こんにちは、インフラエンジニアのryuです。
今回は、ネットワーク機器の1つであるスイッチとは何かを初心者向けに解説します。
スイッチと聞くと、電源のON・OFFを切り替えるボタンを想像する方もいると思います。ネットワークで使うスイッチは、複数のPCやサーバーなどをLANへ接続し、必要な相手へ通信を届けるための機器です。
この記事では、スイッチの基本的な役割から、MACアドレステーブル、VLAN、L2スイッチとL3スイッチの違いまで順番に見ていきます。
スイッチとは?¶
スイッチは、LANの中でPCやサーバーなどを接続するために使われるネットワーク機器です。
家庭にある小さなLANスイッチから、会社やデータセンターで使われる高機能なスイッチまで、さまざまな種類があります。
スイッチを使うと複数の機器を接続できる¶
PCには通常、LANケーブルを接続するポートが1つしかありません。
2台だけで直接つなぐことはできますが、5台、10台と機器が増えると、そのままでは同じLANへ接続できません。
そこで使うのがスイッチです。

スイッチには複数のLANポートがあり、そこへPCやサーバー、無線LANアクセスポイントなどを接続できます。
たとえば、次のような構成です。
PC1 ─┐
PC2 ─┼─ スイッチ ─ ルーター ─ インターネット
PC3 ─┤
NAS ─┘
スイッチはLANの中の通信をつなぎ、ルーターは異なるネットワーク同士をつなぐ役割を持っています。
スイッチとルーターの違いがまだ分からない方は、こちらの記事も参考にしてください。
【関連記事】ハブとルーターの違いを初心者向けに解説
スイッチとハブは何が違う?¶
昔のネットワークでは、リピーターハブと呼ばれる機器もよく使われていました。
リピーターハブは受け取った信号を基本的にすべてのポートへ送ります。一方、スイッチは宛先を見て、必要なポートへ通信を転送します。
簡単に整理すると次のようになります。
| 機器 | 通信の転送方法 |
|---|---|
| リピーターハブ | 受け取った通信を他のポートへ広く送る |
| スイッチ | MACアドレスを見て必要なポートへ転送する |
現在、一般的にハブとして販売されている製品の多くは、実際にはスイッチングハブです。
そのため、日常会話でハブと呼ばれていても、昔のリピーターハブではなくスイッチを指していることがあります。

スイッチの重要なポイントは、MACアドレスを使って転送先を判断することです。
スイッチはMACアドレスを使って通信を転送する¶
では、スイッチはどうやってどのポートへ通信を送ればよいのか判断しているのでしょうか。
そこで使われるのがMACアドレスです。
MACアドレスは、ネットワークインターフェースを識別するために使われるアドレスです。
スイッチは受信したEthernetフレームの送信元MACアドレスを確認し、どのMACアドレスがどのポート側にいるのかを学習します。
その情報を保存しているのがMACアドレステーブルです。
MACアドレステーブルとは?¶
MACアドレステーブルには、MACアドレスと接続先ポートの対応が保存されています。
Cisco IOS系のスイッチでは、次のようなコマンドで確認できます。
show mac address-table

たとえば、MACアドレス001d.7172.6c40がGigabitEthernetの特定ポート側から学習されていれば、そのMACアドレス宛てのフレームをそのポートへ転送できます。
ただし、スイッチがまだ宛先MACアドレスを学習していない場合があります。
この場合は、同じVLAN内の複数ポートへフレームを転送し、通信を成立させながらMACアドレスを学習していきます。
この仕組みを理解すると、スイッチが単なるLANケーブルの分岐装置ではないことが分かります。
ARPとMACアドレステーブルは別物¶
初心者の方が混乱しやすいのがARPです。
ARPは、IPv4アドレスから対応するMACアドレスを確認するための仕組みです。
一方、MACアドレステーブルはスイッチがMACアドレスとスイッチポートの対応を覚えるためのものです。
| 情報 | 対応関係 |
|---|---|
| ARPテーブル | IPアドレス ↔ MACアドレス |
| MACアドレステーブル | MACアドレス ↔ スイッチポート |
似ていますが、役割は違います。
ARPについて詳しく知りたい方はこちらの記事も参考にしてください。
【関連記事】ARPとは?IPアドレスとMACアドレスの関係を解説
VLANを使うと1台のスイッチを論理的に分けられる¶
スイッチを勉強すると必ず出てくるのがVLANです。
VLANはVirtual LANの略で、1台の物理スイッチ上に複数の論理的なLANを作る仕組みです。
たとえば、会社で営業部と開発部のPCを同じスイッチへ接続しているとします。
物理的には同じスイッチでも、VLANを分ければ別のネットワークとして扱えます。
VLAN 10:営業部
VLAN 20:開発部
VLAN 30:管理部

