こんにちは、フルスタックエンジニアのryuです。
今回の記事では、VLANについて解説します。VLANとは、Virtual LANの略で仮想的にネットワークを構築する技術です。
ネットワーク機器のスイッチで設定します。VLANの仕組みやスイッチでのVLANの設定方法など、詳しく解説します。
VLANはCCNAの学習でも必ず登場する重要なトピックです。これからネットワークを学ぶ方や資格取得を目指す方も、ぜひ最後まで読んでみてください。
VLANとは?1台のスイッチを仮想的に分割する技術¶
VLANってそもそも何なのか、疑問に思っている方も多いのではないでしょうか。まずは言葉の意味からおさえていきましょう。
VLANとは、1台のスイッチを仮想的に複数のネットワークに分割する技術のことです。
物理的には1台の機器なのに、中身はまるで別々のネットワークのように動作します。この仮想的にという点が、VLANを理解するうえで一番のポイントです。
VLANはネットワーク機器のスイッチで構築することができます。VLANがどのようなものなのかを、初心者の方にもわかるように詳しく解説します!
VLANは仮想的なLANのこと¶
まず、VLANを理解するために、前提知識をおさらいしておきましょう。VLANはVirtual LANの略ですが、そもそもLANとは何なのでしょうか?
LANとは、ローカルエリアネットワークのことです。複数のPCが接続されて、LANというネットワークを構築します。
こちらの図は1つのLANを表しています。

1つのネットワーク機器に複数台のPCが接続されて、LANが構築されます。この場合、ネットワークを1つ作成するために1つのネットワーク機器が必要になります。
そうなると、大量のネットワークを構築する場合はその分のネットワーク機器を用意する必要があります。コストが掛かり、非効率ですよね。
そこで、VLANを使用して効率的にネットワークを構築するようになりました。1台のスイッチを仮想的に分割できれば、機器を増やさずに複数のネットワークを作れるからです。
LANの基礎からおさらいしたい方は、【図解】LANとは?やLANとWANの違いもあわせてご覧ください。
スイッチでネットワークを仮想的に区切る¶
VLANは、スイッチというネットワーク機器を使用して設定することができます。スイッチの概要については、スイッチとはどんな機器なのかで詳しく解説しています。
VLANをスイッチの接続ポート毎に設定することで、ポート毎にネットワークを区切ることができます。イメージは以下のようになります。

上記の図のように、左側のポートにはVLAN1を、右側のポートにはVLAN2を設定します。すると、1台のスイッチで2つのネットワークを構築することができます。
ここで大事なのは、VLAN1のPCとVLAN2のPCは直接通信できないという点です。同じスイッチに繋がっていても、論理的には完全に別のネットワークとして扱われます。
詳しいVLANの設定については、記事の後半で解説します!
なぜVLANが必要なのか?3つのメリット¶
VLANの概要が分かったところで、次はなぜVLANを使うのかを見ていきましょう。わざわざネットワークを分割する理由が気になりますよね。
VLANのメリットは、大きく分けて3つあります。まずは表で全体像をつかんでください。
| メリット | 内容 |
|---|---|
| ネットワーク負荷の軽減 | ブロードキャストが届く範囲を小さく分割できる |
| セキュリティの向上 | 部署間などの不要な通信を遮断できる |
| コストの削減 | スイッチ1台で複数のネットワークを構築できる |
それぞれ順番に解説していきます。
ブロードキャストドメインを分割して負荷を減らす¶
1つ目のメリットは、ブロードキャストドメインの分割です。聞き慣れない言葉かもしれませんが、VLANの本質に関わる重要な概念です。
ブロードキャストとは、同じネットワークに所属する全員へ一斉送信される通信のことです。そして、そのブロードキャストが届く範囲をブロードキャストドメインと呼びます。
たとえば、PCが通信相手のMACアドレスを調べるARPという仕組みは、ブロードキャストを使って問い合わせを行います。ネットワークでは、こうした一斉送信の通信が日常的に流れているのです。
スイッチはブロードキャストを受け取ると、受信したポート以外のすべてのポートへ転送します。つまり、1つのネットワークが大きくなるほど、関係のないPCにまで届く無駄な通信が増えていくわけです。
VLANでネットワークを分割すると、ブロードキャストは同じVLANに所属するポートにしか転送されなくなります。その結果、ネットワーク全体の負荷を減らすことができるのです。
部署ごとに通信を分けてセキュリティを高める¶
2つ目のメリットは、セキュリティの向上です。
たとえば、経理部と営業部のPCが同じネットワークにあると、営業部のPCから経理部のサーバーへ自由にアクセスできてしまいます。重要なデータを扱う部署としては、好ましくない状態ですよね。
VLANで部署ごとにネットワークを分割すれば、VLANをまたいだ通信は基本的にできなくなります。ネットワークを分離することで、不正アクセスや情報漏えいのリスクを下げられるのです。
