こんにちは、フルスタックエンジニアのryuです。
インフラエンジニアを目指しているけれど、最初にITパスポートを取得するべきなのだろうか。 すでにインフラの仕事を始めている場合でも、勉強する意味はあるのだろうか。
そんな悩みはありませんか。
ITパスポートはITの基礎を幅広く学べる国家試験です。ただし、すべてのインフラエンジニアが必ず取得しなければならない資格ではありません。
先に結論をお伝えすると、IT未経験者やインフラエンジニアになったばかりの方にはおすすめですが、すでにLinuxやネットワークの実務経験がある方は優先度が下がります。
私自身も、一番最初に取得したIT資格はITパスポートでした。しかし、取得したのはエンジニアになる前です。
エンジニアとして10年以上仕事をしてきた今振り返ると、ITパスポートで学んだ知識は、その後の資格学習や現場の会話を理解するための土台になりました。一方で、ITパスポートに合格しただけでサーバーを構築できるようになったわけではありません。
この記事では、インフラエンジニアにITパスポートが必要なのか、取得するメリットや注意点、その次に目指したい資格まで初心者向けに解説します。
インフラエンジニアにITパスポートは必要?¶
インフラエンジニアがITパスポートを取得するべきかどうかは、現在の知識や実務経験によって変わります。資格の知名度だけで判断するのではなく、今の自分に足りない知識を補えるかで考えることが大切です。
目安を整理すると、次のようになります。
| 現在の状況 | ITパスポートの優先度 | おすすめの判断 |
|---|---|---|
| ITを初めて学ぶ | 高い | 基礎知識を体系的に学ぶため取得を目指す |
| 未経験からインフラエンジニアを目指す | 高い | Linux学習と並行して勉強する |
| 入社直後でIT用語がわからない | 高い | 社内研修の復習として活用する |
| Linuxやネットワークを1年以上経験している | 低い | LPIC、LinuC、CCNAなどを優先する |
| 基本情報技術者試験の勉強を進めている | 低い | 基本情報技術者試験を継続する |
| 会社から取得を求められている | 高い | 評価や研修要件を確認して取得する |
ここからは、それぞれのケースをもう少し詳しく見ていきましょう。
IT未経験者にはITパスポートがおすすめ¶
IT未経験者や、インフラエンジニアとして働き始めたばかりの方には、ITパスポートをおすすめします。ネットワーク、セキュリティ、データベース、システム開発など、IT業界で使われる基礎用語を広く学べるからです。
未経験の頃は、現場で飛び交う言葉の意味がわからず、会話についていけないことがあります。DNS、データベース、暗号化、プロジェクト管理などを一度体系的に学んでおくと、わからない言葉が少しずつ減っていきます。
ITパスポートは、インフラだけに特化した試験ではありません。しかし、専門分野へ進む前にIT全体の地図を手に入れる試験としては使いやすいです。
実務経験があるなら必ずしも取得しなくてよい¶
すでにLinuxサーバーを操作し、IPアドレスやルーティング、セキュリティの基本を理解している方は、ITパスポートを無理に取得しなくても問題ありません。学習内容の多くを、すでに実務や研修で身につけている可能性があるからです。
その場合は、LPIC・LinuC・CCNA・AWS認定資格など、担当業務に近い資格を優先した方が成長につながります。国家試験を取得したいのであれば、基本情報技術者試験へ進む選択肢もあります。
【関連記事】基本情報技術者試験はインフラエンジニアに必要?