VLANを使うと、部署や用途ごとにネットワークを分離しやすくなります。
ただし、別のVLAN同士で通信するには、ルーターやL3スイッチによるルーティングが必要です。
VLANの仕組みや設定方法はこちらの記事で詳しく解説しています。
【関連記事】VLANとは?仕組みとスイッチへの設定方法を解説
L2スイッチとL3スイッチの違い¶
スイッチにはさまざまな種類がありますが、ネットワークを勉強するときはまずL2スイッチとL3スイッチの違いを理解するとよいでしょう。
ここで出てくるL2やL3は、OSI参照モデルのレイヤーを表しています。

簡単にまとめると次のようになります。
| 種類 | 主に見る情報 | 主な役割 |
|---|---|---|
| L2スイッチ | MACアドレス | 同じLAN・VLAN内のフレーム転送 |
| L3スイッチ | IPアドレスも利用 | VLAN間などのルーティング |
L2スイッチとは?¶
L2スイッチは、主にデータリンク層で動作するスイッチです。
EthernetフレームのMACアドレスを使い、どのポートへフレームを転送するか判断します。
VLANを設定できる管理機能付きL2スイッチも多くあります。
元の記事では、L2スイッチにARPの機能があるという説明をしていましたが、ARPとL2スイッチのMACアドレス学習は別の仕組みです。
L2スイッチを理解するときは、まずMACアドレス・MACアドレステーブル・VLANの3つを押さえると分かりやすいです。
L3スイッチとは?¶
L3スイッチは、L2スイッチのようなスイッチングに加えて、IPアドレスを使ったルーティングも行えるスイッチです。
たとえばVLAN 10とVLAN 20を作った場合、L2スイッチだけでは通常その2つのVLAN間を直接通信させられません。
L3スイッチでVLAN間ルーティングを設定すれば、異なるVLANの間で通信できるようになります。
VLAN 10
↓
L3スイッチ
↓
VLAN 20
そのため、企業ネットワークでは複数のVLANをまとめてルーティングするためにL3スイッチが使われることがあります。
家庭用スイッチと業務用スイッチの違い¶
スイッチはL2・L3だけでなく、設定できるかどうかでも大きく分けられます。
家庭でよく使われる安価なスイッチは、LANケーブルを挿せばそのまま使えるアンマネージドスイッチが中心です。
一方、業務用ではVLAN、STP、リンク集約、ポートセキュリティなどを設定できるマネージドスイッチが使われます。
初心者の段階では、家庭用スイッチを購入して細かく設定するより、シミュレーターで業務用スイッチの操作を体験する方が学習しやすいです。
スイッチを覚えるなら実際に操作してみよう¶
ネットワークは文章を読むだけでは、なかなかイメージしづらい分野です。
スイッチも、実際にVLANを作ったりMACアドレステーブルを確認したりすると理解しやすくなります。
Packet Tracerでスイッチを操作できる¶
Cisco Packet Tracerを使えば、実機を購入しなくても仮想的なスイッチやルーターを配置してネットワークを作れます。
たとえば2台のPCとスイッチを配置し、IPアドレスを設定してpingを実行するだけでも十分な練習です。
そのあとVLANを2つ作り、通信できる場合とできない場合を確認すると、この記事で説明した内容がかなり理解しやすくなります。
Packet Tracerについてはこちらの記事で詳しく紹介しています。
【関連記事】Cisco Packet Tracerでスイッチやルーターを操作する方法
InfraAcademyならブラウザでネットワークを学べる¶
ネットワークを勉強したいけれど、Packet Tracerのインストールや初期設定が面倒に感じる方もいると思います。
InfraAcademyでは、ネットワークシミュレーターを使いながら、IPアドレス、ルーティング、スイッチ、VLAN、NAT、ACLなどをブラウザ上で学習できます。
教材を読むだけではなく、実際に構成を作って通信を確認できるため、スイッチの仕組みも理解しやすくなります。
スイッチとは?まとめ¶
今回は、ネットワーク機器のスイッチについて解説しました。
スイッチは複数の機器をLANへ接続し、MACアドレスを学習しながら必要なポートへフレームを転送する機器です。
最初は用語が多く感じると思いますが、まずは次の流れだけ理解できれば十分です。
PCをスイッチへ接続する → スイッチがMACアドレスを学習する → MACアドレステーブルを見て通信を転送する。
そこからVLAN、L2スイッチ、L3スイッチへ進めば、企業ネットワークの仕組みも少しずつ見えてきます。
スイッチはネットワーク学習のかなり重要な部分なので、ぜひ実際に手を動かしながら覚えてみてください。




