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人材開発支援助成金は、新人インフラエンジニア研修に使える?申請の段取りと研修の組み立てで気をつけること

著者: ryu | #新人研修 #法人研修 #インフラエンジニア研修
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こんにちは、インフラエンジニアのryuです。

来年度の新人インフラエンジニア研修の予算を組む時期になると、助成金を使えないかという話が社内で出てくることがあります。

外部研修やeラーニングを入れると、新人1人あたりの費用はそれなりの額になります。少しでも補助があれば助かる、というのは自然な考えです。

ただ、助成金の代表格である厚生労働省の人材開発支援助成金は、研修を始めてから調べても間に合わないことが多い制度です。

申請の手続きが、研修の開始よりかなり前から始まるからです。

この記事では、新人インフラエンジニア研修でこの助成金を検討するときに、研修担当者が早めに押さえておきたい点を整理します。制度の細かい金額や条件は年度ごとに改正されるので、最終的には厚生労働省の最新の資料と管轄の労働局で確認してください。

人材開発支援助成金とは?

人材開発支援助成金は、会社が雇っている従業員に職務に関連した訓練を受けさせたとき、訓練の経費や訓練中の賃金の一部を国が助成する制度です。

いくつかのコースに分かれていて、研修の内容や形式によって使うコースが変わります。

厚生労働省のページに載っている主なコースを、インフラエンジニア研修との関係で並べると次のようになります。

コース 主な対象 インフラエンジニア研修での使いどころ
人材育成支援コース 職務に関連した知識・技能を身につける訓練 新人研修の座学や外部研修の受講
人への投資促進コース デジタル人材の育成、定額制のeラーニングなど サブスクリプション型の学習サービスの利用
事業展開等リスキリング支援コース 新しい事業やDXに伴う学び直し 既存社員をクラウドなどの新分野へ移すとき
教育訓練休暇等付与コース 従業員が自分で学ぶための休暇制度の導入 資格の勉強のための休暇制度づくり

新人研修で最初に検討することが多いのは、上の2つです。

集合研修や外部の講座を受けさせるなら人材育成支援コース、月額制のオンライン学習サービスを使うなら人への投資促進コースの定額制訓練、という分け方がひとつの目安になります。

助成金は雇用保険の制度の一部なので、対象になるのは基本的に雇用保険の被保険者である従業員です。入社前の内定者に行う研修は、雇用関係や被保険者の資格がまだないため、対象外になると考えておいたほうが安全です。

内定者研修をしっかりやっている会社ほど、この点で予定が狂いやすいので注意してください。内定者研修そのものの組み立て方は、内定者インフラエンジニア研修で4月の立ち上がりを変える設計で書いています。

研修の前にやること:計画届の提出時期

この助成金でいちばんつまずきやすいのが、提出のタイミングです。

人材育成支援コースでは、訓練を始める前に職業訓練実施計画届を労働局へ出す必要があります。その期限は、訓練開始日から起算して6か月前から1か月前までとされています。

つまり、研修が始まってから申請しようと思っても、もう遅いということです。

4月入社の新人研修を例にすると、スケジュールはおおよそ次のようになります。

前年 9〜10月  研修の内容・外部サービスの候補を決める
前年 10月〜   計画届の提出が可能になる期間に入る(開始の6か月前から)
2月末ごろ     計画届の提出期限(開始の1か月前まで)
4月           新人研修スタート(出席・時間の記録を毎日残す)
研修終了後    終了日の翌日から2か月以内に支給申請

日付の正確な数え方は、訓練の開始日によって変わります。ぎりぎりの日程で出すのは避けて、余裕をもって管轄の労働局に相談しておくのが確実です。

ここで研修担当者が気をつけたいのは、計画届を出す時点で研修の中身がかなり固まっている必要がある、という点です。

どの訓練を、何時間、誰に、どこの講座で受けさせるのか。これが決まっていないと計画届が書けません。

「4月になったら新人の様子を見てカリキュラムを決めよう」というやり方とは、相性がよくありません。

研修の中身を前の年に固めておく

計画届に合わせて研修を組むには、前の年の秋ごろには研修の骨組みを決めておく必要があります。

インフラエンジニア研修なら、たとえば次のような単位で中身と時間数を見積もります。

研修の単位 内容の例 形式
Linuxの基礎 コマンド操作、ファイルと権限、プロセス、ログ 座学+演習
ネットワークの基礎 IPアドレス、ルーティング、DNS、切り分けの手順 座学+演習
クラウドの基礎 AWSのアカウント、EC2、VPC、料金の考え方 座学+ハンズオン
実務の入口 手順書の読み方、作業レビュー、障害時の報告 現場の先輩による講義