ただし、会社の昇格条件や研修制度にITパスポートが含まれている場合は別です。取得しないことで評価に影響するなら、実務経験があっても早めに合格しておく方がよいでしょう。
転職で資格だけを強くアピールするのは難しい¶
ITパスポートは、ITの基礎知識を証明する資格です。ただし、インフラエンジニアの中途採用で、ITパスポートだけが大きな決め手になることは多くありません。
採用では、Linuxの操作経験、ネットワークの理解、クラウドの利用経験、障害対応の考え方なども見られます。未経験者の場合でも、資格に加えて学習環境で手を動かした経験があると伝えやすくなります。
ITパスポートはゴールではありません。インフラ学習を始めるための入口として活用しましょう。
ITパスポートとはどのような試験?¶
ITパスポートは、ITを利用する社会人や学生が身につけておきたい基礎知識を問う国家試験です。インフラエンジニアだけではなく、営業、事務、企画など幅広い職種の方が受験します。
試験はCBT方式で行われ、コンピューターの画面に表示された問題へ解答します。出題はストラテジ系、マネジメント系、テクノロジ系の3分野です。
| 分野 | 主な内容 | インフラ業務との関係 |
|---|---|---|
| ストラテジ系 | 経営戦略、会計、法務、マーケティング | 顧客や会社の業務を理解するために役立つ |
| マネジメント系 | プロジェクト管理、サービス管理、開発手法 | 運用やプロジェクトの流れを理解しやすくなる |
| テクノロジ系 | ネットワーク、セキュリティ、データベース、ハードウェア | インフラ業務の基礎に直結しやすい |
ITパスポートは120分で100問が出題されます。試験内容やシラバスは改訂されることがあるため、受験前には必ず公式サイトで最新情報を確認してください。
インフラエンジニアがITパスポートを取得するメリット¶
ITパスポートには、直接サーバー構築の技術が身につくわけではないという弱点があります。それでも、未経験者にとっては学習するメリットがあります。
ITの基礎知識を体系的に学べる¶
1つ目のメリットは、ITの基礎知識を順番に学べることです。独学では興味のあるLinuxやAWSばかり勉強して、セキュリティやデータベースの学習が抜けてしまうことがあります。
ITパスポートのシラバスに沿って勉強すると、コンピューターの仕組みからネットワーク、情報セキュリティ、システム開発まで一通り触れられます。詳しい技術を学ぶ前に、用語同士のつながりをつかみやすくなります。
たとえば、Webサーバーを学ぶときには、サーバーの操作だけでなく、DNS、HTTP、IPアドレス、データベース、セキュリティなど複数の知識が必要です。ITパスポートで全体像を知っていると、新しい内容を学ぶときに理解しやすくなります。
ネットワークやセキュリティの入口になる¶
インフラエンジニアの仕事では、ネットワークとセキュリティの知識が欠かせません。ITパスポートでは、LANとWAN、プロトコル、暗号化、認証、マルウェアなどの基本を学びます。
もちろん、ITパスポートだけでルーターの設定やファイアウォールの設計ができるようになるわけではありません。しかし、専門的な学習へ進む前の予備知識として役立ちます。
用語を初めて見る状態と、一度学んだ状態では、その後の理解速度が違います。資格勉強を通じて、専門学習のハードルを下げられることがメリットです。
IT部門以外の人との会話にも役立つ¶
インフラエンジニアは、技術者だけと仕事をするわけではありません。営業、経理、法務、顧客担当者など、さまざまな立場の人と話します。
ストラテジ系やマネジメント系の知識は、Linuxコマンドのようにすぐ実務で使うものではありません。それでも、会社がなぜシステムへ投資するのか、プロジェクトがどのように進むのかを理解する助けになります。
私もエンジニアになったばかりの頃は、技術さえ覚えればよいと思っていました。しかし、経験を重ねるほど、技術以外の知識が仕事の進めやすさに影響すると感じます。
次の資格へ進む練習になる¶
ITパスポートは、資格試験に慣れていない方が最初に挑戦しやすい試験です。学習計画を立て、参考書を読み、問題演習を繰り返し、本番を受験する流れを経験できます。
一度合格すると、次の資格へ進む自信にもつながります。LPICやLinuC、CCNA、基本情報技術者試験へ挑戦するときにも、学習習慣を作った経験が役立ちます。
ITパスポートだけでは身につかないインフラスキル¶
ITパスポートのメリットを解説しましたが、過度な期待は禁物です。試験に合格しても、Linuxサーバーを構築したり、ネットワーク障害を調査したりする力が自動的に身につくわけではありません。
Linuxコマンドの操作力¶
インフラの現場では、cd、ls、grep、vi、systemctlなどのコマンドを使います。ITパスポートではLinuxの実践的な操作を繰り返し練習する試験ではないため、別に手を動かす時間が必要です。
たとえば、次のような基本操作は、実際にターミナルへ入力して覚えます。
pwd
ls -la
cd /var/log
grep "error" messages