社内で万が一マルウェアに感染した場合でも、被害を1つのVLANの範囲に留めやすくなります。ネットワークの分割は、セキュリティ設計の基本と言えます。
機器や配線のコストを削減できる¶
3つ目のメリットは、コストの削減です。
VLANが無い場合、ネットワークの数だけスイッチを用意する必要があります。VLANを使えば1台のスイッチに複数のネットワークを収容できるため、機器の台数を減らせます。
また、組織変更やレイアウト変更にも柔軟に対応できます。PCの配線を物理的に繋ぎ直さなくても、スイッチの設定を変えるだけで所属するネットワークを変更できるからです。
VLANの種類はポートVLANとタグVLANの2つ¶
VLANには、大きく分けてポートVLANとタグVLANの2種類があります。ここを混同すると後の学習でつまずきやすいので、違いを整理しておきましょう。
2つの違いは、次の表の通りです。
| 比較項目 | ポートVLAN | タグVLAN |
|---|---|---|
| 割り当て方法 | ポート単位でVLANを固定する | フレームにVLANを識別するタグを付ける |
| 対応する規格 | 特になし | IEEE 802.1Q |
| 主な用途 | PCやサーバーの接続 | スイッチ同士の接続 |
| ポートの呼び方 | アクセスポート | トランクポート |
ポートVLANはポート単位でネットワークを分ける¶
ポートVLANは、スイッチのポート1つ1つにVLANを割り当てる方式です。最も基本的なVLANで、先ほどの図で紹介したのもこのポートVLANです。
ポート1〜2はVLAN10、ポート3〜4はVLAN20のように設定します。PCやサーバーを接続するポートに使われることが多く、このように1つのVLANだけが流れるポートをアクセスポートと呼びます。
タグVLANはスイッチをまたいでVLANを広げる¶
タグVLANは、複数のスイッチをまたいで同じVLANを使いたいときに登場します。
たとえば、1階と2階のスイッチの両方にVLAN10のPCがあるとしましょう。スイッチ同士をつなぐケーブルには、VLAN10とVLAN20など複数のVLANの通信が流れる必要がありますよね。
そこで、通信データにどのVLANのものかを示すタグを付けて識別します。このタグの規格がIEEE 802.1Qで、イーサネットのフレームにVLAN IDを含むタグを挿入する仕組みです。
タグ付きの通信が流れるポートをトランクポートと呼びます。アクセスポートとトランクポートの詳しい違いや設定方法は、アクセスポートとトランクポートの違いで解説しています。
また、トランクポートにはタグを付けずに通信するネイティブVLANという特別な仕組みもあります。詳しくはネイティブVLANの概要とスイッチへの設定方法をご覧ください。
スイッチでVLANを設定してみよう¶
ここからは、VLANの設定方法について解説します。VLANはスイッチで設定を行います。
Ciscoのスイッチを想定してコマンドを解説します。手順は次の3ステップです。
| 手順 | 使用する主なコマンド |
|---|---|
| 1. VLANの作成 | vlan 10 |
| 2. VLANの割り当て | switchport access vlan 10 |
| 3. 設定の確認 | show vlan brief |
では、詳しく解説します。
VLANの作成¶
まず、VLANの作成を行います。VLANの作成は、以下のコマンドを使用します。
(config)#vlan 10
(config-vlan)#name Net1 //←VLANに名前を付ける場合(任意)
(config-vlan)#exit
vlan 10とは、VLAN ID10のVLANを作成するという意味です。VLAN IDはVLANの番号なので、各ネットワークに任意の番号を指定しましょう。
VLAN ID1はデフォルトVLANです。VLANを作成していない状態では全てのポートがVLAN1に所属しており、管理用のIPアドレスを設定したりします。
スイッチへのIPアドレスの設定手順は、スイッチにIPアドレスを設定する方法で詳しく解説しています。
VLANの割り当て¶
次にVLANの割り当てです。VLANはスイッチの各ポートで設定します。
(config)#int gi 0/1
(config-if)#switchport mode access
(config-if)#switchport access vlan 10
これは、インターフェースの0/1にVLAN10を割り当てる設定です。switchport mode accessでポートをアクセスポートとして動作させ、switchport access vlan 10で所属するVLANを指定しています。
これを各ポートに設定します。複数のポートにVLANを設定する場合は、以下のようなコマンドを入力します。
(config)#int range gi 0/2 - 3
(config-if-range)#switchport mode access
(config-if-range)#switchport access vlan 20
int rangeを使うことで、インターフェースの0/2と0/3にVLAN20をまとめて設定することができます。設定するポートが多いときに便利なコマンドです。
VLANの確認¶