研修の全体をどう組むかは、インフラ未経験の新人研修の設計にまとめています。助成金を使うかどうかに関係なく、前の年のうちに研修の中身を決めておくと、4月以降の準備にも余裕が出ます。

OFF-JTの時間数を確保する

人材育成支援コースでは、訓練のうちOFF-JT(通常の業務から離れて行う座学や講習)の時間が、通算で10時間以上必要とされています。

新人研修であれば10時間はすぐに超えるので、ここで困ることはあまりありません。

注意したいのは、現場に配属してからのOJTです。先輩の横で実際の作業を覚えるOJTは、それだけではOFF-JTに数えられません。

どこまでが研修でどこからが業務なのかを、計画の段階で線引きしておくことが大事です。

申請で落ちやすいところと研修の記録

助成金は、計画届を出せばそれで終わりではありません。研修が終わったあとに、計画どおりに研修をやったことを書類で示して支給申請をします。

支給申請の期限は、原則として訓練終了日の翌日から2か月以内です。

このときに困るのが、研修中の記録が残っていないケースです。

出席と時間の記録を毎日残す

研修では、誰がどの訓練に何時間出たかを記録しておく必要があります。

外部の講座なら受講証明や修了証が出ることが多いですが、社内で行う講義は自分たちで記録を作らなければなりません。

インフラエンジニア研修は演習が長引いたり、トラブル対応で予定がずれたりしやすいので、計画と実績の差が出やすいです。

記録の形はシンプルでかまいません。たとえば次のような表を、毎日の研修の終わりに更新しておくだけでも、あとで書類を作るときの負担がかなり変わります。

日付        研修の単位        時間          受講者      講師
2027-04-08  Linuxの基礎     09:00-12:00   新人A,B,C   社内講師X
2027-04-08  Linuxの基礎     13:00-17:00   新人A,B,C   社内講師X
2027-04-09  ネットワーク基礎 09:00-12:00   新人A,B     社内講師Y(新人Cは欠席)

欠席や遅刻があった日も、そのまま書いておきます。都合のいいように記録を整えるのではなく、実際にあったことを残すのが前提です。

研修の進捗をどう見える化するかは、新人インフラエンジニア研修の進捗管理でも触れています。進捗管理のために付けている記録と、助成金のための出席記録をひとつにまとめておくと、二重に記録する手間がなくなります。

研修中の賃金と労働時間の扱い

人材育成支援コースでは、経費だけでなく訓練中の賃金の一部も助成の対象になります。

そのため、研修は労働時間として扱い、その時間の賃金をきちんと支払っていることが前提になります。

業務時間外に自習させた時間や、休日に受けさせた講座の扱いは、研修担当者だけで判断せず、労務の担当者や社会保険労務士と確認しておいたほうがよいところです。

定額制のeラーニングを使う場合の注意点

最近は、月額制で動画講座やハンズオン環境が使い放題になるサービスも増えています。インフラエンジニア研修でも、LinuxやAWSの学習に使っている会社は多いと思います。

こうしたサービスは、人への投資促進コースの定額制訓練の対象になる場合があります。

定額制訓練は、経費の助成だけで賃金の助成はないとされています。受講者1人あたりの月の上限額も決まっているので、高額なサービスほど全額が対象になるわけではありません。

また、受講に使うPCや通信機器の費用、自社向けに作った教材の制作費などは対象外とされています。

ここで、研修担当者として気をつけたい点を2つ挙げます。

「使い放題」が「使われていない」にならないようにする

定額制のサービスは、契約しただけで新人が自分から学び始めるとは限りません。

助成金の対象になるかどうかとは別に、研修としての効果が出ているかを見る必要があります。

どの講座をいつまでに終えるのかを研修計画に入れて、週に1回は進み具合を確認する。これくらいの関与はしておいたほうがよいです。

学習サービスの選び方は助成金ありきにしない

助成金の対象になるかどうかで学習サービスを選ぶと、肝心の中身が新人に合っていないことがあります。

まず研修の目的に合うサービスを選び、そのうえで助成金が使えるかを確認する、という順番がおすすめです。

研修サービスの比べ方は、失敗しない研修サービスの選定基準とチェックリストで詳しく書いています。

助成金を前提に研修を組むときの考え方

ここまで見てきたように、人材開発支援助成金を使うには、研修の計画と記録をきちんと整える必要があります。

手間がかかるのは確かですが、実はその手間の多くは、助成金がなくてもやったほうがいいことです。

助成金のために必要なこと 研修としての意味
前の年のうちに研修の中身を決める 4月から慌てずに研修を始められる
訓練ごとに時間数を見積もる 新人の負担と講師の工数が見える
出席と時間を毎日記録する 遅れている新人に早く気づける
研修と業務の線引きをする 配属後のOJTの役割がはっきりする

