです。
今回は、VirtualBoxでLinuxなどの64bit OSを使おうとしたときに、
「64bit版が選べない」 「64bitのゲストOSが表示されない」 「仮想マシンを起動すると仮想化に関するエラーが出る」
といった場合の原因と対処方法を解説します。
以前のVirtualBoxでは、新規仮想マシン作成画面に「Debian (32-bit)」「Debian (64-bit)」のような選択肢が表示されていました。
現在のVirtualBox 7系では画面構成が変わっており、以前とまったく同じ表示になるとは限りません。
ただし、64bitのゲストOSを正常に動かすために、CPUの仮想化支援機能(Intel VT-x / AMD-V)が重要なのは変わりません。
また、現在はApple SiliconなどARM64のPCも増えているため、
「仮想化が無効」だけでなく、「ホストPCとゲストOSのCPUアーキテクチャが合っているか」
も確認する必要があります。
この記事では、Windows PCを中心に、VirtualBoxで64bit OSを使えない場合の確認手順を順番に解説します。
VirtualBoxで64bit OSが使えない主な原因¶
以前のVirtualBoxでは、上の画像のように32bit版しか選択肢へ表示されないことがありました。
現在のVirtualBoxではUIが変わっていますが、64bitゲストを利用できない場合は、主に次の原因を確認します。
- BIOS / UEFIでCPU仮想化機能が無効
- PCのCPU自体が必要な仮想化機能へ対応していない
- ホストOSやVirtualBoxが古い
- Windows側のHyper-Vや仮想化機能との組み合わせで問題が起きている
- ARM64ホストでx86_64向けゲストOSを使おうとしている
- ダウンロードしたISOのアーキテクチャがPCと合っていない
元記事では「BIOSのIntel Virtualization Technologyを有効にすれば解決」としていました。
Intel製CPUを使った当時のWindows PCではよくある原因でしたが、現在はAMD製CPUやARM64のPCもあるため、もう少し広く切り分ける必要があります。
まずWindowsで仮想化が有効か確認する¶
Windowsなら、BIOSへ入る前にタスクマネージャーで確認できます。
Ctrl + Shift + Esc でタスクマネージャーを開き、
「パフォーマンス」→「CPU」
を確認します。
環境によっては、
仮想化:有効
または、
Virtualization: Enabled
と表示されます。
「有効」なら、CPUの仮想化支援機能はOSから利用できる状態です。
「無効」なら、BIOS / UEFIの設定を確認します。
BIOS / UEFIでIntel VT-xまたはAMD-Vを有効にする¶
VirtualBoxなどの仮想化ソフトでは、CPUのハードウェア仮想化支援機能を利用します。
Intel CPUでは、
Intel Virtualization Technology
Intel VT-x
VT-x
などの名前で表示されます。
AMD CPUでは、
SVM Mode
AMD-V
Secure Virtual Machine
などの名前が使われることがあります。
PCメーカーやマザーボードによって項目名は異なります。
BIOS / UEFIを開く¶
BIOS / UEFIの起動方法はPCによって違います。
起動直後に、
F2
F10
F12
Delete
Esc
などを押す方法があります。
以前の記事ではHP製PCの例として、
起動直後にF10
↓
詳細設定
↓
デバイス構成
↓
Virtualization Technology
という手順を紹介していました。
現在も機種によって似た設定がありますが、画面構成はモデルごとに異なります。
PCメーカーの公式マニュアルで、
機種名 + virtualization
機種名 + VT-x
機種名 + SVM
などを確認するのが確実です。
仮想化を有効にして保存する¶
BIOS / UEFIで仮想化設定を見つけたら、有効へ変更します。
例えば、
Virtualization Technology
Disabled
↓
Enabled
とします。
変更後は、設定を保存して終了します。
保存せず終了すると設定が反映されません。
Windowsが起動したら、再びタスクマネージャーで、
仮想化:有効
になっているか確認しましょう。
VirtualBoxを最新版へ更新する¶
仮想化が有効なのに問題が続く場合は、VirtualBox自体も確認します。
VirtualBoxは現在も更新されており、古いバージョンでは新しいWindowsや新しいCPUとの組み合わせで問題が出ることがあります。
VirtualBoxを長期間更新していない場合は、Oracle VirtualBoxの公式サイトから現在の安定版へ更新してみてください。
更新前には、重要な仮想マシンのバックアップやスナップショットを確認しておくと安心です。
現在のVirtualBoxでは「64-bit」の表示方法が違うことがある¶
2020年当時のVirtualBoxでは、
Debian (32-bit)
Debian (64-bit)
のように明確に分かれて表示されることがありました。

現在のVirtualBox 7系では新規仮想マシン作成画面が変わり、ISOイメージを選択するとゲストOSの種類を自動判定する機能もあります。
そのため、
「昔の記事と同じ場所に64-bitという文字がない」
だけで異常とは限りません。
重要なのは、
- 利用するISOが64bit向けか
- ホストCPUが対応しているか
- ハードウェア仮想化が有効か
- 仮想マシンが正常に起動できるか
です。
ISOが64bit版か確認する¶
例えばLinuxのダウンロードページには、
amd64
x86_64
arm64
aarch64
などの表記があります。