最後にVLANが割り当てられたか確認しましょう!確認コマンドはshow vlan briefです。
#show vlan brief
//出力結果
VLAN Name Status Ports
---- ---------------- ------------------
1 default active Gi0/2, Gi0/3, Gi0/4
Gi0/5, Gi0/6, Gi0/7, Gi0/8
10 Net1 active Gi0/1
VLANの名前と割り当てられたポートを確認することができます。
出力を見ると、VLAN10のNet1にポートGi0/1が所属していることが分かりますね。何も設定していないポートは、デフォルトVLANであるVLAN1に所属したままです。
異なるVLAN間で通信するにはルーティングが必要¶
ここまでの説明で、VLANはネットワークを分割する技術だと分かりました。では、分割したVLAN同士で通信したいときはどうすればいいのでしょうか。
実は、スイッチのVLAN設定だけでは、異なるVLAN間の通信はできません。VLANはそれぞれ別のネットワークなので、間を中継するルーティングの仕組みが必要になります。
この仕組みをVLAN間ルーティングと呼びます。ルーターを使う方法と、ルーティング機能を持ったL3スイッチを使う方法の2つが代表的です。
企業のネットワークでは、L3スイッチでVLAN間ルーティングを行う構成が広く使われています。VLANでネットワークを分割しつつ、必要な通信だけをルーティングで通すのが実際の設計の考え方です。
分割と接続はセットで考える、と覚えておくと理解が深まりますよ。
VLANを手を動かして学ぼう¶
VLANの仕組みが分かったら、次は実際にコマンドを打って試してみるのが理解への近道です。
とはいえ、Ciscoのスイッチを個人で用意するのはハードルが高いですよね。実機がなくても、シミュレーターを使えばVLANの設定は体験できます。
当ブログのネットワーク入門講座では、ブラウザ上で演習をしながらネットワークの基礎を学べます。読むだけでは身につきにくい操作を、環境構築なしで練習できるのが特徴です。
VLANはCCNA試験でも中核となる出題分野です。2024年8月に改定されたCCNA 200-301 v1.1でも、VLANやトランクはネットワークアクセス分野の重要トピックとして引き続き出題されています。
これからネットワークエンジニアを目指す方は、ネットワーク入門講座一覧から学習を始めてみてください。
VLANでよくある疑問¶
最後に、VLANについて初心者の方からよく聞かれる疑問に答えておきます。
VLAN IDはいくつまで使えるの?¶
VLAN IDとして利用できる番号は、1〜4094です。IEEE 802.1QのタグではVLAN IDに12ビットが割り当てられており、0と4095は予約されているため使用できません。
なお、Ciscoのスイッチでは1002〜1005も古い規格用に予約されています。実際の設計では、部署や用途ごとに番号のルールを決めて採番することが多いです。
VLAN1をそのまま使ってもいいの?¶
VLAN1は、初期状態ですべてのポートが所属しているデフォルトVLANです。そのまま通信に使うこともできますが、実際の運用では用途ごとに別のVLANを作成して使うのが一般的です。
すべての機器が同じネットワークに属したままでは、せっかくのVLANのメリットを活かせないからです。ネットワークを設計するときは、意図を持ってVLANを分けましょう。
家庭用のスイッチングハブでもVLANは設定できる?¶
家電量販店で売られている一般的なスイッチングハブは、アンマネージドスイッチと呼ばれる設定機能を持たない製品がほとんどです。この場合、VLANは設定できません。
VLANを使うには、設定機能を持つマネージドスイッチ(インテリジェントスイッチ)が必要です。企業ネットワークで使われるCiscoのCatalystシリーズなどが代表例です。
VLANを設定したのに通信できないときは?¶
VLANを設定したのに通信できない場合は、まずshow vlan briefでポートの所属VLANを確認しましょう。意図したVLANにポートが割り当てられているかが、最初のチェックポイントです。
また、通信したい相手が同じVLANにいるかも確認してください。異なるVLAN宛ての通信は、先ほど解説した通りルーティングの設定がなければ届きません。
VLANとは?まとめ¶
今回の記事では、VLANについて詳しく解説しました。
VLANとは、1台のスイッチを仮想的に複数のネットワークに分割する技術でしたね。ブロードキャストドメインの分割やセキュリティの向上、コスト削減といったメリットがあります。
設定の流れは、vlanコマンドでVLANを作成し、switchport access vlanでポートに割り当てるだけです。確認コマンドのshow vlan briefとあわせて、スイッチの基礎設定として覚えておきましょう!
当ブログでは、このようなネットワークやインフラに関連した技術を発信しているので興味のある方は是非ご覧ください。ネットワークの次は、Linux入門講座一覧やAWS入門講座一覧でサーバー側の学習に進むのもおすすめです。
さらにネットワークについて勉強したい方は、こちらの参考書がオススメです。