コマンドは読むだけでは身につきにくいです。間違えて実行し、結果を確認し、なぜそうなったのかを考えることで少しずつ使えるようになります。
サーバー構築と障害対応の経験¶
インフラエンジニアには、Webサーバーやデータベース、クラウド環境を構築する力も求められます。設定ファイルの変更やサービスの起動、ログの確認などは、実際の環境で練習する必要があります。
さらに、実務では手順どおりに進まないことがあります。エラーが出たときにログを確認し、原因の候補を立て、一つずつ切り分ける経験が重要です。
資格学習と実機演習は、どちらか一方を選ぶものではありません。ITパスポートで基礎用語を学びながら、Linuxやネットワークを実際に操作するのがおすすめです。
インフラエンジニアが次に目指したい資格¶
ITパスポートに合格したあとは、目指す仕事に合わせて次の資格を選びます。経験年数だけで決めるより、身につけたい技術から逆算した方が失敗しにくいです。
| 学びたい分野 | おすすめ資格 | 学べる内容 |
|---|---|---|
| Linuxサーバー | LPICレベル1、LinuCレベル1 | Linuxの基本操作、ファイル管理、権限、ネットワーク |
| ネットワーク | CCNA | IPアドレス、ルーティング、スイッチ、ネットワーク構築 |
| IT全般を深く学ぶ | 基本情報技術者試験 | コンピューター、ネットワーク、アルゴリズム、セキュリティ |
| セキュリティ | 情報セキュリティマネジメント試験 | 情報セキュリティ管理、リスク、対策 |
| AWS | AWS認定クラウドプラクティショナー、SAA | クラウドの基礎、AWSサービス、設計 |
| Azure | Azure Fundamentalsなど | Azureとクラウドの基礎 |
Linuxサーバーの運用や構築を目指すなら、LPICまたはLinuCが学習内容とつながりやすいです。ネットワークエンジニアを目指すなら、CCNAを優先するとよいでしょう。
資格を取得する順番で迷う方は、【関連記事】インフラエンジニアにおすすめの資格と取得する順番も参考にしてください。
ITパスポートに合格するための勉強方法¶
ITパスポートは出題範囲が広いため、最初からすべてを完璧に覚えようとすると挫折しやすくなります。参考書で全体像をつかみ、問題演習で理解が浅い分野を見つける方法がおすすめです。
参考書を一周して全体像をつかむ¶
最初は、わからない用語があっても止まりすぎず、参考書を最後まで読みます。1回目の目的は暗記ではなく、どのような分野が出題されるのかを知ることです。
テクノロジ系は理解しやすくても、会計や経営戦略で苦戦する方もいます。得意分野と苦手分野を把握したうえで、2周目以降の時間配分を決めましょう。
問題演習を中心に進める¶
参考書を読んだだけでは、知識が定着したか判断できません。問題を解き、間違えた理由を確認する作業を繰り返します。
正解した問題でも、ほかの選択肢を説明できない場合は理解が不十分です。答えだけを覚えるのではなく、用語の意味や関連する仕組みまで確認しましょう。
勉強時間は50〜100時間を目安にする¶
必要な勉強時間には個人差があります。IT未経験者であれば50〜100時間程度を一つの目安にし、理解度に応じて調整するとよいでしょう。
私がITパスポートを取得したときも、短期間で詰め込むより、毎日少しずつ問題へ触れる方が続けやすいと感じました。平日に30分から1時間、休日にまとまった復習時間を取るだけでも学習を進められます。
【関連記事】社会人がITパスポートに合格するために必要な勉強時間は?
インフラの基礎を身につけるなら実践学習も進めよう¶
ITパスポートの勉強と並行して、Linuxやネットワークを実際に操作すると理解が深まります。知識として覚えた用語が、コマンドや設定とつながるからです。
インフラエンジニアの基礎を身につけたいならInfraAcademy(インフラアカデミー)¶
インフラエンジニアの基礎を身につけたいならInfraAcademyという学習サイトがおすすめです。
InfraAcademyでは、Linuxやネットワークなどインフラに必要な基礎知識を学べるようになっています。
講座は、Linux入門講座や中級講座があり、Linux初心者でも学習できる内容になっています。

インフラエンジニアに必要な知識が全て学習できるので、興味ある方はぜひ使ってみてください。一部の講座は無料で体験することができます。
ITパスポートで学んだネットワークやセキュリティの用語を、Linux環境で確認してみると記憶に残りやすくなります。資格対策と実践学習を分けずに進めることが、インフラエンジニアへの近道です。
まとめ¶
今回は、インフラエンジニアがITパスポートを取得するべきかどうかを解説しました。
IT未経験者や入社したばかりの方には、ITの全体像を学ぶためにおすすめです。一方で、すでにLinuxやネットワークの実務経験がある方は、LPIC、LinuC、CCNA、基本情報技術者試験などを優先しても問題ありません。
大切なのは、資格を取得することだけを目的にしないことです。ITパスポートで基礎を学び、その知識をLinux操作やサーバー構築の練習につなげていきましょう。
ここまでお読みいただきありがとうございました。