Windowsの一般的なIntel / AMD製64bit PCでVirtualBoxを使う場合は、通常、
amd64
x86_64
向けのISOを利用します。
ここでの amd64 は「AMD製CPU専用」という意味ではありません。
Intel / AMDの一般的な64bit PCで使われるx86-64アーキテクチャを示す名称として広く使われています。
Apple Siliconではx86_64とARM64を混同しない¶
現在はMシリーズのMacなど、ARM64のPCも増えています。
VirtualBoxにはmacOS / ARM64向けのビルドもありますが、ホストのCPUアーキテクチャによって利用できるゲストOSが変わります。
つまり、
Apple Silicon(ARM64)
↓
x86_64のLinux ISO
を、Intel Macと同じ感覚でそのまま動かせるとは限りません。
OracleのVirtualBoxマニュアルでも、利用できる設定はホストプラットフォームのアーキテクチャによって異なるとされています。
ARM64ホストなら、まずゲストOS側にもARM64向けイメージがあるか確認しましょう。
WindowsのHyper-Vが原因になることもある?¶
Windowsでは、
- Hyper-V
- Windows Hypervisor Platform
- Virtual Machine Platform
- WSL 2
- Windowsの仮想化ベースのセキュリティ機能
なども仮想化機能を利用します。
昔のVirtualBoxでは、Hyper-Vが有効になっているとVirtualBoxと競合しやすい時期がありました。
現在のVirtualBoxはWindows Hypervisor Platformを利用する動作にも対応していますが、環境によってはパフォーマンス低下や起動トラブルの切り分けが必要になることがあります。
そのため、
「64bitが使えないから、とりあえずHyper-Vを全部無効にする」
とは考えない方がよいです。
WSL 2やDocker Desktopなどを利用している場合、Hyper-V関連機能を無効化すると別の環境へ影響する可能性があります。
まずは、
- BIOS / UEFIの仮想化が有効か
- VirtualBoxが新しいか
- ISOのCPUアーキテクチャが正しいか
を確認してください。
それでも問題が続く場合に、Windows側のハイパーバイザー機能との組み合わせを調査します。
エラーメッセージを確認する¶
仮想マシンを起動できない場合は、表示されたエラー文をそのまま確認してください。
例えば、
VT-x
AMD-V
hardware virtualization
VERR_VMX
VERR_SVM
などが含まれている場合は、CPU仮想化機能が関係している可能性があります。
一方、
architecture
ARM64
AMD64
unsupported
などがあれば、CPUアーキテクチャの不一致を疑います。
「64bitが使えない」という現象だけで原因を決めつけず、エラーメッセージから切り分けることが大切です。
64bitゲストが使えない場合の確認順序¶
ここまでをまとめると、次の順番で確認するのがおすすめです。
1. PCのCPUアーキテクチャを確認¶
Windowsなら、
設定
↓
システム
↓
バージョン情報
↓
システムの種類
などから確認できます。
2. タスクマネージャーで仮想化を確認¶
パフォーマンス
↓
CPU
↓
仮想化:有効
になっているか確認します。
3. 無効ならBIOS / UEFIを確認¶
Intel VT-xまたはAMD-V / SVMを有効にします。
4. VirtualBoxを更新¶
現在の安定版を利用します。
5. ISOのアーキテクチャを確認¶
Intel / AMDの一般的なPCなら amd64 / x86_64、ARM64 PCならARM64向けイメージを確認します。
6. VirtualBoxのエラーを読む¶
表示されたエラーコードやメッセージをもとに、仮想化・Hyper-V・アーキテクチャなどを切り分けます。
Linuxを勉強するだけならWSLも選択肢¶
以前は「WindowsでLinuxを勉強する=VirtualBox」というケースが多くありました。
現在のWindowsでは、Linuxコマンドを学ぶだけならWSLもかなり使いやすくなっています。
管理者PowerShellから、
wsl --install
と実行することで、基本的なLinux環境を用意できます。
仮想マシンそのものの構築を学びたいならVirtualBox、まずLinuxコマンドを学びたいならWSL、と目的に応じて選ぶのがおすすめです。
詳しくはこちらの記事で解説しています。
WindowsにLinuxをインストールする方法|WSLなら初心者でも簡単
VirtualBoxで64bit OSが使えない場合のまとめ¶
今回は、VirtualBoxで64bit OSを選べない・起動できない場合の対処方法を解説しました。
2020年当時の記事では、
「Intel Virtualization Technologyを有効にする」
だけを対策として紹介していました。
現在は、次の順番で確認する方がよいでしょう。
- Intel VT-x / AMD-Vが有効か
- VirtualBoxが古くないか
- ISOのアーキテクチャが正しいか
- ARM64とx86_64を混同していないか
- Windows側の仮想化機能との組み合わせに問題がないか
- VirtualBoxが表示するエラー内容は何か
特に、タスクマネージャーで「仮想化:有効」か確認するだけでも、かなり切り分けが進みます。
Linux学習が目的でVirtualBoxの環境構築につまずいている場合は、WSLやブラウザ上のLinux環境を利用する方法もあります。
InfraAcademyでは、Linuxコマンドをブラウザから実行しながら学習できます。
あわせて読みたい