一方で、助成金を研修の目的にしてしまうのは避けたいところです。

「助成金の要件を満たす時間数にするために座学を増やした」「対象になるからこのサービスにした」という判断が続くと、現場で動けるインフラエンジニアを育てるという本来の目的からずれていきます。

研修にかけた費用がどれくらい戻ってきたかを考えるときも、助成金の額だけでなく、新人が独り立ちするまでの期間や、現場の先輩の負担がどう変わったかを合わせて見るべきです。この考え方は、新人インフラエンジニア研修のROIの測り方で詳しく書いています。

また、資格の受験費用や合格者への報奨金をどう扱うかは、助成金とは別に社内の制度として決めておく必要があります。資格取得支援の組み立て方は、研修と資格取得支援を組み合わせる設計を参考にしてください。

制度は毎年変わる前提で考える

人材開発支援助成金は、年度ごとにコースの新設や助成率の見直しが行われています。

去年使えた方法が、今年もそのまま使えるとは限りません。

研修担当者としては、毎年の研修計画を立てる時期に、厚生労働省のページと最新のパンフレットを確認する作業をスケジュールに入れておくのがおすすめです。

申請書類の作成に不安がある場合は、労働局の窓口に相談するか、社会保険労務士に依頼する方法もあります。

研修担当者と労務担当者で役割を分ける

助成金の申請は、研修の中身と労務の手続きの両方にまたがる作業です。

研修担当者が一人で抱えると、研修の準備と書類の準備が同じ時期に重なって、どちらも中途半端になりがちです。

おすすめは、研修の中身・時間数・出席記録は研修担当者が持ち、計画届や支給申請の書類、賃金の扱いは労務担当者が持つ、という分け方です。

最初に一度、両者で年間のスケジュールを並べて、どの時期に誰が何を出すのかを決めておきます。翌年はそのスケジュールをそのまま使えるので、2年目からはかなり楽になります。

インフラエンジニアの研修は、現場のエンジニアが講師を兼ねることも多いです。講師役の先輩にも、出席と時間の記録を残す理由を最初に伝えておくと、記録の抜けが減ります。

InfraAcademyを新人インフラエンジニア研修に使う場合

InfraAcademy は、Linux・ネットワーク・AWSを、未経験の人でも順番に学べるように作ったインフラエンジニア向けの学習サービスです。

法人向けのプランでは、研修担当者が新人の学習の進み具合を確認できるようにしています。前の年のうちに研修の骨組みを決めたいとき、Linuxやネットワークの基礎部分をどう組むかの参考にもなると思います。

助成金の対象になるかどうかは、研修の組み方や申請の内容によって変わるため、個別に労働局などで確認していただく必要があります。そのうえで、研修の中身の相談であれば、InfraAcademyの法人プランからお気軽にお問い合わせください。

新人がどんな順番で学ぶのかを先に見ておきたい場合は、Linuxのロードマップも参考にしてください。

まとめ

人材開発支援助成金を新人インフラエンジニア研修に使うときのポイントを振り返ります。

  • 計画届は訓練開始日の6か月前から1か月前までに出す。4月研修なら前の年の秋から準備する
  • 人材育成支援コースではOFF-JTが通算10時間以上必要。配属後のOJTとの線引きを先に決める
  • 出席と時間の記録を毎日残し、終了日の翌日から2か月以内に支給申請する
  • 定額制のeラーニングは人への投資促進コースの対象になる場合があるが、経費助成のみで上限もある
  • 入社前の内定者研修は対象外になると考えておく
  • 制度は毎年変わるので、最新の資料と労働局で必ず確認する

助成金のための準備は手間がかかりますが、その多くは研修をきちんと回すために必要なことでもあります。

来年度の研修計画を立てるときに、少し早めに動き出すきっかけにしてもらえたらうれしいです。

参考

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この記事を書いた人

ryu

株式会社InfraAcademy 代表 / エンジニア

大手メーカーでインフラエンジニアとして勤務した後、ベンチャー企業・スタートアップでフルスタックエンジニアを経験。その後、起業し学習サービス「InfraAcademy」を運営しています。
保有資格:ネットワークスペシャリストなど 運営会社:株式会社InfraAcademy

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